プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“前走1番人気の大敗馬”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
8月25日 札幌11R キーンランドC 芝1200m
キーンランドCは札幌芝1200mで施行。初角となる1コーナーまでは400m以上あるので、先行争いにおける内外の有利不利は大きくありません。
登録20頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは4頭。先行占有率は高くなく、先行馬にアドバンテージがありそうです。
1番人気想定はナムラクレア。個人的には、一戦限り、メイチのスプリント勝負なら現役最強ではないかと睨んでいる力量馬です。自力で動いて全力を出し尽くすのでG2、G3での取りこぼしが少ないタイプ。それだけに疲労のない休養明けはプラスに働きます。斤量も1キロ軽くなるここは、2倍台なら1番人気でも期待値が見合いそうに思えます。
2番人気想定はサトノレーヴ。こちらは前走の函館SSが3番手からの抜け出しで、位置取りの利を得られそう。2走前に自力で動いて勝ち切っているのにも好感が持てます。鞍上がレーン騎手というのも心強いですね。ナムラクレアが1倍台で、こちらが5倍台程度のオッズを貰えるならば、こちらを上位評価という手もあるかもしれません。
3番人気想定はオオバンブルマイ。海外で3戦して、日本でのレースは昨年のNHKマイルC以来となります。非常に評価の難しい一頭ではありますが、現役最強クラスのスプリンター相手に初の1200m。7.8倍のオッズは辛いように思えます。
展開面、期待値の両面から面白そうなのがビッグシーザー。前走3番手と先行力があり、0.4秒差・6着と期待値の取りやすい負け方でもあります。◎で期待した函館SSではサトノレーヴと0.1秒差で能力は互角以上。斤量2キロ減のここは巻き返しがありそうです。
メンバー構成的に、道中で脚をためるタイプよりも動いていけるタイプを評価したいところ。エイシンスポッターは3走続けて道中で動けています。2走前は出色の上がり32.5秒での差し切りでした。鞍上にモレイラ騎手を迎え、想定通り16.4倍のオッズなら。
エトヴプレは前走の葵Sで1番人気4着。実は、今回の本編で取り上げるパターンにも関連しています。期待値だけを考えれば大敗がベターだったかもしれませんが、“4”着なら期待値的な観点からも悪くないでしょう。スプリンターとしての資質は3歳トップクラスで、桜花賞0.3秒差・5着の実績も光ります。
実績馬、上がり馬が揃った、秋のスプリント路線を占う注目の一戦。枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言144
前走1番人気の大敗馬
★ピックアップレース★
8月4日 札幌10R 札幌スポニチ賞 芝1200m
◎8コナブラック
○6ポルタフォルトゥナ
▲3スムースベルベット
△7ゴキゲンサン
☆4スイミーユニバンス
注9ミズノコキュウ
注13ゴルトリッチ
[参考買い目]
単勝 8 2000円
ワイド 8-6.3.7 各1000円
馬連 8-6.3.7 各800円
3連複 8-6.3.7-6.3.7.4.9.13 各200円
―◎が3-2-1-2だった8月1週目から、今週は8月4日札幌10Rの札幌スポニチ賞を取り上げます。◎8コナブラックが勝利し、2000円×10.5=21000円の払い戻しとなりました。
みねた)これは“期待値”を最優先した予想でした。予想文にも書いた通り、この馬は2勝クラスに昇級後も3着、3着と連続好走し、1番人気に支持されていたほどの馬でした。その前走で14着と大敗し、ここでは6番人気にとどまっていましたが、元々の力量を考えれば、非常に甘いオッズでしたね。
―14着という数字はインパクトが大きく、さすがに巻き返しは簡単ではないかなと考えてしまいそうです。
みねた)むしろ大敗の方がいいですよ。これが追い込んで届かずの4着ぐらいだと「前走は力を出し切れなかった」「本来の力を出し切れば」と判断されて、人気は落ちません。これが二桁着順レベルの大敗だと、見限られて人気を落とすんですよね。でも、二桁着順レベルの大敗=力を全く使っていないということなので、余力も残っているケースが多い。そもそも連続好走というのは、想像以上に難しいことなんですよ。毎回、コンスタントに力を出しきる馬の方が珍しいぐらいで。
―確かに、ずっと同じクラスで2着3着を続ける馬というのは、相当、力量上位だと聞いたことがあります。能力が上だけど、遊んでいるから勝ち切れないだけで。
みねた)だから、連続好走が途絶えたぐらいで評価を下げることはないんですよね。むしろ1番人気に支持されていたという事実を評価するべきです。私は、“予想”が最も上手なのは専門紙の記者の皆さんだと思っています。枠やオッズがわからない段階で、あれだけの精度を出せるなんてとんでもないこと。そして人気を作るのが記者の皆さんの予想なので、それだけ“1番人気になった”という事実には価値があります。
―そういえば、この週の別の的中例である月岡温泉特別の◎ウインオーディンも前走1番人気7着という戦績でした。
みねた)この馬も菊花賞の後に2勝クラスを連続2着して、1番人気に支持された前走で7着に敗れていました。今回は3番人気まで評価を下げていましたが、これが4着とか5着だったら、人気を落としていなかったと思います。“前走1番人気馬”なので一定の好走率は担保されていて、7着という着順の影響でオッズが甘くなる。結果として、期待値のとりやすいパターンになっていました。このレースは、圧倒的1番人気のニュージーズに昇級戦×距離延長という2つのハードルが重なっていたため、より一層、ウインオーディンには期待値が積まれていましたね。
―ここまで“前走1番人気”に絞って話をしてきましたが、期待値が取りやすいのは1番人気だけなのでしょうか?
みねた)3番人気ぐらいまでは対象を広げて良いと思いますよ。先ほどもお話しした通り、「記者の皆さんに評価されて人気になった」という事実に意味があるので。それよりも大事なのは負け方です。繰り返しになりますが、負け方は派手な方がいい。下手に「展開が向かなかった」とか「スムーズさを欠いた」などと理由づけができるケースよりも、原因不明ぐらいの方がいいです。原因がわからなくても、3秒差以上のような大敗なら、能力負けではないのが明らかなので。
―敗因が不明だから避ける、ではなく、能力以外の部分で負けたから買える、という発想ですね。
みねた)そういうことです。大敗の方が期待値を取りやすいという意味では、ダートの条件戦なんかは要注目ですよ。砂を被ったり、ちょっとしたことで嫌気が差して着差が大きくなるので、“前走1番人気大敗馬の巻き返し”パターンが発生しやすいです。
―話を札幌スポニチ賞に戻すと、6番人気に支持を落としていた◎8コナブラックが見事に巻き返して1着。直近2走の単勝オッズが3.3倍、3.6倍ですから、この単勝10.5倍は美味しかったですね。
みねた)このオッズだからこそコナブラックに◎を打てたわけで、それは“予想記者”ではなく“馬券師”である私たちの特権ですよね。日々、取材を行ってくださる記者の皆さんには最大限のリスペクトを払いつつ、馬券師としては粛々と期待値を追うだけです。