プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「どんな馬が人気になっているのか?」が予想の出発点”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
12月8日京都11R 阪神JF 芝1600m
今年の阪神ジュベナイルフィリーズは京都芝1600mで施行。初角まで十分に距離があるので、先行争いにおいて内外の有利不利はありません。とはいえ、キャリアの浅い馬同士、しかも先行馬が揃った一戦でタイムトライアルになることが予想されるため、内枠がベターだと思われます。
1番人気想定のブラウンラチェットは1800mのデビュー戦を勝利し、2戦目のアルテミスSも連勝。このローテーションの段階で基本性能の高さは伝わってきます。2戦ともに先行抜け出しの危なげない内容でした。とはいえ、未対戦、未知の要素満載のこの時期だけに、2倍台の想定オッズが見合うかといわれると微妙です。
2番人気想定はメイデイレディ。JRA2歳G1への外国馬出走は初めてで、非常に扱いの難しい存在です。BCジュベナイルフィリーズターフ2着の実績があり、手綱を取るのはデットーリ騎手。上位人気が見込まれるのも納得。最終的なオッズがどれくらいになるのか、それが見合うかどうかは、これから調教などもチェックして結論を出したいと思います。
3番人気想定のショウナンザナドゥは前走のアルテミスSを6番手から3着。差しに転じて伸びてきたのは収穫で、9倍前後なら期待値はあるかもしれません。抽選を突破して出走が叶えば注目したい1頭です。
テリオスララは萩Sを逃げ切り勝ち。2戦続けてハナを切っており、脚質が定まっているのはプラス材料で、距離短縮ローテも◎。外からハナを主張するのは厳しいので、内枠が欲しいところです。
コートアリシアンは新馬戦を5番手から0.8秒差の圧勝。非常に強い内容でした。続く新潟2歳Sも5番手から2着。差す競馬ができるのはこのメンバーでは大きなアドバンテージで、5番人気・10.6倍は甘いオッズなのでは?
アルマヴェローチェの7番人気・16.6倍も相当甘く映ります。1800mデビューかつ、前走の札幌2歳Sは6-6-8-5と脚をためる競馬で2着。今回の条件はかなり向いているでしょう。
ランフォーヴァウは前走のデイリー杯2歳Sで牡馬相手に1番人気に応えて快勝。その馬が9番人気・19.1倍という想定オッズなのは、かなり舐められている印象です。
出走メンバーが流動的で、先行馬も多く、枠と並びがかなり鍵になりそうな一戦。期待値がありそうな馬がどこに入るのかで、予想が大きく変わってくるでしょう。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言159
「どんな馬が人気になっているのか?」が予想の出発点
★ピックアップレース★
11月10日 京都11R エリザベス女王杯 芝2200m良
◎11スタニングローズ
○12シンティレーション
▲7レガレイラ
△16ラヴェル
☆14ハーパー
注8シンリョクカ
注3ルージュリナージュ
―前回に引き続いて、◎→△の決着で馬連160.2倍、馬単269.9倍の的中となったエリザベス女王杯について伺います。◎スタニングローズ、△ラヴェルの理由について教えていただきましたが、「レースレベルが低かった」ことが大きかったと。
みねた)予想をする上ではホールネスの存在が鍵になりました。リステッド競走1着というステップの馬が2番人気である、ということですね。
―週中展望でも「2番人気想定のホールネスは6戦4勝、2着1回、3着1回。まだ底をみせていません。とはいえ、リステッド競走ステップからG1での2番人気は常識的にみて買いづらいところ」と書かれていました。
みねた)スタニングローズの取捨を考える上でも、ホールネスが2番人気になるようなメンバーで、G1の大阪杯で0.5秒差、G3のクイーンSで0.2秒差のスタニングローズが3番人気なら買えるという発想になりますし、ラヴェルについても、リステッド競走勝ちのホールネスが2番人気なら、リステッド競走で0.5秒差・6着のラヴェルを格下ということで不用意に消すことはできないという発想になりました。
―まさにホールネスが基準馬だったんですね。
みねた)G1に限らず、あらゆるレースにおいて「どんな馬が人気になっているのか?」というのは予想の出発点です。狙っている馬が上位人気馬に勝てるかどうか。これは強く意識した方がいいでしょう。このレースなら
1番人気 レガレイラ
強い相手と戦ってはいるものの、現実として2024年は一度も馬券に絡んでいない
2番人気 ホールネス
前走リステッドの新潟牝馬S(1着)からのステップ
となります。この上位人気陣ならラヴェルでも太刀打ちできそうだと思えますよね。
これがもし、
1番人気 ブレイディヴェーグ
6戦4勝2着2回。前年の覇者で、前走では休み明けのG2府中牝馬Sを快勝
2番人気 チェルヴィニア
牝馬二冠馬。オークス以来のぶっつけで臨んだ秋華賞を1番人気に応えて快勝
だとしたら、途端にラヴェルが馬券内に来るイメージが湧かなくなります。
―これまでの金言でも、レースレベルの問題はよくテーマに挙がりますよね。
みねた)競馬は相対的な競技ですからね。このエリザベス女王杯は、「前走」にスポットライトを当ててみても、
前走1着馬
シンリョクカ(G3)、ピースオブザライフ(3勝クラス・ダート)、ホールネス(L)
前走2着馬
シンティレーション(G2)
前走3着馬
キミノナハマリア(L)
ですから、相当にメンバーレベルは低かったと思います。メンバー内の前走クラスの内訳をチェックするだけでも、レースレベルを見抜くヒントは得られますと思いますよ。
―お話を伺っていると、「ホールネスに印を回しておけばよかった」という後悔は無さそうですね。最後にまとめや付け加えることがあればお願いします。
みねた)強調したいのは「狙っている馬が上位人気馬に勝てるかどうか」ということ。そのために、レースレベルは常に意識しておいて欲しいと思います。付け加えるなら、G1・G2という格の高いレースの価値、でしょうか。確かにこのエリザベス女王杯のレースレベルは低く、言うなれば「G1だけどG1じゃない」レベルだったことが、スタニングローズやラヴェルの好走に繋がりました。ただ、G1レースは全馬が勝ちに来るガチンコ勝負の舞台なので、そこでの好走成績はレベルを問わず価値があります。だから、次走以降、「このエリザベス女王杯は低レベルだったから」と無闇に評価を下げるのはオススメしません。
―そう考えると、前回の原稿で触れていたG1の9着とG3の9着の比較についても合点がいきます。ガチンコ勝負のG1での9着は字面以上の価値があると。
みねた)そういうことです。