プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“平場は出たなりになりやすく、重賞は競り合いが生じやすい”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
5月18日 東京11R ヴィクトリアマイル 芝1600m
ヴィクトリアマイルは東京芝1600mで施行。初角となる3コーナーまでは500m以上あり、先行争いにおける有利不利はありません。
登録23頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは6頭。道中は好位につけられるタイプが良さそうです。
1番人気想定はアスコリピチェーノ。昨年のNHKマイルは致命的な不利がありながらジャンタルマンタルの2着、秋の京成杯AHでは古馬相手に55.5キロの斤量を背負いながら完勝と能力の高さは疑いようがありません。しっかり脚をためて追い込める馬でありながら、過剰な人気を背負いづらいという好きなタイプでもあります。前走はサウジアラビアの1351ターフスプリントを勝利。馬券的にはここで負けてオッズをチャージして欲しかったというのが本音です。特に期待値を積む要素はありませんが、1番人気とはいえ想定オッズ5.1倍なら悪くはないでしょう。
2番人気想定はステレンボッシュ。昨年の桜花賞ではアスコリピチェーノを降して優勝しており、マイルに戻るのはプラスでしょう。過去の実績から、この馬も能力上位は明白です。あとは前走の大阪杯13着をどう捉えるか。2番人気馬の戦績と考えるとこの二桁着順は消し材料になり得ますが、想定6.0倍なら買えなくもないというライン。非常に悩ましい存在です。
3番人気想定はボンドガール。デビュー2戦目から重賞路線を歩み、これまで重賞で2着5回というシルバーコレクターです。道中で脚をためられるのでG1の流れも向くでしょう。ただ、1勝馬をG1の3番人気で買いたいかと問われると、少なくとも頭では買いにくいというのが正直なところではあります。
4番人気想定はクイーンズウォーク。前走のG2金鯱賞は牡馬相手の勝利で、能力の高さを見せつけました。頭か大敗かという極端な戦績なので、想定オッズ8倍なら、単勝で狙う手はあるかもしれません。
5番人気想定のアルジーヌは2走前にターコイズSを勝ち、前走は阪神牝馬S2着。正直、ここまでの4頭とは実績で見劣ります。道中で脚をためられる脚質はG1向きで、鞍上のレーン騎手も魅力ですが、想定オッズ8.5倍は他の人気馬との比較で辛く映ります。
期待値を追うならラヴェルが面白そう。昨秋、エリザベス女王杯2着の実績があり、前走の大阪杯も11着とはいえ0.7秒差。ステレンボッシュとの比較で考えても、13番人気・44.9倍なら。
シンリョクカは道中で脚をためられ、G1の流れが向くタイプ。大穴で注目。8-9-7-7で中山牝馬Sを制したシランケドも脚質的に良さそうですが、3連勝中だけに期待値は取りにくいか。同じく中山牝馬Sを6-6-7-7から4着だったビヨンドザヴァレーもG1でパフォーマンスを上げてきそうです。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言181
平場は出たなりになりやすく、重賞は競り合いが生じやすい
★ピックアップレース★
4月27日 京都11R マイラーズC 芝1600m良
◎10ロングラン
穴○4ビーアストニッシド
▲9レイベリング
△8セオ
☆3ジュンブロッサム
注2ニホンピロキーフ
―4月27日京都11R マイラーズCは5番人気1着のロングランに◎。◎→☆→△の決着で単勝1020円、馬単3080円、3連単10820円でした。
みねた)ロングランは「バーゲンセールですか?」と思うほど、非常に甘かったですね。前走で3勝クラス3着止まりだったミスタージーティーが赤オッズ(一桁)になるようなメンバー構成で、前走重賞勝ちのロングランがその馬よりも人気になっていないわけですから。しかも、並びが非常に良かった。
―並びに恵まれていたのは私も気付きました。7番、8番、9番と先行馬が3頭並んだ外でしたから。
みねた)前回のコラムで「最内枠」のアドバンテージについて触れましたが、同様に「大外枠」も隣から寄られる不利のリスクが1/2になります。したがって、自身の内側が先行馬であれば、実質的な「逃げハサミ」。ましてや自身の内3頭が先行馬ですから、「不利を受けにくく内に入れやすい」という、かなり有利な並びですよね。
―問題はロングランが初距離だったという点です。デビューから一貫して1800m以上のレースを使われていて、このレースが初めてのマイル戦でした。前回のコラムの最後で、初距離1600mへの距離延長となるバトゥーキについて「後方からいくタイプなので、追走が楽になる距離延長はプラス」とおっしゃっていましたが、それでいうと後方からいくロングランにとって距離短縮はマイナスに働くような気がするのですが?
みねた)1600mへの適性は未知ですが、確かに、脚質的に距離短縮がプラスに働く臨戦過程ではありませんね。ただ、一方で重賞は基本的に距離短縮がプラスに働きやすいんですよ。
―クラスによって違うと。
みねた)そうです。平場のレースは、基本的に「出たなり」で考えていい。「絶対に勝ちたい!」とばかりに勝ちに行く馬は少ないので、先行馬が多ければ前が激しくなり、少なければペースが緩む、つまり、先行馬の頭数通りの展開になりやすいのです。一方、重賞になると勝ちに行く馬が多いので、道中の競り合いが生じやすく、基本的には短縮ローテが恵まれやすいという構図があります。
―重賞の舞台なら、それまで先行していなかった馬でも、先行できそうなら出していくでしょうしね。
みねた)あと、ロングランは前走の通過順位が11-8-9と道中で動いていく脚をみせていた点もまた、短縮をこなせるかもしれないという後押しにはなりました。ただ、もちろん、距離短縮が大歓迎だとは思っていないし、初距離に対応できるかは未知数です。それでも単勝オッズ10倍は「嘘でしょ!?」という甘さだったので。追走面のマイナスと重賞のタフさで短縮ローテへの不安は相殺されて、先行馬3頭並びの外かつ少頭数の大外という買い材料が重なっている馬が10倍なら買いの一手でしょう。
―改めて「初距離」に対する考え方を教えてください。
みねた)走ったことのない距離なので、適性があるか事前に見抜くのは不可能ですよね。ただ、追走力の観点で延長短縮をみればロングランは買えなくてもバトゥーキは買えるし、短縮が強いという考え方ならバトゥーキは買えなくてもロングランは買えるはずです。両方買えなかった人は、自身の理論を貫けていないか、初距離の馬を無条件に消してしまっているということでしょうね。
―初距離を消す理由にしてしまっているのかもしれませんね。
みねた)どちらも人気薄になっていたということは、そういう人が多いのでしょう。ただ、初距離に限らず、初芝、初ダートなど“初”のつくものは、期待値を上乗せしやすい要素なので、積極的に狙って損はありませんよ。
―金言179の「死角のない馬ほどぶっこみやすい」にも通じる話ですね。