プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“9点での的中と12点での的中で何が変わるか?”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
9月29日 中山11R スプリンターズS 芝1200m
スプリンターズSは中山芝1200mで施行。初角となる3コーナーまで300m以下という「コースパターンA」の形態なので、先行争いにおいては内枠が有利です。
前走の通過順位に3番手以内があるのは登録18頭中7頭。ハイレベルの消耗戦になりそうです。
1番人気想定はサトノレーヴ。重賞2つを含む3連勝中と勢いに乗っています。前走のキーンランドCも強い内容でした。ただ、先行脚質が有利とはいえず、メンバーも揃っており、3.1倍というオッズが見合っているかは微妙なところです。
2番人気想定はママコチャ。昨年の覇者で、今年はセントウルS2着から臨みます。この舞台への適性が高いのは言うまでもありません。ただ、昨年は枠や展開面などプラス要素が多かったのも事実で、今年も内枠などの後押しが欲しいところ。
3番人気想定はナムラクレア。かつては自力で前を潰しにいく前哨戦タイプでしたが、今春の高松宮記念から本番向きのキャラに変わってきている感があります。前走のキーンランドCも5番手で脚をためており、敗れはしたもののそれが本番の今回に繋がる可能性は十分。
4番人気以下の伏兵にも期待値のありそうな馬が揃っている様子。その筆頭格は昨年◎の期待に応えて6番人気2着だったマッドクールでしょうか。海外での凡走でオッズが甘くなりそうですが、日本での直近2戦はスプリントG1で2着、1着です。
ウインマーベルは京王杯SC1着からの臨戦。1400mを4番手から抜け出した競馬で、距離短縮となる今回はベストポジションに収まれそうです。10番人気・23.7倍は甘い印象。
オオバンブルマイは前走キーンランドCでサトノレーヴと0.3秒差。その前走は海外帰りの初戦で、14-16から3着という内容の濃い競馬でした。想定オッズ15.6倍ですが、この数字ほどサトノレーヴと差があるとは思えません。
同様に2走前の函館SSでサトノレーヴと0.2秒差・2着だったウイングレイテストの12番人気・45.2倍も見逃せない想定オッズです。
トウシンマカオは前哨戦セントウルSの勝ち馬。しっかり差せる脚を持っているのは、今回のメンバーでは大きなアドバンテージです。春にも重賞を勝っており、4番人気・9.1倍なら軸候補の一頭でしょう。
ビクターザウィナーの6番人気・10.2倍もその実績を考えれば甘く、長期休養明けとはいえルメール騎手が騎乗予定のヴェントヴォーチェも12番人気・45.2倍も期待値はありそう。
他にも買い材料のある伏兵が多く多士済々のメンバーが揃いました。馬券的にも非常に楽しみな、秋のG1開幕戦です。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言149
9点での的中と12点での的中で何が変わるか?
★ピックアップレース★
9月21日 中京11R 伊賀S ダート1400m
◎5バトゥーキ
○13エミサキホコル
▲6メイショウモズ
△10ローズスター
☆3ペプチドタイガー
注2カズゴルティス
[参考買い目]
単勝 5 2000円
ワイド 5-13.6.10 各1000円
馬連 5-13.6.10 各800円
3連複 5-13.6.10-13.6.10.3.2 各200円
3連単 5-13.6.10-13.6.10.3.2 各100円
3連単 13.6.10-5-13.6.10.3.2 各100円
―9月21日、22日は『厳選勝負レース』が大爆発で、どのレースのお話を伺うか迷ってしまうのですが、やはり配当のインパクトということでしたら3連複540.1倍だった9月21日中京11Rの伊賀Sになるでしょうか。○△◎の決着で、参考買い目はワイド32.0倍&13.2倍を各1000円、3連複540.1倍を200円的中。153220円の払い戻しとなりました。
みねた)大きいところがハマってくれて良かったですね。3連複は9点買いで540倍が当たったわけですが、これは即ち、「この後60回負けられる」という意味ですから、大きいですよね。
―払い戻しが約54000円で、1回の投資が900円ということは54000÷900=60。
みねた)この馬券を買い逃すということは、60回負け続けられる機会を失うことになるわけで、そうならないために資金管理の徹底を強調しているのです。
―それにしても9点で540倍はお見事でした。
みねた)『厳選勝負レース』は、ある程度の的中率も意識してやってきましたが、最近は少し方針を変えて、より期待値に振るようにしています。単行本を書いて、こうして毎週コラムも掲載していただいて、かなり私自身の考え方は伝わってきたと思うので、「的中率を落としてでも期待値の高いところを追う」を徹底してもご理解いただけるだろうと。
―具体的にはどういう変化になりますか?
みねた)わかりやすく言うなら、「的中率担保が目的の押さえ馬券を買わない」ということでしょうか。例えば、このレースでは1.6倍の1番人気だった1テイエムリステットを無印にして買い目にも一切入れていません。この馬の場合は「危険な人気馬」だと判断していたので買い目に入れる世界線は無いのですが、仮に的中率欲しさで「一応押さえておくか」とばかりにこの馬に注を回したとしますよね。そうしたら、3連複の買い目は3列目が1頭増えるので12点になります。そうなると、54000÷1200=45になって、この後に負けられる=チャラになるまでの数が15レース分も減ってしまう。言い換えれば、注を1頭減らして12点→9点にすることで「15レース余分に負けられる」ということです。
―とはいえ、足した1頭のおかげで的中を拾えるケースもありますよね。このレースも5番人気に◎を打って、8番人気を対抗評価している以上、3列目には人気馬を押さえたくなってしまうような…。
みねた)それは「期待値とはそういうものだ」と割り切って、「来たら来たらで仕方ない」ですよ。単勝1.6倍の馬の3着内率が0%なんてことはあり得ないので、いくら期待値がなくても10回に3回ぐらいは馬券に入るかもしれない。そしてその3回をひいたなら仕方がないです。
―タラレバの話になりますが、1-5-13の決着だったら103.7倍の万馬券でした。
みねた)確かにそれが当たればSNSで「万馬券的中!」とアピールすることはできますね(笑)。でも(実際に2着にきた)ローズスターだと540.1倍で、ローズスターとテイエムリステットを比較して、テイエムリステットの方が5倍も強いでしょうか? あるいは、最後に注に加えた2番人気の2カズゴルティスを含めた2-5-13の3連複オッズは425.4倍ですが、ズゴルティスとテイエムリステットを比較して、テイエムリステットの方が4倍も強いでしょうか?
―実際のオッズに照らして考えるとそうなるのか。さすがにそこまでの差は…。
みねた)結果としては両馬ともに馬券外に沈みましたが、馬柱をみてみたら、2走前には同じ日に走って同タイムで走破しており、4倍の能力の開きがあるとは思えませんよね。「危険な人気馬」だと感じている1番人気をわざわざ買い目に入れて的中率を取りにいくのが、いかに割に合っていないかがご理解いただけるのではないでしょうか。そしてそもそも、このレースの場合、ワイドが「押さえ馬券」の役割を果たしているので、そういう意味でもテイエムリステットを3列目に入れるという選択肢はあり得ませんでした。
―「押さえ馬券」というのは、予想家さんによって定義が違っていたりして、面白いテーマですよね。次回は、このレースの予想思考だけでなく、みねたさんの考える「押さえ馬券論」についてもお伺いできればと思います。
(次回に続く)