プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“今年こそ守りたい、馬券の「資金計画」前編”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
1月12日 中山11R フェアリーS 芝1600m
フェアリーSは中山芝1600mで施行。初角までの距離が短く、ずっとゆるやかなカーブが続くような形態のため、内枠有利の傾向が強いコースです。
登録馬26頭中、出走が確定しているのが3頭だけとメンバー構成は流動的。先行馬が多く出走してくれば、タイムトライアルの要素を帯びるので、一層、内枠有利になるでしょう。先行馬は内枠、差し馬は内に潜り込みやすい並びが欲しいところです。
1番人気想定はシホリーン。未勝利勝ちが4-4-5とためて差す競馬でアルテミスSも5番手から0.2秒差の4着と無難な競馬ができるタイプです。適性的には悪くなく、抽選突破なら有力候補の1頭です。
2番人気想定のエリカエクスプレスは新馬戦を逃げ切り勝ち。内枠が好走の条件になりそうです。
3番人気想定はレイユール。新馬戦が10-6-4と捲っての勝利、前走は後方から上がり最速を駆使しての2着でした。自身より強い馬に勝つイメージは湧きにくいですが、しっかり能力を出し切るタイプなので2〜3着で狙うなら面白そう。
4番人気想定はホウオウガイア。1800m→2000mと使われてのマイル戦になります。牝馬の中距離デビューということはオークス目標なのでしょうか。ここでの適性は未知数ですが、距離短縮自体にアドバンテージがあるのも確かです。
賞金的に出走が確定しているのは、ニシノラヴァンダ、ジャルディニエ、ミーントゥビー。この3頭には、仕上げの面で一定の優位性はあるでしょう。
ニシノラヴァンダは芝1200mから2ハロンの距離延長が課題。内枠をひいて、行った行ったの展開になるようなら。
ジャルディニエはマイルデビューから芝1800m戦を勝ち上がり。1番人気に支持されたアスター賞では5-6-4とためる競馬で差し切りと臨戦過程は魅力的です。想定7番人気は甘いのでは?
ミーントゥビーは阪神JFで12-13から0.9秒差の7着。ジャルディニエに先着しています。想定ではジャルディニエよりも下の8番人気。こちらも期待値的な観点からは注目すべき存在といえるでしょう。
コースパターンA(コースパターンの詳細については単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』参照)で行われる若駒戦だけに、枠順と並びの影響が非常に大きな一戦です。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言163
今年こそ守りたい、馬券の「資金計画」前編
―2025年初回の更新となります。今年もよろしくお願いいたします。
みねた)よろしくお願いします。
―今回、新年にふさわしいテーマということで、「資金管理」についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
みねた)いいですね。これまでのコラムやnoteでも、資金管理の重要性については説いてきました。予想力の勝負をする前に、まずは資金管理や買い目構築といった「馬券力」が重要だと考えているので、「今年こそは馬券収支をプラスに!」と意気込んでいる方にはピッタリのテーマだと思います。
―そもそも、なぜ、「資金管理」が重要なのでしょうか?
みねた)「当たるところをちゃんと買って欲しいから」です。仮に回収率が100%を超えている予想にのっていたとしても、当たったところを少ししか買っておらず、外れたレースをドカンと買っていては勝てません。そして実際に、そういう方が多いのです。ルールに則って淡々と賭けていれば、そういうことは起こりません。ですから、「資金管理」というよりも「資金計画」が正しいニュアンスかもしれませんね。
―確かに熱くなって倍プッシュしてしまう、みたいなケースは思い当たります。
みねた)淡々と賭けるのが難しいのも理解できます。やっぱり、生身の人間のやることなので。例えば、9倍の馬の単勝で考えてみましょう。9倍ということは、9回目までに当たればいいわけです。これは言い方を変えれば何連敗できるということですか?
―8連敗ですね。
みねた)正解です。こうして話していると、ごく当然のことだと理解できますよね。ところが、実際に8連敗したら、どういう感情になります?
―かなり外れている印象を持つかも。
みねた)ですよね。例えば重賞しかやらない人が8連敗したら、この1月の重賞は全敗、1カ月間、ボウズということになります。中央競馬の2場開催なら午前全敗、地方競馬に行って本場のレースだけ買うとしたら、朝から14時ぐらいまで一つも当たっていない状態です。
―それは辛い(笑)。もう帰りたくなりますね。
みねた)単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』の134ページに書きましたが、競馬の難点は「試行回数の少なさ」にあります。試行回数が少ないため、本来の成績になるよう収束するまでに時間が掛かってしまう。スロットなら、8Gを消化するのに約32秒です。スロットなら32秒の事象が、競馬だと半日、1日…場合によっては1カ月間も掛かってしまうのですから、それは“長く”感じますよね。
―確率上はごく普通だと頭では理解できても、体感として“長く”感じるということか。
みねた)わかりやすいのが昨秋のルメール騎手です。秋華賞、菊花賞と連勝した時は「競馬はやっぱりルメール!」という声が圧倒的でした。ですが、その後のマイルCSから有馬記念まで8連敗。有馬記念の頃には「この秋のルメールは全然ダメ!」みたいな声が方々から聞こえてきました。一人の騎手がG1を何個も勝つ方が異例で、8連敗なんてごく普通の出来事ですが、競馬における8連敗というのは、それぐらい長く感じるものなのです。
―確かに、ルメール騎手の例はしっくりきます。
みねた)でも、ある意味、それが普通の反応で、だからこそギャンブルとして競馬が成り立っている側面があります。10倍前後の馬は期待値があるケースが多いのですが、多くの競馬ファンは1/10程度の的中率を「当たらない」と感じるので、もっと的中率の高い=オッズの低い馬を買いたくなるわけです。競馬場で10連敗するのはつまらないし、当てて資金を回したい。テレビに出る予想家も、ある程度の的中率を求められるので人気サイドを狙う。こうした積み重ねで期待値のある馬のオッズが保たれているのです。
―人気馬を買う人のおかげで、競馬は勝てると。
みねた)そういうことです。でも、自分自身も趣味レベルで競馬をやって負けていた経験があるので、当てたいという気持ちも理解できます。8連敗の最中って、「ずっと当たらないのでは?」と思えるほど長く感じるものですよね。だからこそ、年始の段階から「資金計画」にしたがって馬券を買い続けるルールを作るのが重要なのです。
―その方法については、次回、詳しく教えてください。
(次回に続く)