プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“差し馬の扱い方”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
9月15日 中京11R ローズS 芝2000m
今年のローズSは中京芝2000mで施行。初角までは300m以上あるので、先行争いにおける内外の有利不利は少ないでしょう。
16頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。比較的先行馬が揃っているので、好位から差しタイプにアドバンテージがありそうです。
1番人気想定はレガレイラ。牡馬相手にホープフルSを制し、前走はダービーで0.7秒差の5着。この馬の強さを改めて説明する必要はありませんね。過去にアイビーSを取りこぼした後にホープフルSを勝っているように、ペースが厳しくなる本番でより輝くタイプ。トライアル向きではありませんが、それでもこのメンバーでは実績が違い過ぎます。まず、好勝負になるでしょう。
2番人気想定はクイーンズウォーク。レガレイラには劣るものの、クイーンCを制し、オークス4着という実績は上位のもの。好位から脚を使えるので展開面も向きそう。オッズ次第では、ここはレガレイラよりもこの馬を上位に取る選択肢があってもよさそうです。
穴で面白そうなのがオークス13着大敗のサフィラでしょうか。マイルを3戦使われてからの距離延長だったオークスでの大敗は度外視できます。2000mでも長い可能性はありますが、阪神JFで1番人気4着だった戦歴を考えると、10番人気・31.8倍は甘い印象。
同じくオークスで大敗だったのがタガノエルピーダ。こちらは朝日杯FSを0.2秒差・3着、チューリップ賞では1番人気に支持されていました。ここなら巻き返しの可能性十分ですが、4番人気・12.7倍は少し辛いか。前走16着のインパクトで、もう少し人気を落として欲しいところです。
今年は春クラシックのレベルが高く、上がり馬勢も1勝クラスからの臨戦ばかり。基本的には既成勢力重視で良さそうですが、敢えて昇級馬に目を向けるならカニキュルでしょうか。フローラSで13番枠から3着という競馬があり、前走の1勝クラスも快勝でした。賞金的に本番の出走権が欲しいところで、3番人気・9.3倍なら面白いかも。
フレミングフープは前走で8番手からの差し切りという好内容。これが2勝クラスであれば、かなり面白い存在になるのですが…。
最後に、オークス組に戻ってラヴァンダを挙げておきます。この馬はフローラSで0.1秒差・2着と先述のカニキュルに先着しています。オークスを挟んだことで9番人気・29.4倍まで人気を落とすのであれば、期待値的にこちらという選択肢もあるでしょう。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言147
差し馬の扱い方
★ピックアップレース★
8月17日 札幌11R 札幌日刊スポーツ杯 芝2600m
◎2フェミナフォルテ
○13ヒシタイカン
▲11ウェイビー
△8カフェグランデ
☆12ストキャスティーク
注14ナイトスラッガー
[参考買い目]
単勝 2 2000円
ワイド 2-13.11.8 各1000円
馬連 2-13.11.8.12 各600円
3連複 2-13.11.8-13.11.8.12.14 各300円
―前回に引き続き◎フェミナフォルテが6番人気・単勝16.3倍で勝利した8月17日の札幌日刊スポーツ杯について取り上げます。この馬は「距離変更が良かった」ということでしたね。
みねた)1800m→2600mという大幅な距離延長でした。長い距離になると、ペースを上げてバタバタになりたくないという騎手心理が働いてペースが緩む。したがって距離延長馬は無理なく前走よりも良いポジションにつけられるのです。実際、フェミナフォルテも前走は14-14-14-9という通過順位でしたが、このレースでは8-8-7-9と“中団やや後ろ”ぐらいでレースを進めることができました。
―そこで今回は“距離変更”にスポットライトを当てて伺っていきたいと思いまして。単刀直入にお聞きしますが、距離変更というファクターは重視していますか?
みねた)“適性”は重視しているので、着目すべきファクターですよ。当然ながら同じ距離、例えば2600mで負けて今回も2600mという馬よりも、前走違う距離で負けて、今回は良績のある距離に戻るという馬の方が期待値は取りやすいですよね。
―1800mでそこそこ走っていた馬が2000mで大きく負けて今回また1800mに戻る、みたいなイメージでしょうか。
みねた)そうですね。やはり近走の着順は人気に大きな影響を与えるファクターなので、違う距離での凡走により必要以上に人気を落とす=期待値が取れるというケースは少なくありません。
―1800mと2000mでは別物と捉える?
みねた)はい。別物と捉えていいのですが、やみくもに狙っていいということではなくて、やはり期待値を取りやすいパターンというのがあります。ポジションに対する私の基本的なスタンスを覚えていらっしゃいますか?
―「競馬は基本的に前有利」ですよね。
みねた)だとすると、必然的に期待値の取りやすいパターンが浮かび上がってきます。今回のフェミナフォルテもそうですが、「その距離ではついていけなかった馬が距離延長によってポジションが上がる」ケースが狙い目になります。距離延長でハナを切れる、先行できるというレベルでなくとも、いつも後方から脚を使って届かないような馬が、距離延長で中団ぐらいにつけられる、というだけでも十分です。逆に、その既に先行できているような馬を「距離延長だから」という理由で狙うメリットはほとんどありません。既にポジションのアドバンテージを得ているので、距離が延びて新たなアドバンテージを得られるわけではありませんから。
―1600mで3番手ぐらいを走っていた馬が2000mあたりに距離を延ばしてきたら、「逃げるかも」と思って狙いたくなりますが…。
みねた)もちろん実際に逃げられれば期待値はあるかもしれませんが、そうやって「逃げるかも」と思われている時点でオッズに織り込まれる可能性は高いです。ざっくりした言い方ですが、距離延長の場合、ポジションが3番手→1番手になることを狙うよりも、14番手→8番手になるパターンの方が目立たない分、期待値を取りやすいケースが多いということですね。
―距離短縮の場合はいかがでしょうか?
みねた)距離短縮の場合は、逃げ・先行でバテた馬が、距離短縮を味方につけてそのまま残すパターンがいいでしょう。
―「競馬は基本的に前有利」の原則ですね。やはり、二桁レベルの通過順位で走る差し馬は◎にはしにくいということでしょうか?
みねた)「勝負レース」の軸としての根拠は乏しいですよね。もちろんそういう馬を買ってはいけないということではなくて、単体で期待値があるなら単勝で押さえておくケースが多いです。
―◎とは別に単勝を押さえておくイメージでしょうか。
みねた)「勝負レース」の軸として差し馬を狙うのであれば、能力が高く自力で捲っていけるタイプがいいでしょうね。こういうタイプは、道を切り拓いてくるので、その進路をトレースしてくる差し馬を連れてくるため、馬券が組み立てやすい。イクイノックスが切り拓いた道をスルーセブンシーズが差してくるイメージです。
一方、道中ずっと二桁通過順位で脚をためるような差し馬が期待値があるというのは、自力で道を切り拓くというよりも漁夫の利で突っ込んでくることが多い=ハマったら届くということなので、◎とは別に単勝を押さえておくわけです。
―話を距離変更に戻しますが、距離延長で差し馬を狙うといっても、それは「今回はいつもより前につけられそうだから」という発想なのですね。
みねた)条件戦レベルで、後方からの差しは滅多に決まりませんからね。“勝負になりそうなポジションにいる馬しか軸にしない”を徹底するだけでも馬券成績は向上すると思います。そして何よりも、自分の想定通りの位置取り、展開になって馬券が当たるのは楽しいですよ!