プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“重賞以外のハンデ戦を意識する”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
7月6日 小倉11R 北九州記念 芝1200m
北九州記念は小倉芝1200mで施行。初角となる1コーナーまでは400m以上あるので、先行争いによる内外の有利不利は考えなくてよいでしょう。
登録22頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは11頭。先行占有率が高く、タイムトライアルになる可能性が高そう。先行馬は特に内枠が欲しいところです。
先週の函館記念は6番人気想定で「今回が“買い”のタイミング」の触れていたヴェローチェエラが10番人気で勝利。1番人気想定だったハヤテノフクノスケが6番人気・9.0倍で2着と夏のローカル重賞らしく、人気も読めない波乱決着となりました。
北九州記念の想定オッズを眺めると、上がり馬が人気で実績馬のオッズが甘くなっている印象。期待値的には後者を狙いたくなります。
その筆頭がドロップオブライト。CBC賞勝ちの実績があり、2走前の高松宮記念も0.9秒差の8着と善戦しています。前走、韋駄天Sの10着が人気を落とす要因でしょうが、千直は度外視してよいでしょう。想定16番人気・37.2倍なら。
モズメイメイは昨年の3着馬であり重賞3勝の実績馬。近走は冴えませんが、1400m→1400m→G1とタフな条件を使われおり、G3の1200mならば一変の可能性は十分あるとみます。
上位人気に目を転じると、3歳勢から葵Sの上位2頭、アブキールベイとクラスペディアが参戦。ともに前走が二桁人気での激走で、狙うなら前走だったかなという印象はあります。ただ、ともに斤量は軽くなりますし、オッズも10倍前後ならギリギリ狙える線かもしれません。いずれにせよ、内枠の後押しは欲しいところです。
ヤマニンアルリフラは何度も◎の期待に応えてくれている当コラムでもお馴染みの存在。戦績を振り返ると、未勝利の緩い流れが苦手で、強い相手で輝くタイプだったのでしょう。今回も先行昇級の形にはなりますが、3キロ減は大いに魅力。想定13.3倍の4番人気なら◎候補です。
1番人気想定はロードフォアエース。13戦12連対、芝に限れば2-6-0-0と素晴らしい安定感を誇っています。ただ、近3走はOP、リステッドで勝ち切れていないのも事実。相対的にみて、実績に対して売れ過ぎの印象は否めません。
ロードフォアエースとの比較なら、前走で実際に先着しており、昨年2着の実績をもつ小倉巧者ヨシノイースターの2番人気・8.1倍の方が期待値はありそうです(とはいえ、2番人気を狙うようなレースではないでしょうが)。
函館記念に続く、夏のローカルハンデ重賞。ここも人気も読めない混戦になりそうです。しっかりオッズも見極めて、最適解を導き出したいですね。なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言188
重賞以外のハンデ戦を意識する
★ピックアップレース★
6月7日東京11R 麦秋S ダート1400m良
◎15サフランヒーロー
○7スタンリーテソーロ
▲16ペプチドタイガー
△10プロミシングスター
☆12ヘルモーズ
注9ヒルノドゴール
注14エコロアレス
―前回に引き続き、6月7日東京11Rの麦秋Sを取り上げます。◎サフランヒーロー→▲ペプチドタイガーという決着で、単勝8.7倍、ワイド10.1倍、馬連31.8倍、馬単60.7倍的中となりました。前回のラストで、「斤量」というテーマについて取り上げるとのことでしたが…?
みねた)お聞きしたいのですが、この麦秋Sは定量戦でしたか、それともハンデ戦でしたか?
―記憶にありません…。
みねた)では、由比ヶ浜特別はどうですか?
―わかりません。
みねた)函館記念は?
―そりゃ、ハンデ戦ですよ。
みねた)これが答えなんです(笑)。競馬ファンの大半は、麦秋Sがハンデ戦かどうかを意識していないと思います。一方で、重賞になると週中からハンデに注目して、「狙いは軽ハンデの◯◯」とか「▲▲はトップハンデ克服が鍵」などと多くの記事が目に入ってきます。だから、多くのファンが斤量を意識します。
―以前のお話で「トップハンデ馬・酷量馬はオッズが甘くなりやすい」と伺った記憶があります。
みねた)その傾向はあります。重賞では「ハンデが重い」という情報が入ってきやすいので、斤量の重い馬ほどオッズが甘くなりやすいのですが、一方で、条件クラスのハンデ戦については無頓着な人が多い。
―そもそも論として、斤量は大事ですよね?
みねた)一般的に斤量1キロで1馬身違うなんて格言がありますよね。1キロ違えば、時計にして0.18秒ぐらい変わるでは?という感覚を持っています。
―その計算でいくと、前走57キロ同士で0.1秒遅れを取っていた馬が次走で57キロvs56キロになったら逆転してもおかしくないということになります。
みねた)競馬がタイムトライアルであれば、そうなりますよね。ただ、競馬は斤量以外にも様々な要素が絡み合っているので、単純に斤量が結果に反映されるわけではありません。だからこそ、競馬がギャンブルとして成り立っているとも言えます。
―確かに、毎回、斤量の増減通りに結果が変わるのであれば、もっと斤量というファクターが注目されているはずですよね。
みねた)重賞では斤量というファクターが重視され過ぎ、逆に平場のハンデ戦では斤量というファクターが見られなさ過ぎという状態になっていますね。競馬新聞をみても、そのレースがハンデ戦なのか定量戦なのかは、レース名付近に小さく書かれているだけだから、ファンの意識が向かないのも納得です。
―話を麦秋Sに戻すと、◎のサフランヒーローは昇級戦ということもあり、斤量は58キロ→55キロの3キロ減でした。
みねた)同じ先行昇級で1番人気に支持されていたプロミシングスターは58キロ→56キロの2キロ減ですから、サフランヒーローは恵まれていました。斤量というのはテンのダッシュ力に影響するので、先行馬ほど軽斤量が文字通りの恵斤量となります。道中で勢いをつけて伸びてくる差し・追い込み馬は、先行馬ほど斤量の影響を受けにくいとも言えますね。
―サフランヒーローが逃げ馬だったからこそ、より3キロ減が効くということですね。
みねた)そういうことです。このレースは先行馬占有率の低く、先行できることの価値が大きなレースでした。ハンデ戦であれば昇級馬は斤量が軽くなることが多く、斤量を味方につけてダッシュを利かせられれば、先行昇級の最大の弱点である「ペースの違いでそもそも先行できない」というリスクは軽減されます。このレースで敢えて先行昇級馬を狙えた大きな理由の一つは、間違いなく斤量減です。
―重賞以外だとハンデor定量の意識が抜けがちというのは目から鱗でした。今週末の特別戦だと、土曜小倉11RのマレーシアC(3勝クラス)、日曜福島11RのジュライS(OP)、日曜函館10Rの横津岳特別(2勝クラス)がハンデ戦ですね。しっかり週末まで覚えておきます。