プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“みねたの考える「押さえ馬券」”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
10月6日 東京11R 毎日王冠 芝1800m
毎日王冠は東京芝1800mで施行。初角となる3コーナーまで300m以下という「コースパターンA」の形態なので、先行争いにおいては内枠が有利です。
登録15頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。先行馬占有率47%と高く、タイムトライアルになる公算が高いでしょう。「コースパターンA」かつ先行馬占有率が高く、かつ開幕週となれば、先行馬にとっては内枠が絶対条件になりそうです。
1番人気想定はローシャムパーク。大阪杯を13-12-2-2から2着し、宝塚記念は9-9-3-4から5着とG1で2戦続けて捲りを打って掲示板を確保しています。G1で捲るのは相当キツいので、この2戦は極めて高い能力を示す内容。道中でしっかり脚をためることができれば、十分にビッグタイトルに手が届く存在です。
今回、ペースも速くなりそうで捲り脚質はマッチしていませんが、それでもG2なら勝ち負けの可能性は高いでしょう。ただし、期待値の観点から1番人気で積極的に買えるかは微妙なライン。
2番人気想定はシックスペンス。3歳世代はレベルが高く、その中でもトップクラスの一頭ですから通用する下地はあります。ルメール騎手騎乗も魅力。ただし、こちらも馬単体で考えた時、2番人気が見合うかと言われると…。
人気で続きそうなのはヨーホーレイク。長期休養明けからよくぞ復活しました。ただ、復帰後のレースで比較すると、そこまで強敵相手と戦っているわけではありません。このメンバーで3番人気前後というのは、やや評価され過ぎの印象はあります。
ヨーホーレイクに新潟大賞典で実際に先着しているのがヤマニンサルバム。今回は斤量差が無くなりますが、ヨーホーレイクの8倍とヤマニンサルバムの23倍なら、期待値的には後者では。
期待値的に最も目がいくのはマテンロウスカイ。今春に中山記念を勝っている馬が10番人気・26.5倍は明らかに甘い印象です。レース傾向にマッチする脚質なのも心強い材料。
函館記念で後続に0.6秒差をつけたホウオウビスケッツにも注目。6番人気・10.4倍なら期待値がありそうです。
ヤマニンサルバム、マテンロウスカイ、ホウオウビスケッツは先行タイプだけに、内枠をひければ評価は大幅アップ。あとはオッズとの兼ね合いです。
先行馬が並びに恵まれなかった場合は差し馬の台頭にも気を配りたいところ。その候補はダノンエアズロックでしょうか。メンバー的に距離短縮は歓迎で、前走のダービーはスムーズさを欠きました。巻き返しの余地はあります。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言150
みねたの考える「押さえ馬券」
★ピックアップレース★
9月21日 中京11R 伊賀S ダート1400m
◎5バトゥーキ
○13エミサキホコル
▲6メイショウモズ
△10ローズスター
☆3ペプチドタイガー
注2カズゴルティス
[参考買い目]
単勝 5 2000円
ワイド 5-13.6.10 各1000円
馬連 5-13.6.10 各800円
3連複 5-13.6.10-13.6.10.3.2 各200円
3連単 5-13.6.10-13.6.10.3.2 各100円
3連単 13.6.10-5-13.6.10.3.2 各100円
―先週に引き続き、9月21日中京11Rの伊賀Sを題材に取り上げます。○△◎の決着で、参考買い目はワイド32.0倍&13.2倍を各1000円、3連複540.1倍を200円的中。153220円の払い戻しとなりました。前回の最後で「押さえ馬券」という話題になったので、そこから伺っていきたいと思います。そもそも、「押さえ馬券」には明確な定義がなくて、予想家によって考え方が異なっていたりするんですよね。
みねた)難しいけれど、面白いテーマですよね。私の場合、敢えて「押さえ馬券」を定義するのであれば、「的中率を担保する買い目」ということになるでしょうか。例えば3連複に対してのワイド、ですよね。このレースの場合、5-13から流す3連複に対する「押さえ馬券」が5-13のワイドになります。3列目を絞ることで3列目が不的中になってもワイドは的中しますから。
―前回のコラムで「的中率担保が目的の押さえ馬券を買わない」とおっしゃっていたので、少し矛盾するような…。
みねた)正確には「的中率担保のために、期待値を下げた押さえ馬券を買わない」といったところでしょうか。このレースを例にすると、◎5バトゥーキと○13エミサキホコルはどちらも期待値が高く、ワイド5-13という買い目にはかなり期待値がありました。このワイド単体でも十分なほど期待値がある馬券で、3連複の「押さえ」として買っているわけではありません。あくまで結果的に買い目を絞った3連複の「押さえ」になっているだけです。
―世間一般の「押さえ馬券」のイメージでいうと、「そんなに買いたくないけど、馬券内に来てしまいそうな馬を買う」という感じでしょうか。「一応、1テイエムリステットを3列目に入れておくか」みたいな。
みねた)それがまさに的中率担保“だけ”が目的の押さえ馬券です。ワイド5-13の期待値が高いということは、5-13から流した3連複も期待値が高く、1-5-13の3連複(103.7倍)の期待値も100%は超えているはずです。だから1-5-13を「押さえる」ことも一概に間違いではないのですが、私の買い目では既にワイドで「押さえて」います。的中率担保で1を入れると、そもそも「押さえ馬券」を2回買うことになります。
―そう言われればそうですね。
みねた)しかも1は危険視している人気馬ですから、3連複1-5-13の期待値はワイド5-13の期待値を超えていません。ワイド5-13を買った上で、ワイド5-13より期待値の低い3連複の目を買う理由はありませんよね。3連複を買うならワイド5-13よりも期待値のある目を買わなければ意味がない。前回の繰り返しになりますが、最後の「注」を1テイエムリステットではなく2カズゴルティスにすることで、3連複オッズは103.7倍→425.4倍に跳ね上がります。ワイドという「押さえ馬券」によって、3連複でより期待値に振り切った目が組めるという側面はあるでしょうね。
―ちなみに単勝を複数頭買う時に、見解文に「○○も単勝だけ押さえておく」という表現を使ったりするじゃないですか。あれは…。
みねた)それは完全に言葉の綾ですね。なぜなら単勝を買うのは、的中率の担保という考えは全く無く、純粋に期待値があるからなので。単勝に「押さえ馬券」という概念は無いので、今後は「○○の単勝も買っておく」という表現にします(笑)。
―やはり馬券の買い方は奥深いですね。では最後に、予想の思考も教えていただけますか?
みねた)まずはコース形態ですね。芝スタートで初角までの距離が長い「パターンF」のコースなので外枠有利。そのレースで1、2番人気馬が内枠をひいている時点で、馬券的にはかなり魅力があります。外枠を出発点にしたら「逃げハサミ」の○13エミサキホコルにはすぐに目がいくと思います。この馬が8番人気1着だったので、素直に◎にしていたら、単勝27.6倍、馬連151.5倍も当てられていましたね。
―みねたさんの◎は5バトゥーキでした。
みねた)『厳選勝負レース』の軸は、高期待値馬の中から好走率とのバランスを考えて選びます。エミサキホコルは直近が6着→10着→11着で期待値が取れるパターンであるのは明白でしたが、現級の実績は無くて、的中率がどれぐらいあるかが問題でした。
5バトゥーキは前走3勝クラスで0.2秒差4着。昇級初戦で7→8と道中で位置を下げながら4着まで盛り返したのは強い内容です。仮にオッズが6倍でも買いたいぐらい(実際は15.0倍)なので、結果を知った上で予想しても、やっぱり◎はバトゥーキですね。