プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“好走率と期待値のバランス的に◎はナムラクレア一択だった”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
10月13日 京都11R 秋華賞 芝2000m
秋華賞は京都芝2000mで施行。初角となる3コーナーまで約300mで、先行争いにおいてはやや内枠が有利。
回避のチェレスタを除いた登録16頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは5頭。先行馬占有率はそれほど高くなく、明確な逃げ馬もセキトバイーストのみなので、後方からの直線一気は難しそう。ある程度前に付けるか、自力で動いていけるタイプが良いでしょう。
1番人気想定はステレンボッシュ。桜花賞は自力で動いて勝ち切り、オークスでは脚をためて2着と自在性があります。今回もオークス同様に戸崎騎手騎乗なのでためる競馬をする気がしますが、ここは事前には読めない領域。能力的にも好勝負は必至でしょう。
2番人気想定はチェルヴィニア。オークスではステレンボッシュを差し切っています。オークスでは道中動いており、それ以前は先行策。このレースで求められる脚質を満たしているのはステレンボッシュよりもこちらでしょう。総合的にみて、隙の少ない印象です。
3番人気想定はクイーンズウォーク。ローズS、オークスともに道中で動けており、中距離ならレースに合わせて動ける強みがあります。この馬も展開面の恩恵を受けられるのではないでしょうか。
コガネノソラは古馬相手のクイーンSを快勝。3歳勢のレベルの高さをみせつけました。オークスは大敗でしたが、古馬相手に戦った経験値も見込めるここで、12番人気・37.5倍は極めて甘いオッズです。
チルカーノは2勝クラス勝ちからの臨戦。これは秋の3歳G1で穴をあけるパターンの一つです。13番人気・42.7倍なら狙っていいでしょう。
ランスオブクイーンは前走2勝クラスで3着。とはいえ伸びない外を回ってのもので、なんといっても1.3倍の支持を集めていたという事実があります。取りこぼした後こそ期待値的には狙い目。6番人気・20.4倍なら悪くありません。
ボンドガールはここ2戦後方から追い込む強い競馬。能力の高さは間違いありませんが、それがオッズに織り込まれており、想定4番人気・16.1倍。過剰人気は否めません。
それなら、紫苑Sで先着しているクリスマスパレードの想定7番人気・21.2倍に目がいきます。前走は驚愕の1.56.6。反動は気になりますが、この人気なら魅力が上回ります。前に行ける脚質もよく、有力馬との初対決でアッと言わせるかも。
三強ムードの一戦で、実際に3頭ともに大崩れはなさそう。世間の目が三強に集中している分、4番人気以降の馬たちをしっかり精査すると報われそうなレースでもあります。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言151
好走率と期待値のバランス的に◎はナムラクレア一択だった
★ピックアップレース★
9月29日 中山11R スプリンターズS 芝1200m
◎5ナムラクレア
○9ムゲン
▲2トウシンマカオ
△3ウインマーベル
☆10ピューロマジック
注8モズメイメイ
注12サトノレーヴ
[参考買い目]
単勝 5.9
ワイド 5-9.2.3
馬連 5-9.2.3.10.8
馬単 5-9.2.3.10.8.12
3連複 5-9.2.3-9.2.3.10.8.12
3連単 5-9.2.3-9.2.3.10.8.12
3連単 5.9-5.9-2.3.10.8.12
―今週はスプリンターズSを取り上げます。参考買い目としてはワイド12.4倍の的中にとどまったのですが、このレースは週中展望の時点から期待値が取れそうな馬が多く、最終結論を注目していたので振り返っていただきたいなと。
みねた)いいレースでしたよね。G1で抜けたスピードを持った馬が出てくると引き締まります。ピューロマジックを楽に逃がすと残られてしまうのはライバル馬の騎手たちもわかっているので、レースの面白みが増します。そしてその速い流れを先行して押し切ったルガルは強かった!
―週中展望では期待値がありそうな馬として挙がっていたのがウイングレイテスト、ウインマーベル、ヴェントヴォーチェ、オオバンブルマイ、トウシンマカオ、ナムラクレア、ビクターザウィナー。印を回したのは◎のナムラクレア、▲のトウシンマカオ、△ウインマーベルで、この3頭は3着、2着、5着と健闘しました。
みねた)結局、「枠」と「並び」と「オッズ」ですよね。いい機会なので、枠順確定→印決定までの思考の流れを振り返ってみましょうか。
―いいですね。面白そうです。
みねた)週中展望でも触れた通り、「コースパターンA」で行われるタイムトライアル戦。内枠が断然有利なコース形態です。実は週中展望の段階で最も気になっていたのはウイングレイテストだったのですが…。
―痛恨の大外枠。
みねた)それがオッズに織り込まれて、想定オッズ45.2倍だったものが91.7倍まで引き上がりました。90回に1回は勝つチャンスがあると思うのでオッズ的には買えないわけではないですが、それだけ好走確率の低い馬を◎にするのはどうなのか。そしてこのレースの場合、並びの問題もありました。先行馬の並びです。
―前走の通過順位に3番手以内があった7頭の馬番は内から順に、6番(ママコチャ)、7番(マッドクール)、8番(モズメイメイ)、10番(ピューロマジック)、12番(サトノレーヴ)、13番(ルガル)、14番(ビクターザウィナー)。
みねた)中枠に集中しましたよね。しかもピューロマジックを除いて、それぞれが3頭並び。「同脚質馬が並ぶと不利」というのは何度もお話したかと思いますが、その不利な枠に1番人気のサトノレーヴ、2番人気のママコチャ、3番人気のマッドクールが入ったことで波乱度はさらにアップしました。そしてこの並びだと、中枠から先行馬が出ていくため、その直後でインのポケットに収まれそうな1〜5番が相当有利。並びからは内枠の好位差しが狙い目だと判断できたのです。
―◎は5番のナムラクレア。
みねた)直近3度のスプリントG1で2着、3着、2着。前年のスプリンターズSでは1番人気に支持されていた馬で、週中展望の段階から「3番人気なら期待値はある」と捉えていました。蓋を開けてみたら、1〜3番人気馬が不利な並びで、4番人気のナムラクレアは内目の5番枠。前走のキーンランドCは5-5と好位で脚をためる競馬をしており、まさに「内枠の好位差し」。4番人気・8.2倍というオッズは非常に甘かった。他にも期待値の取れそうな馬は何頭もいましたが、好走率とオッズのバランスを考えたら、何度考えてもこの馬◎の一択ですね。
―結果は、12番手から大外を猛然と追い込んで3着でした。
みねた)内を突いていたら勝っていたんじゃないかなぁ。5番枠から外を回すとは想像していませんでしたが、乗り替わりだったので大事に乗られたのかもしれませんね。この辺りは事前予想ではわからない領域なので仕方ありません。ただ、この馬の能力の高さは十分に示しており、4番人気・8.2倍のオッズがかなり甘かったというのは間違いないでしょう。
―思えば、ナムラクレアは昨年のスプリンターズSも1番枠から外を回して3着でしたね。
みねた)トップクラスの争いとなると能力差は僅かなので、腹を括って乗られた馬にはなかなか勝てないですよね。
―1番人気のスーパーホーネットが17番枠から外を回して、インベタを決めたブルーメンブラットに屈した2008年のマイルCSを思い出しました。
みねた)(ナムラクレアの場合)強さがバレているというのが辛いところですよね。当然、周りも勝つためにイチかバチかで挑んできますから。そういう相手に正攻法で外を回して勝つのは楽ではありません。個人的には好きな馬なので、なんとかタイトルを取って欲しいと願っているのですが。
(次回に続く)