プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“重賞適性の高いタイプの格上挑戦”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
4月27日 東京11R フローラS 芝2000m
フローラSは東京芝2000mで施行されます。初角となる2コーナーまでは130m弱と非常に短く、先行争いにおいて内枠が有利なコースです。開幕週ということもあり、内枠有利になる可能性が高いでしょう。
登録21頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは10頭。先行馬占有率は高めで、メンバー構成的にも内枠が有利。非常に枠順の重要度が大きなレースです。
1番人気想定はブラックルビー。2戦2勝と底をみせていませんが、2戦ともに先行策でのもので、特に勝ち方が目をひくわけではありません。1番人気とはいえ想定オッズ5倍となっているので、内枠でこのオッズをもらえるなら一考、といったところでしょうか。
2番人気想定はエストゥペンダ。重賞実績の乏しい馬が揃ったメンバーの中で、フェアリーS、クイーンCの連続3着は価値があります。相対的に能力上位であることは間違いなく、ためて速い上がりを出すことができるのでペースが上がるのも歓迎。ただ、距離延長ローテはマイナスで、9番人気→6番人気ときての2番人気なので、人気面でも“買い時”という感じはしません。
3番人気想定はゴーソーファー。前走のフラワーCは9-9-10-9と道中でしっかり脚をためる競馬で3着。2走前に皐月賞出走のアロヒアリイにも先着しています。相手が強化される重賞に向くタイプで、上位人気の中では買い材料が揃っている印象です。
4番人気想定はグローリーリンク。デビュー戦を0.9秒差圧勝で、前走のエルフィンSでも2着を確保しました。前走は特筆する内容でもなく、距離延長はマイナス。確たる買い材料はありません。
5番人気想定はヴァルキリーバース。前走のフリージア賞は8-2-2と捲る競馬で牡馬相手に完勝。能力は確かです。昇級が歓迎というタイプではありませんが、G1よりも前哨戦が向くともいえます。ここを全力で獲りにくるとみたら狙う手もあるでしょう。
ロジャリーマインは17-17-4-2という強烈な捲りで未勝利勝ち。こちらも相手強化が歓迎というタイプではありませんが、能力は高そうです。
穴なら芝2000mでデビューしている組に注目。カムニャックは2000mで新馬勝ちを収めた後、マイルで連敗中。2戦目のアルテミスSでは1番人気に推されていた素質馬で、人気を落として適距離に戻るここは“狙い時”です。
同じく2000mで新馬勝ちしているのがドーギッド。続くあすなろ賞は1番人気に応えられませんでしたが、8-9-8-7と脚をためての4着なら悲観する敗戦ではありません。人気急落が見込まれる今回、出走が叶えば期待値はありそうです。
特殊なコース形態で、とにかく内枠有利が揺るがない一戦。買い材料がある馬でもオレンジ帽、ピンク帽となると、かなり厳しい戦いを強いられそうです。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言178
重賞適性の高いタイプの格上挑戦
★ピックアップレース★
4月12日中山11 ニュージーランドT 芝1600m良
◎13イミグラントソング
穴○9ジェットマグナム
▲7アドマイヤズーム
△4ルナルーチェット
☆2コートアリシアン
注12プリティディーヴァ
―4月19日のニュージーランドTは◎→▲→☆の決着。2番人気→1番人気→4番人気という数字だけみると人気サイドの平穏な結果なのですが、朝日杯FSを勝っている断然人気馬がいるレースで、敢えて外枠の格上挑戦馬イミグラントソングに◎は迫力を感じました。
みねた)1勝クラスを経由している馬が多いし、期待値が取れそうな馬が不利な枠に入っていて難しいレースでしたね。
―まずは◎イミグラントソングの思考から教えてください。
みねた)格上挑戦というのは、それ自体が期待値を取りやすいパターンですよね。しかもこの馬は格上挑戦の中でも狙いやすいタイプでした。「重賞適性の高いタイプ」とでも言いましょうか。
―重賞適性とは聞き慣れない言葉ですが。
みねた)内容としては、ここ最近、何度も話しているものですよ。自力で動くタイプと脚をためるタイプの比較ですね。
ナムラクレアを例にしてお話されるやつですね。ナムラクレアは自力で捲り気味に動けるので前哨戦で強いけれど、G1本番ではしっかり脚をためるタイプに足元をすくわれがちという。
みねた)そうです。基本的に、下のクラスでは自力で動いていけるタイプの方が能力を出し切れる分、とりこぼしが少なくなります。逆に、道中でしっかり脚をためるタイプは、能力は上でも展開のアヤで取りこぼす可能性が高い。これはエンブロイダリーの戦績をみると非常にわかりやすいですね。
―新馬戦は5-7と脚をためて、メンバー最速の上がり33.2秒の脚を使いながらもミリオンローズを捉えきれず2着。3戦目のサフラン賞も7-8-8と脚をためて、メンバー最速の上がり34.1秒を使いながらも勝ち馬から0.1秒差の5着。
みねた)3戦して2敗。この馬柱だけをみたら、無敗の馬などに比べると地味に映りますよね。「2回も負けているのか」と。ただ、4戦目の1勝クラスでは6-4と動いて、メンバー最速の上がり33.1秒で差し切りという、負けようがない競馬でした。そしてそのままクイーンC、桜花賞と3連勝です。桜花賞を勝つぐらいの実力があっても、自己条件のペースに付き合って脚をためれば取りこぼすし、その一方で、クラスが上がってペースが上がれば、脚をためてきた競馬が生きて、能力全開となるということですね。
―脚をためるタイプは自己条件で取りこぼしても、格上挑戦や重賞になると力を出し切れる=重賞適性が高いということですね。
みねた)そういうことです。それは未勝利馬の格上挑戦などでも同じで、未勝利戦でしっかり脚をためる競馬を試みられて差し損ねていた馬は、格上挑戦でペースが厳しくなって本領発揮し波乱を演出することが多いのです。
―その手の的中は、何度も記憶にあります(笑)。イミグラントソングは、前奏の1勝クラスでは4-6と脚をためる競馬で、メンバー最速の上がり33.5秒を使いながらも3着止まり。1倍台の支持に応えることはできませんでしたが、先ほど挙げたエンブロイダリーのサフラン賞にそっくりな内容ですね。
みねた)そうですね。格上挑戦自体、期待値を取りやすい臨戦過程ですが、特に好走しやすいパターンに当てはまっていました。
―同じように1勝クラスで0.2秒差4着、0.4秒差3着と僅差の競馬を続けていたチョングクは7-7-4、9-8-4という通過順位でした。
みねた)こちらは能力を出し切っている可能性が高く、格上挑戦でパフォーマンスがアップしにくいパターンですね。とはいえ、この馬の単勝オッズは220.2倍で、220回走ったら1回ぐらいは勝ちそうです。期待値自体はあったのではないでしょうか。
―スタートから最初のコーナーまでが短く内枠有利の傾向が強い中山芝1600mで、1枠1番でもありますしね。やはり格上挑戦は人気になりにくいということでしょうか。
みねた)もちろんそれもありますが、このレースはアドマイヤズームの単勝1.7倍というのが売れ過ぎで、頭の期待値という意味では明らかに「人気を吸っている」状態でした。競馬は1頭の馬柱を見ればいいものではなくて、相対的な比較が重要です。出馬表の中に、明らかに人気を吸っている馬がいたら、他のどの馬を買っても期待値が取れる状態になりますから。チョングクが220倍という極端な人気薄になったのもアドマイヤズームの存在が大きかったということです。
―アドマイヤズームが売れ過ぎていたから、イミグラントソングにも期待値が上乗せされていたわけですね。
みねた)とはいえ、5.5倍は少し辛いですけどね。アドマイヤズームが売れ過ぎた理由と格上挑戦馬が期待値を取りやすい理由は根本部分で繋がっていると思うので、次回はその辺りについてお話ししたいと思います。
(次回に続く)