プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“穴馬は完全に上手くいった時に好走する”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
5月11日 東京11R NHKマイルC 芝1600m
NHKマイルCは東京芝1600mで施行。初角となる3コーナーまでは500m以上あり、先行争いにおける有利不利はありません。
現状で出走可能な18頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは5頭。先行馬占有率は高くなく、道中で好位につけられるタイプ、自力で動けるタイプが良さそうです。
1番人気想定はアドマイヤズーム。前走のニュージーランドTでの単勝1.7倍は過剰人気が否めませんでしたが、そこを惜敗したことで今回は1番人気とはいえ3倍前後の想定オッズ。朝日杯FSでは2番手から上がり最速で押し切っており、メンバー構成から想定されるペースも合いそうで、好走確率は高そうです。
2番人気想定はイミグラントソング。前走のニュージーランドTは外枠から上がり33.1秒の脚を使ってアドマイヤズーム以下をねじ伏せ、能力の高さを見せつけました。今回は18頭と頭数が増え、アドマイヤズームだけをマークすればいいという戦いではなくなる点がどうか。
3番人気想定はランスオブカオス。チャーチルダウンズCは後続に0.3秒差をつける完勝で、鞍上が若武者・吉村誠之助というのも魅力的ですね。ただ、道中でしっかり脚をためられるタイプなので、ペースが流れて欲しいクチ。先行馬占有率が高くなく、ハイペースで飛ばすタイプも少ないここは、展開面では恵まれない可能性が高いか。
4番人気想定はマジックサンズ。皐月賞では後方から追い上げ6着と健闘しました。G1では短縮自体にアドバンテージがあるものの、テンに遅い点では短縮は割引。ただ、デビュー2戦をみても3~4コーナーで動けており、ペースが緩みそうなメンバー構成なのはプラス。プラスとマイナスが入り乱れて判断が難しいですが、4番人気・10倍前後のオッズなら期待値はありそうに思えます。
5番人気想定はサトノカルナバル。函館2歳Sを短縮ローテで制しているとはいえ、マイルG1を戦える裏付けは特にありません。戦績だけみると10番人気前後が妥当のようにも感じます。レーン騎手と堀調教師という最強タッグでの上積みは見込めますが、それでどこまで上位との差を詰められるか。
昨年の朝日杯FSで1番人気の支持を受けていたアルテヴェローチェは、年明け2戦を2着、2着と取りこぼして、今回は6番人気想定。人気的には買い頃という印象です。道中で押し上げていける脚を持っているので展開も向きそうです。
ヤンキーバローズはファルコンSの勝ち馬ながら8番人気・20倍前後の想定。距離延長で追走が楽になるここは、マークの薄さを利しての一発があるかも。
前走G1組ということで見逃せないのはマピュース。人気になりにくい、追いかけて損のない馬で、ここも想定通りの10番人気・25倍前後なら期待値があるのでは。
メンバーを見渡すと、アドマイヤズームは安定して走れそうな印象。そこまでメンバーレベルは高くなさそうな混戦模様なので、日本人騎手の奮起にも期待したいですね。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言180
穴馬は完全に上手くいった時に好走する
★ピックアップレース★
4月27日 東京10R オアシスS ダート1600m良
◎1バトゥーキ
穴○12サンライズジーク
穴▲9ベルダーイメル
穴△3ユティタム
☆5ペリエール
注6バトルクライ
―今週は4月27日東京10RのオアシスSを取り上げます。8番人気2着のバトゥーキに◎を打ち、注→◎で馬連5580円でした。
みねた)ちょっと外に出すまで待たせるなどロスが多く、スムーズなら頭だったのでは?という悔しさはありますが、8番人気は非常に甘かったですね。
―その理由を考えてみたいのですが、やはり枠は大きいでしょうか? 芝スタートかつ初角までの距離がある東京ダート1600mは外枠有利の傾向が強いコースなので。
みねた)それは一つの理由でしょうね。私も予想のスタート地点は外枠からみていますので。
―実際に、穴○は8枠12番のサンライズジーク、穴▲ベルダーイメルは7枠11番でした。
みねた)サンライズジークは「大外枠の逃げ馬」という時点で一発がありそうですよね。ただ、前走の14番人気14着という戦績自体は見どころがなく、単勝48.5倍なら期待値はありそうですが、好走率という点で◎にするのは難しい。単勝オッズ100.9倍のベルダーイメルも同様です。
―48回に1回、100回に1回は勝つ可能性があるけれど…ということですね。そこで◎に抜擢したのが1枠1番のバトゥーキでした。
みねた)見解文にも書きましたが、「外枠が良いコースではあるが最内枠なら悪くはない」んですよね。
―その理由を解説していただけますか?
みねた)まず第一に、最内枠なので、出たなりに真っ直ぐ走れば、間違いなく最短距離を走ることができますよね。競馬はオープンコースで行われるので、このアドバンテージは非常に大きいです。そしてもう一点、内からぶつけられる心配が無いというのも大きな理由です。
―これは第一回のコラムから一貫して主張されていますよね。「競馬というのは1000m以上走ってハナ差で争う競技。だからこそ、スタート直後に僅かにスピードを加減したというレベルでも、結果に影響する」と。
みねた)最後の直線だけみていると気付きませんが、スタート直後にヨレる馬は多く、かなりの不利が生じているんですよね。最内枠と大外枠は、単純に寄られる不利のリスクが1/2になるので有利です。不利を受ける確率が少ないという表現の方が的確かもしれません。
―内枠の中でも「最内枠」だからこそのメリットですね。
みねた)他の内枠とは全く違いますね。2番?6番ぐらいまでは、ただただ内枠のデメリットがあるだけなので。ですから、東京ダート1600mとか新潟ダート1200mのような外枠有利のコースでも、最内枠は割と◎にするケースが多いですよ。
―実際、道中は後方追走でしたが、非常にスムーズにみえました。
みねた)穴馬というのは、完全に上手く運んだ時に好走するんですよ。0か100で、100を出せた時には波乱を演出する。そして100のパフォーマンスが出やすいファクターが最内枠なんです。○サンライズジークの「大外枠の逃げ」も、上手く運べば100のパフォーマンスが出やすいということで、同じ理屈ですね。
―確かに、直線どん詰まりで大敗するかもしれませんが、上手く捌ければコースロスの全くない最高のパフォーマンスになりますもんね。
みねた)そういうことです。穴馬には毎回80みたいな安定したパフォーマンスは求めていませんから。バトゥーキは直線で外に出すのに手間取った分、100のパフォーマンスを出せずに2着止まりでしたけど(苦笑)。
―最内枠以外の、バトゥーキを狙った理由も教えていただけますか?
みねた)これは馬柱をみたら、「なんで8番人気なの?」となると思いますよ。3勝クラスを勝ち上がって、昇級初戦のOPを2番人気2着。その後も0.9秒差・6着、0.3秒差・5着だから全然負けていません。この馬は3勝クラスの時にも◎にしてお世話になっていますが、実力に対して人気になりにくい、いわゆる「持ち人気」の低いタイプなんですよ。
―本当ですね。前走リステッドで0.3秒差なら、メンバー最上位と言ってもいいぐらいのパフォーマンスなのに。
みねた)金言177で触れた、馬柱に色が付かないと一気に見限られるタイプなのでしょう。これから先もまた、波乱の立役者になってくれるのではないでしょうか。
―あと、この馬が人気薄だった理由の一つには、1600mが初めてだったというのもあると思うんです。実際に、陣営コメントでも「1600mは未知数」みたいなニュアンスでしたから。
みねた)後方からいくタイプなので、追走が楽になる距離延長はプラスです。あとはスタミナが足りるかどうかの問題で。
―そういえば、同日に行われたマイラーズCの◎ロングランも初距離でした。次回は初距離というテーマも絡めつつ、マイラーズCについて伺わせてください。