プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“千直は1回走ると売れ過ぎる”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
8月11日 新潟11R 関屋記念 芝1600m
関屋記念は新潟芝1600m外回りで施行。向正面直線からのスタートで、初角となる3コーナーまでは548m。スタートから初角までたっぷり距離があるので、先行争いにおける内外の有利不利はありません。
登録19頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは5頭。マイル重賞ですがそれほど先行馬は多くなく、団子状態でレースが進みそう。詰まるリスクがない分、外から脚を伸ばすタイプは競馬がしやすいでしょう。
1番人気想定はジュンブロッサム。3勝クラスからの昇級で別定57キロ。5番手からしっかり差した内容は悪くありませんが、1番人気で期待値が見合うかというと微妙です。
2番人気想定はディスペランツァ。過去10年、3歳の身で連対を果たしたのは2018年1着のプリモシーンのみ。のちにトップマイラーとして活躍するレベルでないと厳しく、ディスペランツァにとってはまさに試金石の一戦といえるでしょう。ここで好勝負できるようだと、今後が大いに楽しみになります。
3番人気想定はプレサージュリフト。左回りを得意としており、実績面でもこの相手なら十分に足りています。ただ、前走もOP特別を僅差での勝利で、3番人気の評価が見合うかというと、これまた微妙なラインでしょうか。
4番人気想定のパラレルヴィジョンはG3勝利→G1大敗という、いかにも期待値の高そうなステップ。9.8倍なら面白そうです。
サンライズロナウドも前走海外での大敗という期待値の取れそうなパターンです。元々、中距離にも実績があり、阪急杯では10-8から長く脚を使って3着。距離延長はプラスに働きそうです。想定通り7番人気・13.3倍なら。
「なぜ、こんなに人気薄?」というのが想定10番人気・25.3倍のサクラトゥジュール。東京新聞杯勝ちの実績があり、本当にこのオッズならかなり美味しい存在です。ただ、前走重賞1着という見逃されにくい臨戦過程なので、もっと売れると予測していますが。
タイムトゥヘヴンはG2とG3で連続6着から二桁大敗を挟んでのステップ。10番人気以下でも期待値が取れそうなパターンなので、しっかりヒモには加えておきたい存在です。
妙味のありそうな穴馬候補が多く、非常に楽しみな一戦。枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言142
千直は1回走ると売れ過ぎる
★ピックアップレース★
7月28日 新潟7R アイビスSD 直線1000m
◎15モズメイメイ
○17テイエムスパーダ
▲12ウイングレイテスト
△13チェイスザドリーム
☆10ファイアダンサー
注4ジャスパークローネ
注14デュアリスト
[参考買い目]
単勝 15
ワイド 15-17.12.13
馬連 15-17.12.13
馬単 15-17.12.13.10.4.14
3連複 15-17.12.13-17.12.13.10.4.14
―前回に引き続き、◎→▲→○で決まり、単勝7.6倍(買い目1点)、ワイド8.8倍&17.8倍(買い目3点)、馬連25.7倍(買い目3点)、馬単46.8倍(買い目6点)、3連複95.6倍(買い目12点)の的中となったアイビスサマーダッシュを取り上げます。先週は上位3頭を評価した理由について伺いました。それぞれ、人間心理として「買いにくい」と思ってしまいがちなパターンだったと。
みねた)そうですね。勝ち馬モズメイメイは前走が16番人気での激走でフロック視されがち、2着のウイングレイテストは斤量59キロ、3着のテイエムスパーダは前走が18頭立ての18着。3頭とも二桁馬番ではあったものの、「買いたくないな」と思わせる要素をもっていましたね。それが結果的に期待値を生むわけですが。
―この3頭には「初めての直線1000m(千直)」という共通点もありました。
みねた)それもよかったですよね。というのも、千直は特殊な舞台であるせいか、適性に着目されがちなんですよ。千直を使って好走すれば適性を評価されて売れるし、千直を使って凡走していたら、その馬は適性がないと判断されてしっかりオッズに反映されてしまいます。その分、千直未経験馬は好走率以上にオッズがついているケースが比較的多いのではないでしょうか。
―このレースで一番人気に支持されていたチェイスザドリームが、まさに前走初めて千直を使われて勝っていました。
みねた)前回のコラムで、「買い材料のある外枠の馬が売れ過ぎる」と言いましたが、まさにそのパターンですよね。千直適性+外枠の合わせ技により、OPからG3に相手強化されたにもかかわらず一番人気に支持されました。相手関係などの検証はあまり行わず、条件反射で本命視してしまった方も多いことでしょう。とにかく「千直は1回走ると売れ過ぎる」傾向があるのは確かです。
―「千直は1回走ると売れ過ぎる」。これは金言ですね。
みねた)もちろん、千直では特殊な適性を要求されるのは事実。ただ、「既に走っている」という理由で狙っていては期待値を取ることはできません。人の裏を突くようなもの、自分だけが知っている法則があれば大きな武器になります。このレースの解説からはズレますが、例えば、千直=コーナーがないということなので、コーナーワークが下手な馬の一変が見込めます。コーナーが苦手で道中の位置を悪くするけれど直線で脚を使えるタイプが、直線競馬で見違える走りをすることがあるのです。一般的には、外ラチ沿いを取れそうな、テンのスピードのあるタイプが売れやすいので、この手の(コーナーが下手な)タイプは期待値を取りやすいですよ。
―「世間では単なるダート血統としか思われていなけれど、実は千直が得意(な血統)」みたいなものも当てはまりますよね?
みねた)そういうことです。千直は特殊な舞台ではありますが、レース数も限られているので、十分に研究されているとは言えません。だからこそ、まだまだ金脈が眠っているはずです。一般的に知られていない期待値の取れるパターンをいくつかストックするだけで、とても大きなアドバンテージを得られるはずですよ。
―「千直には金脈が眠っている」ワクワクしてきますね。今週末にも二鞍組まれているので今から楽しみです。最後に、このレースでは馬単を採用した理由についても教えていただけますか?
みねた)◎は単勝で期待値を取れると思って選んでいるので、馬単にして絞ることで的中率を下げる代わりに期待値を上げられます。また、このレースについては☆以下の3頭が◎を逆転する可能性は低いと見込んでいました。○▲△の3頭は馬連にして逆転されたケースをケアしつつ、馬単については的中率を確保するために手広くとったということですね。ワイドは点数を絞らないと期待値が取れないので○▲△に絞っています。個人的に楽しむのであれば◎の単勝だけ、◎からの馬単だけなどに絞っても問題ないのですが、予想を提供する立場として、複数の券種を組み合わせることで期待値の分散を図っているということです。