プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“コースパターンの絶対的優位”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
8月18日 札幌11R 札幌記念 芝2000m
札幌記念は札幌芝2000mで施行。初角となる1コーナーまでは400m弱と札幌競馬場にしては距離があり、先行争いにおいて内外の有利不利は少ないコースです。
登録12頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのはアウスヴァール、ドゥラエレーデ、トップナイフの3頭。先行馬占有率は低く、先行・好位タイプが有利になりそうです。
1番人気想定はプログノーシス。金鯱賞で0.8秒差、昨年に札幌記念でも0.7秒差とG2で圧倒的な強さを誇っています。G1で敗れた相手もイクイノックスにロマンチックウォリアーですから、相手が悪かった、時代が悪かったという感じですね(笑)。自在に捲れる脚があり、G2で取りこぼしの少ないタイプ。1.5倍という想定オッズも頷けます。
2番人気想定はシャフリヤール。日本ダービー、ドバイシーマC勝ちと実績ではプログノーシスを凌ぎます。こちらは締まった流れのG1で全能力を発揮するタイプで、ここでどこまで仕上げてくるか。ただプログノーシスとの比較で6.9倍のオッズをもらえるなら期待値はあるかもしれません。
3番人気想定はジオグリフ。こちらも皐月賞勝ちという実績馬で、ここ2戦はG1で0.3秒差、0.5秒差といかにも期待値を積めそうな負け方でもあります。先行馬が少ないので、距離延長ローテもいいでしょう。
ステラヴェローチェは、能力よりも人気になりにくい好きなタイプ。皐月賞3着馬なのに、ダービーでさらに人気を落とした(6番人気→9番人気)ということもありましたね。それを思うとこのメンバーで4番人気というのは少し売れ過ぎの印象もありますが、12.3倍なら期待値は取れるかも(これは完全な余談ですが、古馬は年齢を重ねるごとに一定の固定ファンがつくという側面もありそうですね)。
ドゥラエレーデはダートを5走挟んで、久々に芝のレースに出走。とはいえ、ホープフルS勝ちと実績はありますし、セントライト記念や宝塚記念でもしっかり先行力は発揮していました。今回、前に行けることで位置取りの利は得られますし、G2戦ということで後続の人気馬が牽制し合う展開になれば前残りの目も出てくるでしょう。
断然人気のプログノーシスが捲り脚質ということで、この馬を◎にするなら相手は道中で脚をためるタイプが良さそう。この馬の外に配置される馬も競馬がしやすいでしょうし、昨年の再現ならトップナイフのリピート好走があるかもしれません。
シャフリヤールなど好位の実力馬がどれぐらい抵抗するか、あるいはプログノーシスが脚をためる競馬を選択するかなど、展開想定のシミュレーションとしては最適な題材になりそうですね。
◎をプログノーシスにすれば予想の組み立てはしやすいのですが、実際に馬券で期待値を取り切るのは簡単ではなさそう。枠や並びもしっかり吟味して最終結論を導きだしたいと思います。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言143
コースパターンの絶対的優位
★ピックアップレース★
8月3日 札幌9R 旭川特別 芝1500m
◎1ブルーミンデザイン
○14アンドアイラヴハー
▲7インペリアルコート
△8メイショウオオミネ
☆13ルクスノア
注6ハーエクセレンシー
[参考買い目]
単勝 1 2000円
ワイド 1-14.7.8 各1000円
馬連 1-14.7.8 各800円
3連複 1-14.7.8-14.7.8.13.6 各300円
―8月1週は『厳選勝負レース』の◎が3-2-1-2と8戦中6戦馬券絡みと頑張ってくれましたが、その中から今週は8月3日札幌9Rの旭川特別を取り上げます。◎→○→注で決着し、単勝2000円×6.2=12400円、ワイド1000円×3.4=3400円、馬連800円×7.7=6160円、3連複300円×15.1=4530円と全ての券種が的中して26490円の払い戻しとなりました。
みねた)このレースはわかりやすかったですよね。わかりやす過ぎて、すんなりと印が決まってしまい、◎の期待値が高いのも明白だったので、買い目の工夫を怠ってしまったのは反省です。本当は馬単も活用すべきレースでした。
―わかりやす過ぎた、ですか。
みねた)このレースは◎1ブルーミンデザインの期待値が高く、○14アンドアイラヴハーの1着には期待値がないと考えていたので、1→14の馬単であったり、1を頭にした3連単も買い目に入れるべきだったと考えています。臨機応変に馬単や3連単も取り入れてくださった方がいると良いのですが。
―完全的中ではあったものの、まだ回収額を上げられたということですね。では、「わかりやす過ぎた」について、具体的に教えてください。
みねた)このコラムの読者の皆さんや、単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』を読んでくださった方には言うまでもないと思いますが、理由は「コース形態」。札幌芝1500mは初角までの距離が170mほどしかない「コースパターンA」のコースです。
―初角までの距離が短いと、先行争いにおいて圧倒的に内枠有利、外枠不利になるんですよね。
みねた)そうです。単行本では試行レース数も考慮して「主要コース解説」としては取り上げていませんが、初角までの距離が170mしかない札幌芝1500mはかなり内枠有利のクセが強いコースです。そのコースで1、3番人気が8枠の2頭、そして2番人気(のブルーミンデザイン)が最内枠。これだけでも、かなり期待値がありそうな気がしませんか?
―確かに。大外14番のアンドアイラヴハーは1倍台の圧倒的支持を集めていました。
みねた)ここまで5戦パーフェクト連対。1勝クラスで連続2着という実績があるので力量上位なのは確かでしょうが、札幌芝1500mの特殊性を考えると、大外で1倍台は売れ過ぎ。この事実こそ、このレースを金言に取り上げようと思った理由の一つなんですよ。
―どういうことでしょうか?
みねた)札幌芝1500mのコース形態がレースに与える影響度に対して、その事実は、まだまだファンの間に浸透していない、ということです。前回、前々回のコラムで新潟直線1000mを取り上げましたが、“千直の外枠有利”というのはほとんどのファンに知れ渡っています。にもかかわらず、いまだに8枠の回収率が出ている。この事実は、外枠有利がオッズに織り込まれても、それ以上に好走しているということを表しています。それに対して“札幌芝1500mの内枠有利”は、玄人筋の馬券ファンは認識していたとしても、まだまだ“千直の外枠有利”のように一般化はしていません。そうであれば、これからもまだまだ“札幌芝1500mの内枠”は期待値を保ち続けるのだろうと考えました。
―札幌開催自体が夏の14日間だけで、芝1500mは1日1~2回程度。施行数が少ないから、そこまで研究がなされていないのかもしれませんね。とはいえ今年もまだ6開催日あるので、残りの1500m戦が楽しみです。
みねた)旭川特別に話を戻すと、◎1ブルーミンデザインは負け方も良かったですね。3走前に未勝利を勝ち上がり、直近2戦は1勝クラスで0.2秒差・5着、0.7秒差・6着。僅差の6着以下という、いわゆる期待値の取りやすい負け方でした。このレースは前走で馬券に絡んでいたのが3頭だけ(うち1頭は未勝利戦1着)というメンバー構成だったので、この実績でも十分に能力上位。期待値を取りやすいパターンに該当している馬が有利な1枠、そして当面のライバルは8枠という状況なら、これはもう◎1ブルーミンデザイン一択ですよね。
―結果は、先行した○14アンドアイラヴハーを◎1ブルーミンデザインがハナ差捉えて勝利。
みねた)○14アンドアイラヴハーは積極的に出していって、コーナーで外に振られる不利を軽減する最高の騎乗だったと思います。それでも、外枠からスタート直後に促していったロスは否めません。出たなりで脚をためられた◎1ブルーミンデザインとの差は大きく、まさに枠の差、コースパターンが結果に如実に現れた一戦だといえるでしょう。