プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「レースの格」と「負け方」から大敗馬の巻き返しを見抜く”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
12月1日中京11R チャンピオンズC ダート1800m
チャンピオンズカップは中京ダート1800mで施行。初角までの距離は300mを切っており、先行争いにおいて内枠が有利なコースです。先行馬が揃い消耗戦になる確率が高く、その点でも内枠が良いでしょう。
1番人気想定はレモンポップ。実績については改めて語るまでもありませんね。昨年は不利な8枠から勝利を収めています。南部杯は思いのほか辛勝で、昨年以上のパフォーマンスとはいかないかもしれません。内枠を引いたら順当に、外枠ならば嫌う余地はありそうです。
2番人気想定はウィルソンテソーロ。昨年は12番人気で激走(2着)しましたが、実績を積んで、今年は有力馬の一角です。前走のJBCクラシックは後続に0.8秒をつける圧勝でした。先行馬が多いので短縮ローテはよく、帝王賞で4-5-5-4と脚をためる競馬ができているのも好感。消し要素は少ないですね。
3番人気想定はサンライズジパング。3歳トップクラスの1頭で、前走のみやこSではアウトレンジ以下に勝利を収めています。ただ、コース、メンバー的に外から捲る形は厳しそう。期待値的には微妙なラインでしょうか。
対レモンポップとのオッズ比較ならペプチドナイルが面白そう。前走はレモンポップと0.1秒差でした。ここはフェブラリーSでの実績がリンクしやすい条件とは言えないものの、想定通りの14.3倍ならオッズだけで狙う手は十分にあります。
二刀流ガイアフォースにも注目。芝で実績があるので芝スタートも良かったのでしょうが、フェブラリーSでは、初ダートのGIという厳しい条件で2着に激走してみせました。これはかなり価値があります。想定の8番人気・18.4倍は甘いオッズなのでは。
5戦5勝のヤマニンウルスは原稿執筆時点では除外対象。正直、無敗馬は弱点もみえないため、嫌う要素はありませんが連勝馬は過剰人気になりやすいので買う要素にもなりません。オッズでの判断となるでしょう。もちろん出走となれば有力候補です。あとは、初のGIでの激流でどうか。
セラフィックコールはデビュー以来9戦全てで2番人気以内に支持されてきましたが、ここは人気が急落しそう。昨年のウィルソンテソーロを想起させるパターンではあります。
ハギノアレグリアスは6-5-6-5と出入りの激しい競馬でシリウスSを勝利。脚質的には合っていて、6番人気・17.5倍なら期待値がありそうです。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言158
「レースの格」と「負け方」から大敗馬の巻き返しを見抜く
★ピックアップレース★
11月10日 京都11R エリザベス女王杯 芝2200m良
◎11スタニングローズ
○12シンティレーション
▲7レガレイラ
△16ラヴェル
☆14ハーパー
注8シンリョクカ
注3ルージュリナージュ
―今回はエリザベス女王杯について伺います。◎→△の決着で馬連160.2倍、馬単269.9倍の的中となりました。天皇賞(秋)に続いて、G1で2週連続のホームラン。
みねた)…の割に、天皇賞(秋)に比べて全く話題になっていないんですよ(笑)。混戦メンバーで馬券的な面白さという意味では天皇賞(秋)よりこちらだと思ったのですが、やはり八大競走の1つである天皇賞(秋)とエリザベス女王杯ではファンへの訴求度は違うのかもしれませんね。
―スタニングローズについては「どの枠に入っても重い印を打つことになりそう」とかなり高く評価されていました。
みねた)同じ先行タイプのエリカヴィータと並びになってしまったので、枠は悪かったですけどね。それでも、自身の外が絶対に前に行かないであろう追い込み馬のシンティレーションがすぐ外だったので、最悪でもないかと思い直しました。むしろ、自身の進路をトレースする形でシンティレーションは追い込みやすくなるので、セットで買いやすいな、と。
―イクイノックスとスルーセブンシーズのパターンですね。強い馬(本命馬)がその隣の差し馬を連れてくるというパターン。
みねた)シンティレーションは直線で弾かれる不利に泣きましたが、あれがなければ際どかったと思いますよ。
―◎のスタニングローズは6戦、◯ラヴェルは9戦馬券絡みのない馬でした。大敗続きの馬を狙うポイントについて教えていただきたいです。
みねた)「レースの格」と「負け方」でしょうね。同じ9着でもGIの9着とGIIIの9着では同じ9着でも違います。こうして改めて話すと「当たり前でしょ」と思うかもしれないですが、実際に予想する段階では9着という数字に引っ張られてしまうもの。「前走大敗馬」という同じ括りで軽視してしまったファンは少なくないはずです。
―その観点でいくと、スタニングローズは6戦馬券絡みなしとはいえ、そのうち4戦がGIレースだったので、格上のローテーションだったと言えそうです。
みねた)「負け方」の最たるものが「着差」でしょう。「前走僅差の6着以下」が期待値が取りやすいように、「着順ほど負けていない」馬が人気薄なら狙い目になります。スタニングローズは負けていたGⅠ4戦も全て0.8秒以内。前走のGIIIクイーンSが0.2秒差の6着。予想段階で6番人気、最終オッズ9.5倍の3番人気なら期待値は十分あったでしょう。
―ラヴェルについてはいかがでしょう?レースの格という意味では、前走リステッド6着なので格下のように映りますが…。
みねた)普通は買いたくないですよね。私は「格」を重視するので、通年のエリザベス女王杯であれば買っていないと思います。ただ、いかんせん、今年はレベルが低かった。別のレースに回ったブレイディヴェーグやチェルヴィニアにステレンボッシュ、故障引退となったマスクトディーヴァなどがここに出ていたら、ラヴェルに印を回していないと思います。レースレベルは低かったからこそラヴェルが狙い目に浮上しました。
―もう少し詳しく教えてください。
みねた)ラヴェルの戦績を紐解くと、年明け2月の京都記念で0.5秒差・5着していました。さらに遡ればオークスも2着から0.1秒差の4着。これくらいの実績でも足りるメンバー構成になっていた、というのが1つ目の理由です。
それから、このレースに関しては8枠も良かったですね。このレースは先行占有率が低かったのですが、レースレベルも先行占有率も低いとどうなるか?道中は脚をためようという意識が働くため、団子状態になりやすいのです。馬群が凝縮すれば、それだけ道中でゴチャつく可能性が高くなる。必然的に、外をスムーズに走れる外枠にアドバンテージが生じるのです。
―ラヴェルが外からスムーズに伸びてきたのとは対照的に、1番人気のレガレイラは最後の直線で内を突き、スムーズさを欠きました。
みねた)強い馬が自力で動けば馬群はバラけます。脚をためて直線で内を突く選択をしたことからも、ルメール騎手もレガレイラの能力に絶対的な自信がなかったのでしょう。確かに最後の直線でゴチャついたのはレースの綾ですが、メンバー構成から、外を回す馬が恵まれそうなことが予見できたのも事実です。
(次回に続く)