プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“故障明けもリフレッシュもひっくるめて「休養明け」”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
4月13日 阪神11R 桜花賞 芝1600m
桜花賞は阪神芝1600m外回りで施行されます。初角となる3コーナーまでは400m以上あり、先行争いにおける内外の有利不利はほとんどありません。
登録24頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。そこまで先行占有率が高くなることはないので、中団前あたりにつけられる馬にアドバンテージがあるでしょう。
1番人気想定はエンブロイダリー。2番手から抜け出して1.32.2で走破、後続に0.4秒差をつけたクイーンCの内容は秀逸です。ただ、新馬戦、サフラン賞で敗れているように、とりこぼしのあるタイプでもあります。実績が抜けているわけではないので、1番人気というのは過剰人気という気も。
2番人気想定はエリカエクスプレス。こちらは新馬、フェアリーSを連勝。0.4秒差、0.5秒差の完勝で、まだ底をみせていません。2戦ともに逃げ・先行の競馬と差し経験がなく、強い1番人気馬と同脚質にもなります。2頭が先行抜け出しで両立する馬券はオッズが見合わない感は強いですね。
3番人気想定はアルマヴェローチェ。阪神JFからのぶっつけローテになります。その阪神JFは7-9から1着と脚をためる強い競馬でした。実績最上位で脚質的にもG1にマッチしそうであることを思えば、3番人気想定は甘いのでは?
4番人気想定はビップデイジー。阪神JFでは初角12番手からよく追い上げました(2着)。前走のチューリップ賞は1番人気3着で今回は4番人気想定。期待値のありそうな人気の落とし方ではあります。前走が先行ではなく差しての3着であれば理想的でしたが…。
5番人気想定はリンクスティップ。2000mを2戦使われ、きさらぎ賞2着からの短縮ローテになります。G1の厳しい流れで短縮ローテ自体がアドバンテージになりますし、前走ではチャーチルダウンズCを制したランスオブカオスに先着。短縮ローテなので先行脚質というのも良く、本命候補の一頭でしょう。
ショウナンザナドゥは前走でフィリーズレビューを差し切り勝ち。このレース自体は特筆するものではありませんでしたが、10-11と脚をためて勝っている点に好感が持てます。デビューから一貫して上位人気に支持されてきた馬が、トライアルを勝ったにもかかわらず6番人気想定。人気の上げ下げの呼吸という意味では狙い目に映ります。
クリノメイも前哨戦のチューリップ賞を勝ちながら7番人気想定。自力で動けるタイプなので、自己条件で強くG1に向くタイプではなさそうですが、想定通りなら舐められているのは確かです。そのクリノメイで前走とタイム差無しだったウォーターガーベラも8番人気なら。
フェアリーS、クイーンCで今回1、2番人気想定の2頭と0.6秒差の3着だったのがエストゥペンダ。想定通りの14番人気・64倍なら期待値はありそうです。
対戦比較が難しく混戦模様だけに、並びとオッズが大きく鍵を握るでしょう。なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言176
故障明けもリフレッシュもひっくるめて「休養明け」
★ピックアップレース★
3月23日中山10R スピカS 芝1800m良
◎12コスモフリーゲン
高○11デコラシオン
穴▲3ルクスビッグスター
穴△5ストロングウィル
穴☆9エレクトリックブギ
注1アンリーロード
注14アドマイヤマツリ
―今回取り上げるのは3月23日中山10RのスピカS。注◎△の決着で3連複は20,380円という高配当になりました。
みねた)この◎コスモフリーゲンの5番人気・7.8倍は甘かったですね。それだけに、的中して嬉しいのは嬉しいのですが、頭だったら900倍超だったので、少し悔しい気持ちにもなります(笑)。
―逃げてあと少しでしたからね。では◎コスモフリーゲンについて解説をお願いします。
みねた)馬柱をみたら、そんなに難しいことはないですよ。この馬の直近4走を見てください。
―4走前に2勝クラスを勝って、昇級初戦の湾岸S(中山芝2200m)を2番人気4着(0.3秒差)、次走の美浦S(中山芝2000m)を2番人気2着(0.0秒差)、そして前走の六社S(東京芝2400m)を2番人気3着(0.2秒差)。そして今回が10ヵ月の休養明け。
みねた)昇級後3戦すべて2番人気に支持されて4着2着3着。2走前はキングズパレスとタイム差無しで、前走は東京芝2400mで逃げを打ってマキシと0.2秒差。普通に実力上位、なんなら1番人気になっても不思議じゃない戦績です。しかも、先行脚質なので東京→中山へのコース替わりも歓迎です。
―やはり、ファンが懸念したのは「10ヵ月の休養明け」という部分ですよね。ですから今回は「休み明け」に焦点を当てたいのですが、まずは前提として、みねたさんは「休養明けは期待値的にプラスに働きやすい要素」と捉えているんですよね?
みねた)そうですね。屈腱炎などの重篤な故障があった場合は能力減退を考えて割り引きますが、基本的に休み明けは期待値を積みやすい要素だと考えています。最近はぶっつけローテも目立ちますし、以前より休み明けをマイナス視する向きは減っているように感じます。ただ、それでもまだ甘いですね。
―それはやっぱり「休み明けが不安だ」というファン心理が原因でしょうか?
みねた)それは大きいでしょうね。そもそも「叩き2戦目」とか「一叩き」という言葉自体に、「休み明けはマイナスですよ」というニュアンスが織り込まれているじゃないですか。解説者の方も「休み明け“でも”問題ない」とか「一度使われて良化」という表現を使われます。こういう言い回しをずっと使ってきているので、ファンも無意識のうちに休み明け=マイナスという意識がすり込まれてしまっているのでしょう。
―以前と比べて調教技術も進歩しているでしょうしね。ただ、自分自身で考えてみても、休み明けを叩いたら状態面が上向くものだと思い込んでいるフシがあるのは否めません。
みねた)「仕上がり」というのは、実はかなり難しいファクターですからね。大幅プラス体重でも走る馬はいるし、一度使った後に凡走すると「二走ボケ」なんて言われることもあります。いずれにせよ、故障での休養とリフレッシュとか立て直しのための休養も一括りに「休み明け」と表現されて、一律でマイナス視されがちなのは確か。ですから、休養の中身でしっかり取捨選択することにより、回収率向上が見込めるはずです。
―つい先日の京都記念でも4ヵ月の休み明けで20キロ増だったヨーホーレイクがあっさり勝利を収めていましたね。ちなみに、みねたさんは陣営コメントを参考にされるんですか?
みねた)読みますよ。それこそ、そこに休養理由が書いてあることも多いですから。「屈腱炎での長期休養明けで…」とあったら、少し評価を下げることが多いです。ただ、それ以外の仕上がり状態に関するコメントはあまり参考にしません。例えば、陣営が「ここは一叩き」と言っていようが、「仕上がり万全!」と言っていようが、全然気にしません。むしろ、自分が狙いたい馬の陣営が「ここは一叩き」とコメントを出していれば「しめしめ、おいしくなりそうだな」と思いますし、「仕上がり万全!」というコメントをみたら、「期待値的に、これは嫌う要素だな」と捉えています。
―◎コスモフリーゲンの思考…というより「休み明けの考え方」でかなりのボリュームになってしまいました。◎コスモフリーゲンについての補足であったり、10番人気3着のストロングウィルの思考であったり、あるいはレース全体の捉え方などについては次回お願いします。
みねた)ストロングウィルはわかりやすい穴馬でしたね。このレースを取り上げるにあたって出馬表を見返してみて思うところもあったので、次回、お伝えしたいと思います。
(次回に続く)