プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“結果を左右するのは適性、馬券収支を決める期待値”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
11月24日東京11R ジャパンカップ 芝2400m
ジャパンカップは東京芝2400mで施行。初角までの距離は350mほどで、先行争いにおいて内外の有利不利はありません。
1番人気想定はドウデュース。天皇賞(秋)の週中展望でも触れた通り、控除率通りの80%前後に期待値が落ち着きやすいタイプではあります。その強さは百も承知ではありますが、天皇賞(秋)のパフォーマンスは素晴らしかったですが、追い込み一辺倒の脚質、武豊騎手騎乗、オーナーとの絆がもたらすドラマ性など過剰人気の要素が多く、2倍台前半で◎を打つことはないでしょう。
2番人気想定はチェルヴィニア。G1を2勝しているとはいえ3歳牝馬の身で、2倍台の2番人気はさすがに過剰人気感が否めません。伸び代は見込めますし、全てを覆すルメール騎手騎乗も不気味ではありますが、今回は国内外から実績馬が揃いました。
3番人気想定はジャスティンパレス。想定オッズ9倍台は甘く映ります。後ろからいくタイプなので展開面の恩恵はないでしょうが、近走は道中で押し上げる競馬をしています。C.デムーロ騎手ならこれまでより位置を取ってくる可能性が高く、この馬自体、スタミナ豊富でC.デムーロ騎手と合いそうなタイプでもあります。天皇賞(秋)は進路を切り替えるロスがありながらドウデュースと0.3秒差。オッズほどの差はないのでは。
オーギュストロダンは海外から参戦するディープインパクト産駒。G1タイトル多数で、過剰人気しやすい外国馬のパターンのようには思えます。実際に、キングジョージ6世&クイーンエリザベスSではジャパンカップ出走のゴリアットに先着を許しており、その比較からも想定オッズ通りなら期待値はオーギュストロダン<ゴリアットでしょうか。
ゴリアットがキングジョージ6世&クイーンエリザベスSで降した相手はブルーストッキング、レベルロマンス。この実績で想定オッズ通りの8番人気・26.5倍なら期待値は十分でしょう。外国馬の日本適性は未知の部分で、取捨判断は「合っていたら突き抜ける」に対してオッズが見合うかどうか、です。
ソールオリエンスはここにきて先行力が出てきました。馬券で勝っていくにはこうした変化の兆候を馬券になる前に見抜くのが重要です。天皇賞(秋)の0.4秒差・7着も悪くありません。
スターズオンアースは有馬記念で不利な大外枠からドウデュースと0.1秒差。海外での大敗が嫌われ人気を落とすようなら積極的に狙っていきたいパターンです。大敗からの休養明けなので調教過程、動きには注視しておきたいところ。
シンエンペラーは、G1未勝利なので、さすがにこのメンバーでは実績で見劣ります。ただ、こちらも海外大敗明けという期待値の取りやすい臨戦過程。仮に凱旋門賞を挟んでいなければ10倍前後のオッズだったかもしれないことを思えば、想定21.9倍・7番人気は甘いともいえそう。的中率はそこまで見込めませんが、期待値的にはこの馬を重視する戦略も間違いではないと考えます。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言157
結果を左右するのは適性、馬券収支を決める期待値
★ピックアップレース★
10月27日 東京11R 天皇賞(秋) 芝2000m良
◎4タスティエーラ
○12リバティアイランド
▲9ホウオウビスケッツ
△7ドウデュース
☆1ベラジオオペラ
注2マテンロウスカイ
注11ジャスティンパレス
―前回に引き続き天皇賞(秋)について伺います。△→◎→▲の決着で馬連96.6倍、3連複1021.8倍、3連単3971.0倍的中となりました。今回は◎4タスティエーラについて解説をお願いします。
みねた)実はタスティエーラについては週中展望でも触れていないんですよね。そして期待値の観点からいえば、それこそがもう、狙える理由です。
―週中展望で触れていないことが狙える理由??
みねた)それだけ空気になっていたということですから。週中展望の段階では想定上位人気でもなく、目に付くような穴馬でもなかった。私も、実際に予想する段階で出馬表を吟味していくなかで「ダービー馬なのに全く人気なさそうじゃん」と思い、◎候補に浮上しました。
―週中展望で触れていないことに気付いていましたが、3走続けて掲示板外だったので「まぁ、いいか」と。
みねた)大阪杯は1番人気だったのに、人の気は移ろいやすいものですよね。高松宮記念で1番人気だったのに、スプリンターズSで9番人気にとどまったルガルにも通じるパターンです。大阪杯で1番人気のこの馬(タスティエーラ)を評価して買っていた人なら、9番人気のここでも買えるはずだし、特段の理由がない限り押さえるべきですよね。
有馬記念は最後の直線で致命的な不利がありながら0.6秒差の6着。過去の傾向から天皇賞(秋)との関連性が薄い大阪杯が0.7秒差の11着。3200mという特殊条件の天皇賞(春)は0.8秒差の7着。戦績をしっかり精査していけば、3走続けて掲示板外とはいえ、悲観するような内容ではなかったのです。
―とはいえ、今回と同じ2000mの大阪杯で敗れているのは気になります。
みねた)重賞やG1レースでリピーターが多いのには理由があります。コース形態、季節、ローテーションなど要因は様々ですが、大阪杯と天皇賞(秋)では違う適性が求められているのでしょう。おそらく春の阪神と秋の東京では時計の出方が違うのが主たる要因と推測しますが、冬を挟んでのG1初戦と夏を挟んでのG1初戦では仕上がり方も違うのかもしれません。大阪杯と天皇賞(秋)がリンクしないとわかっていれば、むしろ馬券的には大阪杯で負けてくれている方が買いやすいぐらいですよね。異なる適性を求められる舞台で両方とも好勝負できるのはスーパーホースであり、それをサンプルに考えてはいけません。
―確かにG1昇格後に、大阪杯も勝って天皇賞(秋)も勝った馬はキタサンブラックしかいません。
みねた)3200mと2000mという全く異なる適性を求められる天皇賞の春秋制覇も成し遂げている、まさに規格外のスーパーホースですよね。だからこそ、種牡馬としてもイクイノックスのような馬を送り出せるのでしょう。でもこれはあくまで例外です。そう考えたら、リンクしない大阪杯と距離が全く違う天皇賞(春)の連敗でタスティエーラを見限るのは早計ですよね。
―みねたさんといえば、ゴリゴリの期待値党なので、適性論が出てくるのは少し意外でした。
みねた)適性は重要ですよ。馬券は期待値を考えて買いますが、レースの結果を左右するのは適性や能力ですから。適性外で敗戦した馬が適条件に戻って巻き返すケースは期待値を取りやすいので、適性を考える必要があるのです。
―適条件に戻ったタスティエーラは8番人気2着という激走を果たしました。
みねた)東京だと行きっぷりが違いますね。東京の新馬戦も強かったし、皐月賞も強い内容だったので、関西への輸送が良くないのかもしれません。そうだとすれば、この後、有馬念に出走してくるようなら人気次第で面白い存在になりそうです。
―適性以外にタスティエーラが盲点になった理由はありますか?
みねた)単純に単勝オッズ50倍クラスの人気薄だったので、多くの人が買いにくく感じたというのはあるでしょう。さらに深掘りすると「三強ムード」だったのも理由といえるかもしれません。三強ムードのレースだと、大半の人は三強の取捨、三強の優劣に力を注いでそこで終わってしまう。それ以外の馬への精査が甘くなって、穴馬のオッズが甘くなる傾向があるんですよね。