プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「コースパターンD」の内枠狙いは「スタートの安定性」が重要”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
9月22日 中京11R 神戸新聞杯 芝2200m
今年の神戸新聞杯は中京芝2200mで施行。初角となる1コーナーまでは500m以上あり、先行争いにおける内外の有利不利はありません。
前走の通過順位に3番手以内があるのは16頭中7頭。中距離戦にしては先行占有率が高く、中団ぐらいで脚をためられる馬が良さそうです。
ローズSの週中展望でも触れましたが、秋の3歳トライアルにおいては2勝クラスで通用していることがひとつの穴パターン。バッデレイトは前走の阿賀野川特別でタイム差無しの2着と勝ちに等しい内容で、2勝クラスで通用する目処は立っています。ルメール騎手からの手替わりはマイナスでしょうが、9番人気・16.2倍という想定オッズは非常に魅力的。
メリオーレムは前走の西部スポニチ賞(2勝クラス)を0.7秒差で圧勝。これは高い能力がなければできないパフォーマンスです。ただ、楽に勝った分、G2でタフな戦いになった時への対応は一つの懸念材料でしょう。春先にはリステッドで連敗していますし、潜在能力や前走内容を評価しつつも、期待値的には微妙な存在です。
もう一頭、2勝クラス(月岡温泉特別)勝ちから臨むのがオールセインツ。ここ2走で負かした相手もチェレスタ、ウインオーディンと骨っぽく、想定12.6倍なら期待値がありそう。
出馬表を眺めて目につくのは、前走ダービー大敗馬が多いことと京都新聞杯を経由した馬がその後に条件戦で活躍していること。この2点から、3歳トップクラスの出走はないものの、春に王道路線で戦っていた既成勢力はハイレベルであろう、ということが推測できます。
となれば、京都新聞杯勝ちのジューンテイクには注目せざるを得ません。G2勝ちの実績はメンバー上位で、想定オッズ通り8倍もらえるなら。
ジューンテイクとの比較でウエストナウにも注目。こちらは京都新聞杯2着馬です。キャリア一戦で挑んだ前走の内容は濃く、賞金的にもここへの本気度は高そう。ジューンテイク8倍以上に、この馬の10倍は、より期待値があるかもしれません。
ショウナンラプンタ、ビザンチンドリームらのダービー大敗組も、軒並み10倍台半ばの想定オッズで面白そう。ダービー取り消しのメイショウタバルが想定では2番人気になっていますが、どちらかといえば人気を落とした時に買いたいタイプではあります。
2勝クラス経由組、ダービー大敗組ともに期待値の取れそうな存在がチラホラ。最終的には、どちらにファンの世論が傾くかが鍵になるでしょう。ファン心理の裏を突いて、しっかり期待値を取り切りたいと思います。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言148
「コースパターンD」の内枠狙いは「スタートの安定性」が重要
★ピックアップレース★
9月1日 札幌8R 3歳以上1勝クラス ダート1700m
◎1メジャーデビュー
○5オーロヴェール
▲3メイショウリリー
△14タクシンイメル
☆13グレイウェザーズ
注9ウェイトゥゴー
[参考買い目]
単勝 1 2000円
ワイド 1-5.3 各1500円
馬連 1-5.3 各1200円
3連複 1-5.3-5.3.14.13.9 各300円
3連単 1-5.3-5.3.14.13.9 各100円
―今回取り上げるのは9月1日札幌8Rの3歳以上1勝クラス(ダート1700m)です。◎メジャーデビューが2番人気1着し◎→▲→注の決着。単勝2000円×3.1倍、ワイド1500円×3.0倍、馬連1200円×7.6倍、3連複300円×12.1倍、3連複100円×53.4倍と、全券種で獲り切った一戦です。
みねた)このレースは自信がありましたよ。やっぱりコースパターンと狙いたい馬がリンクした時は狙いやすいですよね。コースパターンAとかコースパターンDの先行馬が狙えるケースは好走確率は高いです。
―コースパターンというのは、単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』に記しているみねたさんによるコースの分類ですよね。具体的には芝で初角までの距離が300m未満のコースが「コースパターンA」、ダートで初角までの距離が300m未満のコースが「コースパターンD」になります。
みねた)初角までの距離が短いコースは、先行争いにおいてロスなく真っ直ぐ走れる内枠の方が有利です。ただ、ダートの場合は、内枠自体、砂被りのデメリットを内包しているため、有利さの度合いでは芝>ダートが基本。とはいえ、砂被りのリスクがない=ほぼ確実に先行できる状況であれば、芝と同様に先行馬の期待値は高くなるのは間違いありません。
―実際、単行本にも次のように書いてありました。
初角までの距離が短ければ、物理的に内が有利なのは事実です。そして、初角までの距離が短ければ、外枠から強引に競りかけられ砂を被るリスクに晒される時間が短いともいえます。
内から楽に先行して、砂を被らないポジションを取れるのであれば、距離ロスは少なく、砂被りのダメージも受けないために非常に有利です。ですから、先行馬が少ない時、あるいは先行馬はいても内にポツンと1頭だめ配置されている時は絶好の狙い目。「勝負レース」候補になり得ます。
みねた)もう解説は要らないですね(笑)。補足するなら、「コースパターンD」で、「スタートで遅れづらい馬」が「最内枠」を引いていたというのが、「厳選勝負レース」の本命にした理由になります。
―このレースで前走の通過順位に3番手以内があったのは、1メジャーデビュー、3メイショウリリー、8シュニー、11エリカポラリス、14タクシンイメルの5頭でした。
みねた)もちろん、今回の位置取りに最も影響を与えるのは前走なので、重要な指針です。ただ、前走だけ先行している馬と前走以前も先行している馬であれば、後者の方が「前に行く」信頼度が上なのも異論はないと思います。このレースは「1番枠から先行できるか?」が予想の肝で、1メジャーデビューはダートの近4走は全て初角を2番手で追走していました。「スタートの安定性」の担保があったわけです。
―実際に1メジャーデビューがハナを奪って4馬身差の楽勝。そして大外14番発走だった1番人気14タクシンイメルは外の4番手に控えてスムーズな競馬にみえましたが、伸びきれず4着止まり。
みねた)このレースを「厳選勝負レース」にしたのは、1番人気の14タクシンイメルが大外というのも大きかったですね。「コースパターンD」において大外の先行馬という時点で厳しいです。仕掛けてハナに行き切ったとしても消耗は避けられないですし、今回のように砂を被らずスムーズに走ったとしても、前走逃げていた馬が差す競馬に回っている時点で楽ではありません。ましてや14タクシンイメルは、昇級初戦の前走を逃げて0.8秒差の2着と戦績的にも目をみはるものでもありません。現級で2着、2着、3着していた1メジャーデビューが1番人気になると見込んでいたので、このオッズは正直、かなり驚きました。
―14タクシンイメルが1番人気・2.9倍、1メジャーデビューが2番人気・3.1倍。結局、上位3頭は2番人気→3番人気→4番人気の決着だったのですが、14タクシンイメルが沈んだことで3連単53.4倍です。
みねた)結局オッズですからね。内枠が有利なコースでもそれがオッズに織り込まれ過ぎていたら狙えません。戦績的にも魅力を感じない1番人気の逃げ馬が不利な大外に入り、現級実績があり先行できることがほぼ確実な2番人気馬が最内枠。この時点でかなり魅力的、言うなれば「“厳選の”厳選勝負レース」になりました。
―2列目を2頭に絞った選択もお見事でした。
みねた)この2頭はともに道中で動いていけるタイプで、差し馬でも「コースパターンD」なら内に越したことはありません。初角をロスなく回れるのは事実ですし、砂を被らないケースもあれば、砂を被っても気にしない馬もいますから。とはいえ、このレースは1、2番人気馬の枠に尽きますよ。初角までの距離が短い「コースパターンA」「コースパターンD」の外枠だったり、芝スタートで初角までの距離が長いダートコースである「コースパターンF」の内枠など、不利の大きな枠に人気馬が入っているレースに絞るだけでも、回収率が底上げできるはずです。