プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“WIN5みねたの考え”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
2月23日 東京11R フェブラリーS ダート1600m
フェブラリーSは東京ダート1600mでの施行。初角まで距離があるコースパターンFのコースで、芝スタートでもあるため、先行争いにおいては外枠が有利です。
登録23頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは12頭。先行馬占有率は高く、メンバー構成的には内枠有利に働きそうで、コースのもつ外枠有利の性質とはミスマッチになっているのが難しいところ。正直、週中展望には限界があるレースです(笑)。
1番人気想定はコスタノヴァ。前哨戦の勝ち馬、東京コース5戦5勝と過剰人気になる(=期待値を下げる)要素が揃っており、先行馬が揃った一戦だけに距離延長ローテも歓迎ではありません。ただ、前走の根岸Sは後続に0.7秒差という圧勝でした。重賞でこれだけの差をつけるのは能力が違わないとできない芸当で、能力の高さは疑いようがありません。
2番人気想定はエンペラーワケア。こちらは昨年の根岸S勝ち馬で、前走の武蔵野Sも勝利しています。実績的には1番人気になってもおかしくない存在です。好位から抜け出す優等生タイプなので、G1の激戦が向くタイプではない点が懸念材料でしょうか。
3番人気想定はミッキーファイト。ダート路線で活躍が目立つ明け4歳勢の一角です。今年のメンバー構成から短縮ローテはプラスで、先行馬が残るパターンでの最有力候補はこの馬か。
昨年の覇者ペプチドナイルが4番人気想定。フェブラリーS後も一度も1番人気に支持されていない、ナメられがちな持ち人気のないタイプです。7歳を迎えてさすがに上積みは見込めませんが、前走のチャンピオンズCもレモンポップを負かしにいく強気の競馬だっただけに、5着とはいえ悲観する内容ではありませんでした。過去の傾向から、この馬が好走する時は差し馬を連れてくることが多いので、差し馬とセットで狙うのも面白そうです。
昨年の2着馬ガイアフォースは想定9番人気。チャンピオンズCは15着大敗でしたが、本質的には芝馬だと思うので、ダートスタートが堪えたように思えます。大外16番枠も厳しく、この大敗で人気を落とすようなら期待値はあるでしょう。
差し馬から穴候補を探すならアーテルアストレア。チャンピオンズCは4角15番手から0.5秒差の7着まで追い込みました。いかにも期待値のありそうなタイプです。
とにかく枠と並びが鍵を握るレース。仮に15番ペプチドナイル、16番ガイアフォースという並びになったら、もう予想を買っていただかなくてもいいかも(笑)。
…というのは冗談ですが、私の理論が生きる舞台設定なので、しっかり正解に辿り着きたいと思います。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言169
WIN5 みねたの考え
―前回、AJCCのお話を伺う中でWIN5の話題になりました。ちょうどキャリーオーバーで盛り上がり、52億円も売れた週だったんですよね。そこで今回は、WIN5という馬券について伺いたいのですが、みねたさんはWIN5をどう捉えていますか?
みねた)他の券種との最大の違いは「オッズがわからない」という点ですよね。期待値党は、そのオッズが勝率に見合っているかを考えるので、ここが最大のネックです。そして、確率的には「基本的に当たらない馬券」ですよね。仮に対象5レースが全て16頭立てだとしたら104万8576通りで、18頭立ての3連単が4896通りですからその差は歴然です。当然、資金がめちゃくちゃ必要になりますよね。
―確率の10倍まで考慮した資金分割をしようと思ったら、一体、いくら必要なんだという話ですね(笑)。
みねた)一生レベルで当たらない可能性もありますからね。勝てるか勝てないかでいえば「勝てる」券種だと思いますが、私のように「馬券で食っていく」「馬券で暮らしていく」ことを目標としている人間には不向きです。まぁ、そもそも、資金計画を立ててWIN5を買えるレベルの財力がある人は、そのお金で暮らしていけるのでしょうが(笑)。
―確かに。ちなみに「勝てる」と考える理由について教えてもらえますか?
みねた)期待値のない馬を買っている人が多いからです。私は出走全頭をランク付けして把握していますが、大半の方はそうではありませんよね。1頭だけ評価すればいい単勝の期待値判断はできても、5レース分、複数の馬を判定するWIN5になると、どうしても評価が曖昧になりがちです。例えば、1つのレースに全頭買いをする方がいますが、私が独自で持っているランク付けを用いたら、出走馬の中には確実に何頭も期待値70%ぐらいの馬がいます。それらを全て買ってしまう買い目に期待値がないのは明白ですよね。
―言い方は悪いですが、期待値の概念を理解していないプレイヤーが、他の券種以上に多数参加していそうですよね。ちなみにこの週はキャリーオーバーが発生したためにとても盛り上がったわけですが、キャリーオーバー週に参加することについてはどうお考えですか?
みねた)配当金が上乗せされているので、期待値的にはアリでしょう。あとは、どれだけ売れるかが問題です。あまり売れ過ぎると通常の控除率から上乗せされる割合が下がって、メリットは薄くなります。
―今回の例だと4億4902万3820円のキャリーオーバーに対して、52億6668万5000円の売り上げがありました。
みねた)簡略化して、5億円のキャリーオーバーに対して売り上げ50億円だったとしましょう。払い戻しの計算式に当てはめると50億円×0.7の35億円とキャリーオーバーの5億円を足した40億円が払い戻しになります。つまり売り上げに対する期待値は0.8(80%)。
これが5億円のキャリーオーバーに対して売り上げ10億円だと10億円×0.7の7億円とキャリーオーバーの5億円を足した12億円が払い戻しになります。売り上げに対する期待値は1.2(120%)。このように、売り上げが少ない方が期待値を取りやすく、後者の例ならば、全通り買っても理論上はプラスです。
―荒れるか荒れないかは運任せだけども、方法としては間違っていないと。
みねた)そういうことです。だから「キャリーオーバーなのに大して盛り上がっていない」というのが、購入者側にとっては一番有利な状況でしょうね。この週の盛り上がりぶりをみると現実的ではないかもしれませんが。
―ちなみにトリプル馬単についてはいかがでしょうか?
みねた)「オッズがわからない」「基本的には当たらない」という基本的な構造はWIN5で話したことと同じです。違いがあるといえば、50円から買えることで、その分、手を広げられるのは親切ですよね。WIN5も最小単位が50円になれば、もっと売り上げが上がるかもしれません。
―私は、「キャリーオーバーなのに盛り上がっていないトリプル馬単」をひっそり待ちたいと思います(笑)。