プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“前残りを狙うなら「前走3番手以内馬」の通過順位を精査せよ”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
9月1日 新潟11R 新潟記念 芝2000m
新潟記念は新潟芝2000mで施行。初角となる3コーナーまでは900m以上とたっぷり距離があるので、先行争いにおける内外の有利不利はありません。
登録13頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのはアリスヴェリテ、バラジの2頭。先行占有率は高くありません。展開的に、この2頭は当然、注目しておきたい存在です。
バラジは前走G2目黒記念を2番手から0.4秒差・8着。いかにも期待値の取れそうな負け方です。昨年3月のオープン入り後は馬券に絡めていませんが、昨年の新潟記念が0.4秒差・5着、続く毎日王冠でも0.7秒差と内容自体は悪くありません。想定通り10番人気・36.3倍なら面白い存在。
アリスヴェリテは格上挑戦だった前走のマーメイドSを逃げ切り勝ち。今回は斤量が50キロ→53キロと増えますが、相対的に大きく不利になるという印象はありません。連勝中ですが、ここも5番人気(11.2倍)にとどまるのであれば、「もう一丁!!」を狙う手も。あとは新潟最終週になるので、馬場状態がどうなるかにも注視したいところです(先週の競馬を見る限り、先行勢も頑張れていました)。
アリスヴェリテとの比較で妙味がありそうなのがエーデルブルーメ。1番人気に支持された前走のマーメイドSでは11-9-7-4と押し上げていく競馬でアリスヴェリテの2着でした。今回はアリスヴェリテと斤量差が1キロ差に縮まります。先行馬が少ないメンバー構成なので自力で動ける機動力は魅力。4番人気・7.2倍なら期待値はありそうです。
1番人気想定はライトバック。桜花賞、オークスで連続3着している3歳牝馬トップクラスの一角です。脚質的には恵まれないでしょうが、斤量52キロも有利で、「届くだろうな」というのが率直な感想。納得の1番人気です。とはいえ、プログノーシスやナムラクレアでさえ沈むのが競馬。全馬が勝ちにくる重賞で勝ち切るのは簡単ではないのも事実です。
2番人気想定のレッドラディエンスは前走の七夕賞を8番手から差し切りと、レースぶりに進境をみせました。ライトバックに次ぐ2番人気に期待値があるとは思えませんが、58.5キロが嫌われてオッズが甘くなる可能性はありそうです。
3番人気のキングズパレスは常に自力で動く競馬をしている点に好感がもてます。ここも大きく崩れることはないでしょう。
ライトバックによる展開不問の差し切りを見たい気持ちはありますが馬券は別。しっかり精査して、仕留めたいと思います。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言145
前残りを狙うなら「前走3番手以内馬」の通過順位を精査せよ
★ピックアップレース★
8月11日 新潟11R 関屋記念 芝1600m
◎15トゥードジボン
○13プレサージュリフト
▲14ディオ
△3コレペティトール
☆18ラインベック
注8ロジリオン
注10パラレルヴィジョン
[参考買い目]
単勝 15
ワイド 15-13.14.3.18
馬連 15-13.14.3.18
3連複 15-13.14.3.18-13.14.3.18.8.10
―“重賞のみねた”ということで、重賞予想の好調が続いています。8月11日の関屋記念では◎15トゥードジボン→▲14ディオという決着で、単勝6.6倍、ワイド12.6倍、馬連37.4倍の的中となりました。
みねた)これはわかりやすい展開予想でしたね。先行馬のカウントや並びを考慮して、しっかり正解を導き出せました。
―それが伝わる見解文も面白かったです。引用すると
スタートから3コーナーまでの距離約550m。先手争いでは内外の有利不利は少ないコースレイアウト。
前走道中3番手以内の通過歴のある馬が18頭中4頭のみ。前に行ける馬が有利で馬券は考える。
本命は15トゥードジボン。ここ2走、相手関係を見れば逃げられる可能性が高い。
相手は強くなるが捲り脚質の馬も少なくスタートさえ決めれば直線入るまでノーストレスで行ける。
5人気であれば期待値は十分あり本命はこの馬。トゥードジボンは好走する流れなら外目の枠にチャンスが有り。
まさに先行馬占有率と並びについてしっかり触れられていたので、詳しく解説していただければと思います。
みねた)まずは先行馬占有率ですよね。18頭中4頭の先行馬占有率22%なので、シンプルに前有利です。ただ、それ以上に着目したのが、残りの先行馬3頭の通過順位でした。以下に4頭の前走の通過順位を列記します。
13プレサージュリフト 3-4-3
15トゥードジボン 1-1
16オニャンコポン 3-4-3-4
18ラインベック 3-4
これをみて、どう感じますか?
―ハナにこだわりそうなのはトゥードジボンだけ、ですね。
みねた)半分正解です。ご指摘の通り、先行馬占有率が低くても、徹底的にハナにこだわるタイプが揃っていたら、競り合いが生じる可能性が高まります。極端な話、上記の4頭の前走の通過順位が全て「1-1-1-1」だったら、無邪気にトゥードジボンを狙うわけにはいきませんよね。だから、ハナにこだわるタイプがトゥードジボンだけだったというのは一つの注目ポイントです。あと、注目して欲しいのは他の3頭の通過順位の中身。
―3-4-3、3-4-3-4、3-4。3と4ばかりで目がチカチカしてきました(笑)。
みねた)共通点は「道中で一旦脚をためている」ということです。3頭とも、3番手につけた後に4番手に下がっている=脚をためているのです。ここには陣営や騎手の意志を感じますよね。
―確かに、ここで馬の行く気に任せてぶっ放してしまったら、前走での教育が台無しになってしまうので、ここでも脚をためる競馬をする可能性が高そうです。
みねた)だからこそ、トゥードジボンが4コーナーまで並ばれることなく、ノーストレスで進められるだろうと想定できたのです。もし、他の3頭の中に、7-5-3のように道中で押し上げているタイプがいたら話は変わってきます。その行き脚に任せて、逃げ馬に並びかけていくかもしれません。逃げ馬というのは横に並ばれるだけでも消耗するので、いかに4コーナーまで絡まれずに進められるかが好走の鍵。このレースは先行勢だけでなく、それ以外にも逃げ馬の位置まで捲ってきそうなタイプがいなかったので、自信をもって◎トゥードジボンとすることができました。
―実際、レースはイメージ通りにトゥードジボンが4コーナーまで楽に逃げて快勝。
みねた)逃げ馬に期待値があるのは周知の通りです。ただ、逃げ馬狙いには「(1)そもそも逃げられない」「(2)逃げても絡まれる」という2つのリスクが存在しています。ここは、強力な同型不在=逃げられる、捲りタイプ不在=絡まれないということで、逃げ馬の期待値をしっかり享受することができました。「前走3番手以内馬」のレース内容を精査することで、より展開読みの精度は上げられるのです。
―「トゥードジボンは好走する流れなら外目の枠にチャンスが有り」についても、一言、解説をお願いします。
みねた)先行争いが激しくならないということは、道中が団子状態で進むということ。そうなると、内で脚をためる馬は詰まるリスクがあり、道中スムーズに外を回った馬にアドバンテージがあります。○▲については「逃げハサミ馬を買う際は両脇の馬も押さえる」の応用ですね。トゥードジボンが逃げて馬券に絡む展開なら、プレサージュリフトもソツなく先行して残る可能性があり、その場合は逃げハサミのディオもスムーズな競馬ができるだろう、と。ほぼ想定通りだったのですが、内で包まれるかと思っていたジュンブロッサムが思い切って下げて、外を回して3着に伸びてきたのは誤算でした。戸崎騎手、さすがトップジョッキーですね。