プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「簡単なレース」と「難解なレース」の分岐点”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
12月22日 中山11R 有馬記念 芝2500m
有馬記念は中山芝2500mでの施行。初角までの距離は200mを切っており、先行争いにおいて内枠が有利なコースです。今年は前走の通過順位に3番手以内がある馬が登録22頭中9頭。逃げ候補が除外対象ではありますが、比較的、先行馬が揃った印象です。
1番人気想定は引退レースとなるドウデュース。週中見解で何度か触れた通り、好走確率は高いものの人気になるので回収率は控除率通りの80%ぐらいに収まるタイプです。今秋の充実ぶりを考えると複勝回収率は90%ぐらいありそう。13-13-12-7と捲って勝ち切ったジャパンCの内容は出色で、好走確率はかなり高いでしょう。単勝で期待値を取るのは難しいですが、組み合わせ次第では期待値が取れるかもしれません。例えば、有馬記念がリピーターレースであることを考えると、昨年2着馬スターズオンアースとセットで狙うのは一つの手でしょう。
2番人気想定はアーバンシック。有馬記念は消耗戦で捲りが決まりやすい特性があり、菊花賞を自力で動いて好走した馬と適性がマッチします。菊花賞を8-8-5-3で勝利したこの馬はまさにそのタイプ。有力候補です。
3番人気想定はダノンデサイル。菊花賞は8-9-14-15から6着とスムーズさを欠いたのは明白です。ダービーでは4-3-6-4と道中2度動く競馬で勝ち切っており、恵まれた勝利ではありません。単勝11.6倍ならかなり甘いオッズと考えます。実際、アーバンシック(想定4.7倍)とここまでオッズ差が開くかは懐疑的な部分もあるので、実際のオッズを注視したいですね。
ジャスティンパレスは昨年の有馬記念で1番人気に支持された馬。4着に敗れましたが、初角16番手では位置取りが悪過ぎました。能力上位なのは明らかで、本来は先行力も備えています。想定通りの7番人気なら。
ベラジオオペラの想定8番人気も甘く映ります。0.4秒差・6着の天皇賞(秋)は悲観する内容ではなく、同世代のダービー馬タスティエーラは天皇賞(秋)2着の後、香港でもしっかり好走して復権をアピール。世代レベルも低くありません。
ずっと上位人気に支持されてきたレガレイラが、ここでは想定10番人気。この馬の能力を評価して馬券を買ってきた方は、見限ることなく買うべき場面でしょう。
6歳世代のダービー馬シャフリヤールは、順調さを欠いた昨年の有馬記念で0.3秒差の5着。想定11番人気なら期待値はありそうです。
充実期を迎えた4歳世代、最強世代と目される5歳世代、世界を相手に一線級で戦い続けている6歳世代、そして世代交代を目論む3歳世代。多士済々のメンバーが揃い、非常に楽しみな一戦となりました。
なんといっても、ファンの夢を乗せたドリームレースの有馬記念。好きな馬を買うのも良し。買い続けてきた馬を信じるも良し。悔いのない馬券を買って、レースを楽しみましょう。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言161
「簡単なレース」と「難解なレース」の分岐点
★ピックアップレース★
12月7日 中京11R 中日新聞杯 芝2000m良
◎8デシエルト
穴○17マコトヴェリーキー
▲10ロードデルレイ
△3キングズパレス
☆5トーセンリョウ
12月8日 京都11R 阪神JF 芝1600m良
◎2テリオスララ
○10ブラウンラチェット
▲15リリーフィールド
穴△7ミストレス
☆6モズナナスター
注12アルマヴェローチェ
注14ランフォーヴァウ
―今回は12月7日、8日は土曜の中日新聞杯が◎デシエルト→▲ロードデルレイで馬単22.8倍、日曜の阪神JFは◎テリオスララが7番人気3着で、注◎のワイドが27.2倍。同じ的中ですが、中日新聞杯は印5頭のシンプルな予想、一方、阪神JFは見解文でも「かなり難解なレース」と触れられていて印も7頭回していました。それぞれの思考を聞きつつ、「簡単なレース」「難解なレース」についても考えてみたいと思います。
みねた)中日新聞杯は割と簡単でしたね。予想時に8倍あった単勝オッズが確定で5.2倍まで下がってしまいましたが、デシエルトが3番人気なら期待値は十分にあったでしょうから。
―◎デシエルトの思考から教えてください。
みねた)この馬はいわゆる芝ダートの二刀流ですが、中身を精査してみると、芝の内容が濃いんですよ。2-0-0-2という実績でしたが、2勝の内訳は初芝の若葉S(L)が0.5秒差をつけての逃げ切りと、前走アンドロメダS(L)の0.6秒差の逃げ切り。そして敗れた2戦が、22年の皐月賞とダービーです。ドウデュースやイクイノックスがいる世代で、皐月賞は2番手、ダービーではハナを奪っていました。この相手にダービーを逃げ切ったら、それは“化け物”ですよね(笑)。
―去年、今年と古馬戦線を引っ張っている世代ですものね。
みねた)ハイレベルな相手でもしっかり前に行けていることに価値があります。芝とダートを比較すると、明らかに芝のレースの方が行きっぷりが良いので、本質的には芝向きなのでしょう。そしてこのレースは前走3番手以内馬が4頭と先行占有率が低かったので、前に行けることが大きなアドバンテージになる。あとはオッズの問題で、ここで思い出して欲しいのが、金言159でお伝えした「人気馬との比較」という視点です。
―このレースの1番人気は2着だったロードデルレイで、単勝オッズは3.7倍でした。
みねた)そのロードデルレイは前走のアンドロメダSで0.6秒差をつけた相手です。本来ならば、こちら(デシエルト)の方が1番人気になるのが自然なぐらいで、3番人気なら迷わずゴーサインです。このレースの◎候補はデシエルトと対抗評価のマコトヴェリーキーぐらいに絞られていました。あとはオッズとの比較で買えるか買えないかの判断だけだったので、当たる当たらないはともかく、予想は「簡単」でした。
―一方で「かなり難解なレース」だったのが阪神JFです。
みねた)こちらは、期待値が取れそうな馬が多かったんですよ。私が使っている指標でも、能力的に抜けている馬が不在の混戦を示唆しており、波乱の可能性は高い。こういうレースは難しいけれど期待値が取りやすいので、資金管理がきちんとできる人にとっては、積極的に参加すべきです。
―資金管理については来年の1月8日公開のコラムで取り上げる予定なので、阪神JFの思考についてお願いします。
みねた)◎テリオスララについては、週中展望の段階から「距離短縮はいい」「脚質が定まっているのはいい」と書いていて、「内枠がベター」という希望も叶ったので狙いやすかったですね。もちろん勝ち馬アルマヴェローチェも「距離短縮」「溜めて伸びる競馬は合う」と書いていた通り、10.5倍なら期待値はあったと思いますが、やや外目の枠になった分、評価を下げた形です。前走重賞勝ちのランフォーヴァウが10番人気で、アルテミスS2着のミストレスも6番人気止まりなど期待値のありそうな馬が多数いる一方で、アルテミスS3着だったショウナンザナドゥが4.5倍の2番人気に支持されるなど、結局、最終結論はオッズ次第というのを象徴するレースとなりました。
―ショウナンザナドゥは週中展望では有力候補という扱いでしたが無印。
みねた)今回のメンバーで「差して好走」の経験を持っているショウナンザナドゥは間違いなく有力候補です。ただ、新馬戦2着→未勝利戦1着→アルテミスS3着という戦績だけみれば、一時代前なら20倍ぐらいのオッズだったはず。競馬を知っている人ほど買いたくなるタイプで、結果的に売れ過ぎてしまった。競馬って、「知れば知るほど難しくなる」側面があるんですよ。だからこそ、オッズと照らし合わせて期待値を取れるどうかの判断が、以前にも増して重要度を増しているわけです。