プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「組み合わせで勝つ」ということ”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
6月22日 阪神11R しらさぎS 芝1600m
2週早まった宝塚記念が終わり、今週から一足早い夏競馬という印象ですね。
新設重賞のしらさぎSは阪神芝1600mで施行。初角まで十分距離があるので、先行争いにおける内外の有利不利はあまり大きくありません。登録15頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは3頭。基本的には前有利、あとは捲れるタイプ、外をスムーズに追走して瞬発力を生かすタイプも良さそうです。
1番人気想定はチェルヴィニア。オークス・秋華賞の牝馬二冠を達成し、ジャパンCで0.4秒差の4着という実績は明らかに格上の存在です。京都記念では道中で3番手まで押し上げる機動力もみせており、展開面も問題なさそう。1倍台の人気ならともかく、2.8倍もらえるなら悪くありません。
2番人気想定はシヴァース。前走は3勝クラスを3番手から抜け出しての勝利で、いわゆる「先行昇級」になります。メンバー的に先行力があるのは悪くありませんが、強い馬から目標にされてしまいそうなのはマイナス。相手関係も考慮すると、4.2倍では期待値は取れないと考えざるを得ません。
3番人気想定はレーベンスティール。重賞3勝を誇り、現役の中距離戦線ではトップクラスの力量馬です。道中で脚をためるタイプなので展開面の恩恵は薄いでしょうが、能力差で相殺できそう。59キロ、前走の大敗はオッズが甘くなりやすい要因で、想定通りの6.5倍は甘く映ります。
4番人気想定はキープカルム。前走はダービー卿CTで3着に追い込みました。前走の内容は悪くないですが、後方からチェルヴィニアクラスを差せるかと問われると微妙。期待値派としては前走が絶好の買い時だったのでは。
5番人気想定はデビットバローズ。1800mからの距離短縮ローテですが、先行しての距離短縮というのは良いでしょう。10倍なら悪くなさそうです。
ニホンピロキーフは前走マイラーズCを4着。G2で3番人気4着から今回はG3で想定6番人気というのは甘いですね。僅差の4着以下続きというのもオッズチャージになります。マイルCSでの0.7秒差・8着だけ走ればチャンスは十分。13.5倍なら本命候補です。
ダディーズビビッドはメンバーで唯一の前走安田記念組。14着大敗ですが、それゆえに人気を大きく落としそう。脚質的には向きませんが、12番人気・44.3倍なら期待値はあるでしょう。
メンバー構成的に、内でスムーズさを欠くと致命傷になりそうな一戦。枠と並び、そしてオッズを考慮して、しっかり正解に辿り着きたいと思います。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言186
「組み合わせで勝つ」ということ
★ピックアップレース★
5月31日東京8R 4歳以上1勝クラス ダート1600m不
◎10チザルピーノ
高○3レッドライトニング
穴▲4ソウキュウ
穴△14サンドオブエテル
☆2ソニックライン
注11ネオシルバー
―今回は5月31日の厳選勝負レースについて取り上げます。東京8R、10R、11Rと続けて的中したのですが、この日の東京9Rは雷の影響で中止だったんですよね。だから、中止を挟んでの3連続的中というレアケースでした。ちなみに、中止になった9Rの間は何をされていたのですか?
みねた)もともと二場開催でゆとりがあったのでのんびり情勢を見守っていましたよ。ただ、東京10R、11Rも中止になった場合の代替レースをどれにしようかは考えていました(笑)。
―無事に開催されたからこその的中だったわけです。この3レースで打った◎は、8Rチザルピーノ(1人気2着・1.5倍)、10Rウインアイオライト(5人気1着・12.6倍)、11Rウェイワードアクト(1人気1着・2.6倍)と人気がバラバラで、まさに変幻自在。正直、8Rのチザルピーノは期待値が取れないタイプかと思いました。
みねた)単勝では間違いなく期待値はないでしょうね。8Rや11Rで1番人気に◎を打った理由はいくつかあります。1つは二場開催でそもそも厳選レース候補が限られていたこと。もう1つは、組み合わせでも期待値を出せること。そして、単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』や予想家活動としての発信の成果として、ある程度「1番人気馬を◎にしても期待値は取れるよ」というのが根付いた手応えがあることです。
―二場開催で厳選レース候補が限られていたというのは理解できますので、後者2つについて説明していただけますか?
みねた)単純に◎の回収率を出すのに対し、組み合わせの回収率の検証というのは難しく、この部分を攻略している人は少ないですよね。私の場合、とある条件において◎から高期待値馬に流した場合、ワイドで114%、馬連で143%という数字が出ていることがわかっていて、チザルピーノを◎にしても相手の○3レッドライトニング、▲4ソウキュウ、△14サンドオブエテルに流す馬券で回収率が出せると判断しました。
―てっきり、単勝で期待値を取れる馬を探すところから予想が始まっているのかと思っていました。
みねた)おっしゃる通り、まずは単勝で期待値を取れる馬を探すのが大事で、馬券力の錬成という意味では、単勝で回収率100%以上を出せるようになるのが基本です。そして、そういう馬がみつからなければ無理に勝負する必要はありません。ただ、予想を出す立場である以上、スルーばかりしているわけにはいきませんし、単勝で期待値を取れなくても、トータルで期待値が取れるひきだしを持っているに越したことはありません。
―それが東京8Rだったと。
みねた)このレースの場合、軸候補が◎チザルピーノ1頭だけで、高期待値馬が前出の3頭というメンバー構成。これが組み合わせで期待値を取りやすい条件に合致していました。仮に、軸候補、つまり馬券に絡みそうな能力上位馬がチザルピーノ以外に2~3頭いたらどうでしょう?
―軸候補で悩みますね。
みねた)そうですよね。3頭いる高期待値馬が頑張っても、馬券内3つの席を能力上位馬に埋められてしまう可能性も高まります。腹を括って高期待値馬から買うにしても軸候補が3頭もいると点数が増えてしまいますよね。その点、軸候補1頭+高期待値馬というメンバー構成であれば、軸候補から高期待値馬に流す馬券でよいので組み立てやすく、回収率も出ています。
―実際、レースでは逃げた◎チザルピーノを△14サンドオブエテルがアタマ差交わしてゴール。馬連4060円的中となりました。
みねた)◎の単勝は1.5倍なのでオッズ切りの対象になります。馬連5点で40.6倍、ワイドは3点(ワイドは○▲△穴の馬まで流す)で16.2倍ですから十分でしょう。まさに「組み合わせ」の勝利です。これ以外にも、メンバー構成によって組み合わせで期待値を取れるパターンはいくつもあり、それを検証できるのが私の一つの強みですね。
―単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』や予想家活動としての発信の成果として、ある程度「1番人気馬を◎にしても期待値は取れるよ」というのが根付いた手応えがあること、についても教えてください。
みねた)私の予想に対する的中報告などを見る限り、「穴を買わないと勝てない」という固定観念にとらわれている方はかなり減ってきたように感じています。ユーザーの皆さんの知識が向上している今なら「1倍台なんかに◎を打ちやがって」という反応はないだろうと。レベルが上がれば個人的には馬券で勝ちにくくなるのですが、自分を信じてくれる馬券ファンの馬券力を上げたいと願っていたので、嬉しいことですよね。