プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“差し馬の進路争い”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
10月20日 京都11R 菊花賞 芝3000m
菊花賞は京都芝3000mで施行。初角まで300mを切っている「コースパターンA」(コースパターンの詳細は単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』をご覧ください)なので、先行争いにおいては内枠が有利。それだけに昨年、17番枠から勝ち切ったルメール騎手の手腕は「お見事」の一語に尽きます。
登録18頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。3000m戦にしては先行馬が揃った印象で、逃げ候補もエコロヴァルツ、ノーブルスカイ、メイショウタバルと複数おり、枠の並び次第ではタイムトライアルになる可能性もあるでしょう。
1番人気想定はダノンデサイル。神戸新聞杯、、セントライト記念でダービー組が上位を占めたことからもわかる通り、今年のダービー組はハイレベル。そのダービーを0.4秒差で圧勝したのがこの馬で、砕けた言い方をすれば「めっちゃ強い!」となります。4-3-6-4としっかり脚をためた競馬で展開に恵まれたわけでもありません。問題は、デビュー以来、3番人気→5番人気→11番人気→5番人気→9番人気だった馬が1番人気になるタイミングで◎にしてもいいのか、という点です。
2番人気想定はアーバンシック。本来、中山では避けたい9-6-5-7という3〜4角で脚をためる競馬でセントライト記念を圧勝しました。非常に強い内容です。あとは「ダービー11着」をどう捉えるか。
3番人気想定が前出のメイショウタバル。スローのヨーイドンだと切れ味のある馬に差される可能性が高く、できれば消耗戦に持ち込みたいところ。とはいえ外枠からの先行だと前半のロスが終いに響く可能性も高く、好走には内枠が必須条件になりそうです。
4番人気想定のコスモキュランダも強い馬。重賞、G1レースでの捲りは相当負荷が大きく、着順以上に高い能力を秘めていると考えて良いでしょう。ただ、ここも捲りが恵まれるメンバー構成ではないので、どう乗られるかが鍵。
菊花賞は2勝クラスを勝てれば穴候補になり得ます。それだけに、ダービー上位組に加え、3勝クラス勝ち馬が2頭いる今年はかなりのハイレベルだといえます。
3勝クラスの日本海Sを勝って臨むヘデントールは昨年のドゥレッツァと同じパターン。5番人気・10.3倍なら甘い印象です。
同じく3勝クラス勝ちのシュバルツクーゲルも8番人気・21.5倍で十分に穴馬の資格あり。後方から勢いをつけて伸びてくるタイプなので京都コースも向きそうです。
メリオーレムは2勝クラスを圧勝し、神戸新聞杯は5着。ヒシミラクルに通じる臨戦過程です。神戸新聞杯は6-5-7-8としっかり脚をためており悪い内容ではありません。ただ、7番人気・18.7倍は今年のメンバーではやや売れ過ぎの印象で、10番人気前後まで人気を落とすなら一考したいところです。
ハイレベルメンバーが顔を揃えた菊花賞。それだけに馬券的には一工夫が必要となりそうですが、非常に楽しみな一戦です。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言152
差し馬の進路争い
★ピックアップレース★
9月29日 中山11R スプリンターズS 芝1200m
◎5ナムラクレア
○9ムゲン
▲2トウシンマカオ
△3ウインマーベル
☆10ピューロマジック
注8モズメイメイ
注12サトノレーヴ
[参考買い目]
単勝 5.9
ワイド 5-9.2.3
馬連 5-9.2.3.10.8
馬単 5-9.2.3.10.8.12
3連複 5-9.2.3-9.2.3.10.8.12
3連単 5-9.2.3-9.2.3.10.8.12
3連単 5.9-5.9-2.3.10.8.12
―先週は3日間開催で◎が4-1-2-5。特に日曜日の『厳選勝負レース』は東京10Rが◎→○→△で3連単325.5倍、京都6Rが◎→☆で馬単333.7倍、京都10Rが▲→○→◎で3連複128.7倍など4戦4勝の大爆発だったのですが、これらについては来週以降にお伺いするとして、前回に引き続いてスプリンターズSの回顧をお届けします。前回、◎ナムラクレアの思考は伺ったので、それ以外の馬たちについて、特に週中展望から最終結論への移り変わりに焦点を当てて、なぜ印を打った、または打たなかったのかを言語化できればと思っています。
みねた)枠の影響が大きかったですよね。前回お話しした通り、真ん中の枠順に先行馬が並んだことで、特に外の先行馬は苦しくなり、より内枠有利が鮮明になりました。週中展望で「4番人気・9.1倍なら軸候補」としていたトウシンマカオが2番枠で5番人気・9.6倍なら相当甘い。この馬とナムラクレアは同じぐらい期待値があったと思います。同じ期待値なら来る確率の高い方=人気がある方ということで、◎ナムラクレアになりました。
また、ウインマーベルは週中展望の想定オッズよりも売れていましたが、好位のインが取れそうな枠をもらって7番人気・13.5倍なら期待値があると考え4番手評価としました。
―意外だったのが1オオバンブルマイの無印です。週中展望の段階では想定オッズ15.6倍でも甘いとおっしゃっていたので、1番枠をひいて8番人気・17.1倍なら印は回るのかなと。
みねた)このレースは期待値がある馬が多かったので、期待値が無いと判断したというよりも、「印が回らなかった」という馬も多いのですが、オオバンブルマイの場合は「枠」と「脚質」ですね。◎ナムラクレアにしたということは、直線の進路はこの馬が一つ占めるということを意味します。そうなると、直線で内から差してくる進路はもう一つあるかないか。その場合、オオバンブルマイよりも、隣で同じ差し脚質のトウシンマカオがその進路を取る可能性が高いので、オオバンブルマイの進路は無いだろうと判断しました。
―「同脚質並びは不利」という話ですね。この金言は先行馬が並んでいる時に思い出しがちですが、差し馬にも当てはまるのか。
みねた)競馬は進路の取り合いという側面がありますからね。前走4角16番手のオオバンブルマイと4角10番手のトウシンマカオなら、トウシンマカオの方が前に位置を取ると考えるのが自然です。そして前にいる馬の方に進路の選択権がありますから。
―香港馬2頭では、週中で名前が挙がっていたビクターザウィナーは無印で、ノーマークだったムゲンが対抗。参考買い目では単勝も押さえていました。
みねた)ビクターザウィナーは7頭いた先行馬の一番外ですからね。初角までが短い「コースパターンA」のコースということもあり、行き切れない可能性が高く、仮に行き切れたとしてもかなり消耗するだろうという判断です。それでもモレイラ騎手なら何とかするんじゃないかとは頭をよぎりましたが(笑)。
一方のムゲンは、「逃げハサミ」という絶好の並びで単勝オッズ59.1倍ですから。「並び」「オッズ」で浮上したパターンですね。この単勝も期待値は十分にあったでしょう。
ちなみに、並びの話をするなら、ピューロマジックに☆を回したのは、先行馬の中で唯一、横に先行馬が並んでいない馬だったから。これも「並び」が判断基準になっています。
―週中からの(評価の)上げ下げには、しっかり「枠」「並び」という要素が反映されているんですね。ただ、勝ったのは先行馬並びの一角だったルガルでした。
みねた)先行してインに収まれたのが奏功しましたが、それは結果論。ただ、既に多くの方が言及されているようですが、この馬は前走の高松宮記念で1番人気に支持されていた、金言144「前走1番人気の大敗馬」であり、期待値の取りやすいパターンには当てはまっていました。単勝オッズ28.5倍なら期待値はあったと思いますが、骨折明けのG1ということで評価を下げてしまいました。余談ですが、ルガルみたいなタイプはAIの方が拾いやすかったでしょうね。AIであれば、ルガルを含めて、「期待値がある」として挙がった馬たちを買い目に組み込んで回収率を出せたはずです。ただ、そのためには膨大な資金力が必要で、パンクのリスクを考えると大半の馬券ファンにとって現実的ではありませんけどね。