プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“期待値党が考えるべきこと”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
4月20日 中山11R 皐月賞 芝2000m
皐月賞は中山芝2000mで施行されます。初角となる1コーナーまでは400m以上あり、先行争いにおける内外の有利不利はほとんどありません。とはいえG1の頂上決戦、しかも今年は後述する通り、タイムトライアルの形になる可能性が高いため、内枠がベターだと考えます。
登録21頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは13頭。極端な捲りタイプも複数いるため、展開は激しくなりそうです。道中、しっかり脚をためられるタイプが良いでしょう。
1番人気想定はクロワデュノール。3戦無敗、自身が負かした馬たちがトライアル戦線で活躍することにより、勝負付けが済んだ感があります。カッコいい名前も、人気に拍車をかけていますね。ただ、着差自体は東スポ杯2歳Sが0.1秒差、ホープフルSが0.3秒差と決定的なものとは言えません。もちろんこのままスター街道を突き進む可能性も十分にあるのですが、フルゲートで1倍台のオッズとなると、単勝では見合わないのではないでしょうか。
2番人気想定はサトノシャイニング。新馬戦は脚をためる競馬で抜け出し、前走も6番手から突き抜ける強い競馬でした。東スポ杯でクロワデュノールに遅れを取りましたが、逃げて目標になってのもの。力負けではありません。想定オッズ(6.6倍)ほどの差があるとは思えず、期待値ならこちらでしょう。
3番人気想定はエリキング。この世代の物差し馬ともいえるジョバンニに連続で先着し3戦3勝です。ジョバンニ比較で考えると、こちらもクロワデュノールと想定オッズ(10.4倍)ほどの差はなく、期待値はありそう。あとは骨折休養明けがどう影響するか。
4番人気想定がそのジョバンニ。ホープフルSのような展開が再現される可能性が高いだけに、そこで7-7-9-7から2着した内容は光ります。好走確率は高そうですが、2度先着を許しているエリキングとの力関係をどう捉えるかは1つのポイントですね。
穴候補も多士済々。前哨戦となるG2戦を制したファウストラーゼン、ピコチャンブラックは、ともに想定通りの10番人気前後なら期待値はあるでしょう。
タイムトライアルの様相を呈せば、葉牡丹賞を6-6-6-6から1.58.8で突き抜けたヴィンセンシオにアドバンテージがあります。流れた方がいいタイプで、想定通りの15倍前後なら◎候補の1頭。
デビューから3戦、一貫して脚をためる競馬を試みられているアロヒアリイはいかにもG1向きですし、京成杯で特大馬券をプレゼントしてくれたニシノエージェントも想定通りの人気薄なら期待値は間違いなくありそうです。
馬券的にはかなり面白く、枠と並びが非常に重要な一戦です。なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言177
期待値党が考えるべきこと
★ピックアップレース★
3月23日中山10R スピカS 芝1800m良
◎12コスモフリーゲン
高○11デコラシオン
穴▲3ルクスビッグスター
穴△5ストロングウィル
穴☆9エレクトリックブギ
注1アンリーロード
注14アドマイヤマツリ
―前回に引き続き3月23日中山10RのスピカSについて取り上げます。注◎△の決着で3連複は20,380円という高配当になりました。休み明けでなぜか人気薄だった◎コスモフリーゲンもおいしかったですが、高配の使者となったのが10番人気で3着に激走した穴△ストロングウィルです。
みねた)4走前が0.5秒差・7着、3走前が0.6秒差・6着、前走が0.9秒差・6着という過去戦歴をみたら、いかにも期待値がありそうじゃないですか。正直、12と14が馬券に絡んでいながらの2万馬券は、相当に美味しかった気がします。
―金言9「前走僅差の6着以下」ですね。6着が複数回あって、金言32「競馬で勝ちたければ、4と6を意識しろ」に該当しているのもわかります。ただ、正直、ここは骨っぽいメンバーが揃っていたので、この馬まで席が空いていないような気がしてしまいました。
みねた)骨っぽいメンバーでした?
―前走、現級で馬券になっている馬が3頭いて、2走前に現級で馬券絡みが2頭、勢いのある昇級馬も3頭…手強そうじゃないですか。
みねた)基本的に昇級馬はあまり評価しませんし、前走現級で馬券になった3頭はいずれも斤量増。特に3ルクスビッグスターに至っては3キロ増です。付け入る隙は十分にありそうにみえますよ。
―そうやって理詰めで言われると確かにそうなのですが、どうして骨っぽいと思ったのだろう…。(出馬表をしばらく眺めて)わかった、色がたくさん付いているからだ。過去5走内に連勝のある馬が4頭もいるなど、出走馬の過去走がカラフルなんですよ。
みねた)それはあるかもしれませんね。今では、ネット上の馬柱は3着内の好走時は色がついていたりするし、上がり上位も色が変わっていたりします。紙の新聞でもカラーでプリントされるレースは同様ですよね。そうすると前走1着の昇級馬が嫌でも目立つ一方で、ストロングウィルのような、ずっと馬券に絡んでいない馬は真っ白な状態で、無意識にスルーされがちです。
―出走馬16頭の過去5走分は合計80コマありますが、数えてみたら37コマが3着以上=色付きでした。このビジュアルで、「メンバーが骨っぽい」と思い込んでしまったのか。
みねた)昇級馬が揃いカラフルな出馬表になっているレースで、馬柱に色がついていないストロングウィルみたいな馬は期待値が取れますよ。このレースなら(過去5走馬券絡みがなく色が付いていない)ロジマンボも単勝190倍超ですが、190回走ったら1回は勝つと思うので、期待値はあるはずです。
―1番人気のアドマイヤマツリは過去5走全て馬券絡み(=色付き)、2番人気のミッキーツインクルはデビュー4戦全て馬券絡み(=色付き)、3番人気キュクヌスは過去5走中、直近4走で馬券絡み(=色付き)です。カラフルな馬柱の馬がしっかり人気しているような…。
みねた)コスモフリーゲンが休み明けでなかったら、過去5走中4走は色が付いていました。前走欄が休み明け表記の色なしの空欄になったことで目立ちにくくなりますし、有利な距離短縮ローテーションであることも見逃されやすくなります。コスモフリーゲンの思わぬ人気薄には、少なからず、色付きの出馬表で予想する人が増えたことが影響しているような気がしますね。
―カラフルな出馬表をみて「骨っぽいメンバー」と考えた私の思い込みを、コラムのネタにまで昇華していただいて恐縮です(笑)。
みねた)色をつけて視認性を良くすることは、予想する上で大きな手助けになります。それは素晴らしいことなのですが、期待値党であるならば、それがオッズにどう反映するかまで考えたいですよね。