プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“千直ではコーナーで置かれる馬を上げ、動ける馬を下げる”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
5月25日 東京11R オークス 芝2400m
オークスは東京芝2400mで施行。初角となる1コーナーまでは約350mで、先行争いによる内外の有利不利はそれほど大きくありません。とはいえ、トップクラスの馬たちが争うG1レースなので、基本的にはロスの少ない内枠有利と考えてよいでしょう。
登録20頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは8頭。比較的先行馬が揃っているので、道中でしっかり脚をためられるタイプが良いでしょう。
1番人気想定はエンブロイダリー。多くの3歳牝馬にとっての目標である桜花賞を制した馬ですから、世代トップクラスの能力があるのは間違いありません。ただ、1800mの未勝利戦を圧勝しているので杞憂に終わるかもしれませんが、1勝クラス勝ちが1400mであったという戦歴からは、2400mに一抹の不安は残ります。能力の高さでこなす可能性も十分ありますが、2倍台で単勝の期待値があるかと問われると微妙か。
2番人気想定はアルマヴェローチェ。2歳女王であり、桜花賞2着馬ですね。しっかり脚をためられるレースぶり、デビューから2戦連続で1800mを使われていることからも、こちらは距離延長がプラスに働きそうではあります。好走確率は高いと思いますが、あとは2番人気・3.2倍のオッズが見合うかどうか。
3番人気想定はリンクスティップ。こちらは桜花賞3着馬です。その桜花賞は4コーナー15番手から追い込んできました。追走が楽になる分、距離延長は良いでしょう。デビュー戦が2000mだったことからも、長い距離は向きそうです。桜花賞上位2頭と比較した時、推定6.5倍というオッズは買いやすいように映ります。
桜花賞で1番人気に応えられなかったのがエリカエクスプレス。ただ、悲観するような内容ではなく、ここで4番人気・13.2倍まで人気を落とすようなら買い頃といえるかもしれません。展開面にアドバンテージがあるわけではないので、内枠の後押しが欲しいところです。
道中脚をためられるタイプという意味ではカムニャック。フローラSは8-9-9からの差し切りでした。戦歴を紐解いても、1600mが合わなかったというのは明白で、距離延長は悪くないはずです。
パラディレーヌはフラワーCで12-12-10-12から2着。道中で2度脚を使うタフな競馬でした。東京替わりでより末脚が生きるでしょう。
エストゥペンダは東京ではご法度の捲りを打ったフローラSでも僅差の4着に健闘。全くの人気薄が想定されるだけに、出走が叶えば注目しておきたい存在です。
全馬が距離延長になる展開派にとっては難しいレース。それだけに予想のし甲斐もあります。先行馬が多いのでハサミが発生する可能性も高そうですし、並び、枠、単体での期待値などを総合的に判断して、しっかり的中に辿り着きたいと思っています。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言182
千直ではコーナーで置かれる馬を上げ、動ける馬を下げる
★ピックアップレース★
5月10日 新潟11R 駿風S 芝1000m稍重
◎16レベレンシア
○8プロスペリダード
▲3エコロレジーナ
△13グレタ
☆1コナブラック
注9ウォータールグラン
注15カフジテトラゴン
―この前後にも取り上げたいレースがいくつかあるのですが、今週で1回新潟開催が終わってしまうので、5月10日新潟11Rの駿風Sについて伺わせてください。このレースは◎16レベレンシアが快勝し◎→注→▲で決着。単勝440円、馬単1370円、3連単24790円となりました。
みねた)レベレンシアの単勝3番人気は非常に甘かったですね。期待値的に買いやすい材料が多く、千直の大外枠ということを加味すると抜けた一番人気になっても不思議ではないぐらいに思っていたので、しっかり仕留められてよかったです。
―今週まで新潟開催がありますので、レベレンシアを狙えた理由について教えてください。
みねた)まず、単純に相手関係ですよね。前走でオープンの北九州短距離Sを0.4秒差9着。そこからの自己条件戻りです。能力上位でありながら、前走着順の影響で買いやすいオッズになる、私が好んで狙うパターンのひとつでもあります。
―確かにそうですが、2走前以前に3勝クラスで4走連続の馬券外が続いていて、少し狙いにくいようにも見えます。
みねた)相対的な比較になりますよね。前走二桁着順の馬が11頭、昇級戦の馬が3頭、あとは前走9着の馬が2頭で、そのうちの1頭が「前走格上挑戦で0.4秒差・9着」のレベレンシアでした。
―2走前にまで目を向けると、カフジテトラゴンが千直のオープンで2着に好走していました。
みねた)そこはオッズですよ。確かに(カフジテトラゴンは)千直が得意なので、前走の大敗で3~4番人気あたりに人気を落としていたら狙う手もあるでしょう。2.8倍の1番人気馬なら、前走13着は気になる材料ですし、2走前が53キロ、今回が56キロというのもマイナスです。また、金言180「穴馬は完全に上手くいった時に好走する」にも通じる話ですが、外枠有利の一戦といっても、「有利な外ラチ沿いの走りやすさ」という観点から16番と15番では差があります。ステップも枠もいいレベレンシアを上に取るのは必然ですね。
―レベレンシアは初めて千直戦でした。
みねた)これは前回のコラムで触れていますが、「初モノ」は基本的に期待値を積みやすい条件です。何かを変えた時が狙い目で、千直も一生懸命まっすぐ走っているうちに「走っちゃった」というパターンも多いと思うんです。逆にいうと、千直で一変した馬は次の千直でも人気になりますが過信禁物です。
―「ローテーション」「大外枠」「初の千直」という買い材料が揃っていたわけですね。いずれも千直に限った話ではなく、みねた理論通りに考えれば辿り着けたということか。
みねた)そうですね。ただ、千直ならではの理由もあって、それが前走の通過順位です。コーナーで置かれて位置を下げているタイプは、コーナーのない千直がプラスに働く可能性が高く、狙い目です。
―レベレンシアの前走の通過順位は3-4ですから4コーナーで位置を下げていますね。
みねた)9番人気3着で波乱を演出したエコロレジーナも11-13とコーナーで位置を下げていました。これとは逆に、コーナーで捲っていけるようなタイプは、千直では「コーナリング性能」というアドバンテージを失うので、相対的に評価を下げることが多くなります。このレースでいえば、14-11と1200mでも捲れる機動力をみせているランドオブラヴは、千直よりもコーナーのあるコースで狙いたいタイプです。
―12番のランドオブラヴを無印にしたのは、しっかりした理由があったのですね。
みねた)付け加えるなら、千直の外枠有利は浸透し過ぎているので、どうしても売れてしまいます。実際、このレースでも14-15-16の3連複が7.1倍と抜けた人気になっていました。それだけ外枠ボックスを買う人が多いのでしょう。実際、競馬の性質上、並び同士の馬が好走しやすいのは事実なので、外枠から2頭以上馬券に絡むことが多くなります。期待値を考えるなら内枠から1頭選べるかどうかが重要で、その判断材料のひとつとして「能力はあるのにコーナーで置かれている」という視点を取り入れるのは有効です。