プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“低レベルメンバー+初モノの人気薄”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
11月10日京都11R エリザベス女王杯 芝2200m
エリザベス女王杯は京都芝2200mで施行。初角まで400m弱ほどの距離があるので、先行争いにおいて内外の有利不利はありません。
登録19頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは6頭。先行馬占有率がそれほど高くなく、逃げにこだわるのはコンクシェルぐらいなので先行争いが激しくなる可能性は低いでしょう。好位組に展開は向きそうです。
1番人気想定はレガレイラ。牝馬の身で果敢に牡馬クラシックに挑んだことからも、能力を高く評価されていることが窺えます。今年の3歳が強いのも確か。ただ、脚質的にここで向いていないのも明白で、前走も展開負けのような敗戦でした。1番人気で信頼するというよりも、展開がハマった時に強さを発揮するので人気を落としたところで積極的に狙いたいタイプではあります。
2番人気想定のホールネスは6戦4勝、2着1回、3着1回。まだ底をみせていません。とはいえ、リステッド競走ステップからG1での2番人気は常識的にみて買いづらいところ。
3番人気想定のスタニングローズは、近走の着順こそ冴えませんが、実績はナンバーワン。今春もG1で0.5秒差、0.8秒差と衰えは感じません。先行力も備えていて展開面の恩恵もありそうで、どの枠に入っても重い印を打つことになりそうです。
サリエラは昨年のエリザベス女王杯で上がり最速の脚を使って0.3秒差。ここ2戦は二桁着順の大敗ですが、天皇賞(春)というレースはそもそも牝馬はほぼノーチャンスのレースで度外視できます。当時よりも遥かに条件は向いているので、3番人気の天皇賞(春)でこの馬を買うほど評価していた方は、想定6番人気の今回は押さえるべきでしょう。
府中牝馬Sは上位が非常に強力なメンバーだったので、ここで敗れた組は期待値を積んでいそう。府中牝馬Sで逃げて0.8秒差のコンクシェルはいわゆる“逃げイチ”。舐められ逃げが発動する可能性はあります。府中牝馬Sで3番手から0.8秒差だったコスタボニータも同様に、展開の恩恵を受けての一発がありそう。
シンティレーションは府中牝馬Sでマスクトディーヴァに先着する2着。想定8番人気はかなり甘い印象です。ただ、展開面が厳しいか。府中牝馬Sで14番手から0.5秒差・5着まで追い上げたルージュリナージュの14番人気・34.8倍も魅力的ですが、こちらも展開面の懸念は拭えません。
全体的に上がり馬が人気を集め、実績馬のオッズが甘くなりそうな一戦。馬券的にはかなり楽しみですね。なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言155
低レベルメンバー+初モノの人気薄
★ピックアップレース★
10月19日 京都7R 3歳以上1勝クラス ダート1800m稍
◎4ミントマーク
○5パシアンジャン
▲2メイショウイコマ
△9マテンロウブラボー
注6ヘヴンリーハンド
注11キタノハヤブサ
―今週取り上げるのは10月19日の京都7R。○→◎→注の決着で馬連13.8倍、3連複25.9倍、3連単89.0倍でしたが、注目したいのは5番人気2着だった◎4ミントマークが「初ダート」かつ「長期(1年)休養明け」だった点です。よく◎まで推せたな、と。
みねた)「初ダートだから」「休み明けだから」というのが予想のスタート地点ではありませんよ。私の予想は「○○だから」と週中に決まるようなものではなく、あくまで出馬表が出て、ある程度の人気が読めた段階で初めて決まるので。
―「並び」と「オッズ」ですね。なぜ、このレースが「厳選高期待値レース」に選ばれたのでしょうか。
みねた)レースを選ぶ上で一番簡単なのは「危険な人気馬がいること」です。人気を吸っている馬がいれば、他の馬の期待値は上乗せされているわけですから。ただ、この日はそういうレースが少なかった。次の手順として、一定の的中率が担保されている高期待値馬を探すのですが、それもまたいなかった。その次の手順で選び出したのがこのレースでした。
―「危険な人気馬」でもなければ「高期待値馬」でもなく。
みねた)その基準は「メンバーレベル」です。このレースの出馬表をよくご覧ください。出走馬11頭中、前走同クラスで馬券に絡んだ馬はゼロ。前走で馬券に絡んでいたのは9マテンロウブラボーだけですが、同馬も逃げ切り昇級という期待値の取りにくいパターンで、後続に0.2秒差という勝ち方では評価できません。未勝利馬が2頭(2メイショウイコマ、8メイショウヴァイゼ)出ていて、そのうちの一頭は8番人気・22.6倍に支持されているようなメンバー構成。非常にレベルが低かったのです。
―確かにこれまでも、馬柱だけみたら狙いにくい馬でも、「ここはメンバーレベルが低かったから」という理由で狙っているケースが何度もあった気がします。
みねた)強い馬だけでレースしても興行として成り立ちませんからね。高知のファイナルレースが典型的ですが、弱い馬同士のレースは、それはそれで不確定要素が多く馬券的には面白くなります。このレースも「随分、メンバーレベルが低いな」というスタート地点から出馬表を吟味した結果、「初ダート」の4ミントマークが浮上しました。週中から「初ダートのミントマークを狙おう」と目を付けていたわけではないのです。
―ミントマークは芝の1勝クラスを7着→4着→6着→7着→5着で、ここが1年の休養明けでした。
みねた)現級では頭打ちの馬が揃ったレースで“初モノ”に目がいくのは自然でしょう。ただ、同じことを皆が考えて、例えばミントマークが1番人気・3.5倍というオッズだったら見送りという選択になったと思います。しかし実際は5番人気・10.5倍ついていました。芝の1勝クラスで中間着順を続けており、ここが芝でも期待値が取れそうな実績を持つ馬なら、能力的には十分に通用するはずで、このオッズならダート適性が無かったというリスクを織り込んだ上でも狙う価値があったのです。
―なるほど。仮にミントマークが、「芝で3秒差の大敗→芝で2.5秒差の大敗」みたいな近況でしたら買えていましたか?
みねた)そこで「長期(1年)休養明け」の意味を考えたと思います。仮に大敗続きだったとして、そんな馬を1年間も手元に残しておくのか?という発想ですね。抹消せずに長期休養を挟んででも復帰させる以上、陣営は素質を感じているのだろうと考え、「買える」寄りの判断になったと思います。とはいえ、そこはオッズとの相談。
―単勝オッズが見合うかどうか。
みねた)仮に、今回のミントマークが休み明けでなかった場合はどれくらいのオッズが適正か? 休み明けでも休養前が大敗続きだった場合はどれくらいのオッズが適正か? あるいは、大敗続きで休養を挟まずにダートに転戦した場合はどれくらいのオッズが適正か?
それぞれのケースで、20倍ならどうか?30倍ならどうか?50倍ならどうか?と考えることが重要です。結局、期待値に行き着くんですよね。