プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“期待値的には距離実績は無い方がいい!?”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
3月2日 中山11R 中山記念 芝1800m
中山記念は中山芝1800mでの施行。初角までの距離が200m程度と短く、先行争いにおいて内枠が有利なコースです。
登録18頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは6頭。先行占有率33.3%なら脚質の有利不利はなく、コース形態、そして開幕週であることを加味すると内枠のアドバンテージが大きくなりそうです。
1番人気想定はシックスペンス。ここまで5戦4勝で敗れたのはダービーだけ。前走の毎日王冠で古馬を撃破しています。中山コースも3戦3勝。スッと好位につけられるタイプで展開面も向きそうです。仮に外枠をひいても先行力があるのでリカバリー可能で、想定2倍前後というのも妥当でしょう。ただ、単体で期待値があるかといわれると難しく、なんとか他の◎候補を探したいところ。
2番人気想定はエコロヴァルツ。こちらも明け4歳組です。菊花賞は距離が長く度外視可能。その菊花賞組はヘデントール、ショウナンラプンタ、ビザンチンドリーム、ダノンデサイルらが次走以降で好走しており、4歳勢のレベルの高さを証明しています。この馬もディセンバーSをしっかり勝ち切りました。確かな先行力を持っており、内枠だと消しづらい印象です。
3番人気想定はソウルラッシュ。昨年のマイルCSの優勝馬で、格上の存在です。メンバー構成的に距離延長は悪くなく、中山コースも得意。59キロが嫌われてオッズをもらえるなら期待値はありそうです。
4番人気想定はアルナシーム。前走の中山金杯から1ハロンの短縮となりますが、1800mの中京記念も勝っており、距離については問題ないでしょう。道中で動いていく機動力があり、中山コースが向くタイプです。
5番人気想定はマテンロウスカイ。昨秋は天皇賞(秋)でドウデュースと0.3秒差。ここ2戦はマイルを使われましたが、実績的にも距離延長は大歓迎です。昨年の中山記念の勝ち馬ですから、舞台設定は文句なし。想定通り17倍もらえるなら期待値はあるでしょう。あとは内枠をひけるかどうか。
穴で面白そうなのはボッケリーニ。休養前はAJCCと鳴尾記念で2着しており、日経賞では1番人気に推されていました。前走の出走取消で盲点になるようなら。
とにかく枠順が鍵になる一戦なので、枠順発表に注目しましょう。なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言170
期待値的には距離実績は無い方がいい!?
★ピックアップレース★
2月2日 東京10R 節分S 芝1400m良
◎1オードリーバローズ
○11ヤマニンデンファレ
▲5サトミノキラリ
△8ヴェサリウス
☆4オメガキャプテン
注3ハクサンバード
注10リサリサ
―この週は土曜東京10R、日曜京都8R、日曜東京10R、そしてメインの日曜京都11RシルクロードSも中穴のワイドを仕留めていますが、この中で取り上げたいレースを尋ねたところ、この節分Sを選ばれました。その理由から教えていただけますか?
みねた)わかりやすいですから。私の展開理論の基本通りと言いますか。このレースの先行馬占有率は18%(先行馬占有率とは、出走頭数における前走の通過順位に3番手以内がある馬の割合)しかありませんでした。先行馬占有率が低い時は、もちろんそのまま先行馬を狙うケースもありますが、それ以外だとどういうタイプが狙い目になりますか?
―前に行けそうな距離延長ローテの馬、あるいは道中で動ける馬、でしょうか。
みねた)ですよね。2番人気で1着だった◎1オードリーバローズは1200mからの距離延長、そして6-5から2着と道中で動いていました。「わかりやすい」ですよね(笑)。
―やっぱり、距離短縮より距離延長はなんとなく買いにくいんですよ。
みねた)全体的にみれば延長ローテよりも短縮ローテの方が良いことは多いので、短縮=買い!と一般化した方が楽ですよね。みねた理論だと、先行馬占有率が低いなら距離延長や道中動けるタイプがよくて、先行馬占有率が高ければ距離短縮や道中で脚をためられるタイプがよくなります。つまり、先行馬占有率+距離変更、先行馬占有率+前走位置取りなど、複数の要素が絡むので覚えきれないという側面はあるのでしょう。
―まだまだみねた理論でもオッズが取れそうですね、安心安心…だと原稿が終わってしまうので(笑)、このレースに付随して、みねた理論についていくつか質問させてください。先行馬占有率のカウントは「前走通過順位に3番手以内がある馬」と定義付けていますよね。ふと、「10-8-3」みたいに捲った馬も先行馬にカウントしていいのかな?と思う瞬間があるのですが。
みねた)確かに「先行馬」とは呼べないかもしれませんが、実際に4コーナーまでに3番手に取りついているわけで、道中のペースアップを引き起こす要因になっています。先行馬を苦しくする存在ですから、先行馬側の属性を持っているということですね。
結果的にこの馬は先行争いには関与しないかもしれませんが、それは大きな問題ではなくて、常に一定の基準を持ってレースと向き合うことが肝要。そうして得られたデータを元に、想定された展開に沿ってレースが進んだ時にしっかり当てることが大事なのです。
―◎オードリーバローズは距離延長ローテではありましたが、2走前は1600mで4着。芝1400mに3-0-1-1という実績を持っていましたが、こういった距離実績は◎の根拠になっていますか?
みねた)いや、このレースに関しては関係ないですね。仮に1200mでしか走っていなかったとしても狙えるパターンでしたから。むしろ芝1400m3勝という実績が無ければ、もっとオッズは甘かったでしょう。
―むしろ距離実績があったのは迷惑だったと。
みねた)もちろん、距離をこなせるという裏付けがあることで、未経験の馬より好走率は高かったと思います。ただ、それ以上に「全3勝を挙げている芝1400戻り」という事実によってオッズが辛くなってしまったということです。
―最後にもう一点。◎オードリーバローズは芝1400mで3勝を挙げていましたが、1.21.0・1着という持ち時計自体は平凡でした。予想において、持ち時計はどれぐらい重視されるのでしょうか?
みねた)自分が能力指標の参考にしているAIは考慮していると思います。ただ、実際の予想においては、あまり時計は重視していません。もちろん時計を参考することもあって、例えば、重賞で先行馬占有率が高い時。こういう時はタイムトライアルになるので、持ち時計がある方が有利です。
―ただ、基本的には、あまり時計面にはとらわれない、と。
みねた)競馬がセパレートコースで行われるのであれば時計面の重要度は増すでしょうが、オープンコースですからね。道中の有利不利だったり、競馬が上手で駆け引きが上手いとか、そういった部分で結果が大きく左右されます。トップジョッキーに乗り替わった途端にラストで見違えるほど伸びることもありますよね。
もちろん、メンバー間比較で相対的に優秀な時計には価値があります。例えばメンバー1位が1.20.0、2位が1.21.0のようなケースでは(持ち時計が)1秒早い馬に優位性があるでしょう。ただ、それは誰がみてもわかる事象なので、ほとんど、オッズに反映されてしまっているんですよね。