★今週の重賞ピックアップ★
3月20日阪神11R 阪神大賞典(芝3000m)
阪神大賞典は阪神芝3000mで施行されます。向正面直線入口からの発走で、初角となる1コーナーまでは350mほど。初角まで距離があるので、枠の内外の不利が出にくいコースです。また、ポジション取りもやりやすく、紛れが少ないのが特徴です。
同じ長距離重賞であるダイヤモンドSとの違いは、ダイヤモンドSは初距離の馬がほとんどで、2000mや2400mから参戦してくる馬も目に付くのに対して、阪神大賞典は既に3000mへの適性を示している馬が揃っている点。ダイヤモンドSが長距離への適性を試す舞台だとすれば、阪神大賞典は長距離に適性のある馬が狙ってくる舞台、あるいは天皇賞(春)を目指す馬がステップに選ぶ舞台です。有馬記念上位馬が強いのも、それだけ確かな能力とスタミナを問われていることの裏付けと言えるでしょう。
長距離実績、有馬記念上位と好走ファクターが揃っているディープボンドは当然有力です。圧倒的な一番人気が予想されるので◎にはしないと思いますが、ほぼ間違いなく2~3番手には評価するでしょう。
人気のディープボンドを評価する場合、どう馬券を組むかが問われます。強い差し馬であるディープボンドが前を掃除するパターンか、それとも前で1頭は残るパターンか。先行タイプは5頭ほどと少ないものの、逃げにこだわるタイプが複数。前に張るにしても、逃げ馬よりは先行タイプが良さそうで、中団やや前から差せるタイプに注目です。この条件に合致しそうなのが、ステイヤーズS、万葉Sと好位から連続好走しているシルヴァーソニック。
ゴールドシップが三連覇を決めていることからもわかるように、阪神芝3000mはスタミナの裏付けさえあれば捲りも決まるコース。差し馬に張るにしても、追い込み一辺倒のタイプよりも自分から動けるタイプがベターでしょう。このタイプとしては、ステイヤーズSは好位から4着、ダイヤモンドSでは道中で押し上げていって3着と、距離を延ばして新味が出ているトーセンカンビーナが面白そうです。
【当日注目馬】
1ダンビュライト
3シルヴァーソニック
4トーセンカンビーナ
10マンオブスピリット
11ディープボンド
去年の阪神大賞典の結果を見てもディープボンドがこの舞台で凡走する確率は低く、暮れの有馬記念も強く衰えも見えないここで馬券外は考えにくい。
穴で買いたい馬は週中で話した3シルヴァーソニックや4トーセンカンビーナに加え最内から逃げる1ダンビュライトなど。どちらにしてもディープボンドを破るには展開の助けがかなり必要になりそうです。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言20
『「控える競馬」に陣営の期待度が表れる』
★ピックアップレース★
3月13日阪神11R フィリーズレビュー(芝1400m良)
注目馬:4サブライムアンセム
参考買い目
単勝 4
複勝 4
馬連 4―2・3・5・6・7・8
三連複 4―2・5・8―2・3・5・6・7・8
─3月13日阪神11Rフィリーズレビューは2番人気の4サブライムアンセムに◎。印を打った馬が掲示板を独占する、完璧な的中でした。
みねた) 週中の段階で、「簡単なのはフィリーズレビュー」とお話ししていた通り、このレースはサブライムアンセムの期待値の高さが際立っていました。2番人気は売れ過ぎの感はありますが、それでも十分に期待値を取れると判断できるほどの存在でしたね。
─展開や隊列を予想に取り入れる人は増えてきましたが、「単体での期待値の高い馬をピックアップした上で、展開を考慮して絞り込む」精度の高さは、みねたさんの独壇場だと思います。ぜひ、その思考を教えてください。
みねた) 出走馬15頭のうち、単体での期待値の高さという意味で注目したのは4サブライムアンセムと5ラブリネスオーバーです。4サブライムアンセムについては、これから詳しく触れることになると思いますが、「差して好走してきた」という点で期待値が高く、5ラブリネスオーバーは前走で4番手から0.2秒差の2着と悪くない内容であるにもかかわらず、単勝58倍の14番人気。これなら期待値が取れると考えました。金言9「前走僅差の6着以下」の応用形ですね。
─ここから、枠の並びや展開、オッズなどを考慮してさらに絞っていくわけですね。
みねた) まず、前提として、私は4~8番手ぐらいを取りそうな差し馬を軸にすることが多いのですが、主に理由は2つあります。
1つは、「差し馬を軸にした方が馬券を組みやすいから」。競馬は基本的には前が有利で、いくら差し有利の展開になったとしても、前に行った組のどれか1頭が残るというケースは少なくありません。差し馬を軸にしていたら、「どれかは残りそうな前に行く馬」へ流すことが可能です。逆に、逃げ馬を軸にして差し馬へ流すのは難しい。差し馬は恵まれて走るのではなく恵まれた上に後ろから届くだけの能力が必要になるので、「恵まれそうなどれか」という選び方ができません。逃げ馬を軸にした場合、単純な前残りになることもあれば、軸にした逃げ馬が他の先行馬を潰してしまうこともあり、馬券の組み立てが難しいのです。
また、私は単複メインで本命馬の選択を考えるので、「前に行った馬をゴール前で差し切る馬はどれか」をイメージして、対抗以下に「恵まれて2~3着に残りそうな馬」を含めるという組み方をすることが多くなります。
─本命馬によって、対抗以下の印が変わるというのは、よく口にされていますもんね。
みねた) もう1つの理由が「前走で先行している馬は、そもそも期待値を取りにくい」です。金言8「逃げた時点で展開に恵まれている」で申し上げた通り、先行しての好走は、展開に恵まれたものである可能性が高い。重賞ともなると、強い差し馬が増えて後ろからのプレッシャーが大きくなるので、逃げ先行馬は苦しくなります。
─なるほど。それを聞けば、繰り上がりとはいえ、前走4コーナー7番手から差し切った4サブライムアンセムに目がいくのは納得です。とはいえ、初勝利まで6戦も要した馬で、いきなりG2では敷居が高いのでは? という印象もありました。
みねた) 意図的にずっと控える競馬をしている点を評価しました。直近4走の4コーナー順位が、8番手、5番手、5番手、7番手。目の前のレースを勝つことだけを考えたら、2番手3番手に行くことも出来たはずです。特に前走は1400mから1600mへの距離延長なのに、4→7→7という通過順位を辿っており、安易に先行して勝ちにいかない陣営の強い意志が感じられました。先々での戦いを見据えて、競馬を覚えさせているわけです。
─結果的には、それで未勝利脱出に手間取ってしまいました。
みねた) 未勝利戦は緩い流れになるので、展開に恵まれた馬を捕らえきれないケースが生じるのは仕方ありません。ただ、その我慢が重賞では生きてきます。重賞になればペースが上がって前に行く馬の恩恵が薄れる一方、脚をためる競馬の経験は大きなアドバンテージとなります。
─前走3番手以内の馬が15頭中6頭の40%で、先行馬がやや有利かなというメンバー構成でしたが、実際は速い流れになって、見事に4サブライムアンセムの末脚が爆発しました。
みねた) 重賞こそ、レースの意味合いを考えることが重要です。ここを勝ちにくる馬が多いのか、それとも本番へのステップレースなのか。フィリーズレビューは芝1400mの牝馬限定G2という希少なレースで、ここで賞金を稼ぎたいという馬が揃っていました。数字以上にタフな戦いになって、より末脚の確かな馬に有利に働きました。
─ちなみにもう1頭、期待値の高かった5ラブリネスオーバーは4コーナー14番手から猛然と追い込むも5着でしたね。
みねた) 15頭立ての14人気で4番手評価にしていたので惜しかったですね。ただ、このレースは6番7番8番に先行馬が並んで入っていました。この並びも、先行馬よりも差し馬を評価した要因なのですが、この並びで不利になるのは、内に切れ込んでこられるすぐ内の馬です。だから、5ラブリネスオーバーが位置取りを悪くしたのは、並び的にある程度、予見できたことでした。
─なるほど。期待値を取れる馬同士でもしっかりと展開面での序列をつける。フィリーズレビューは、みねたさんの繊細さが表れたレースだったような気がします。
【第20回】阪神大賞典展望&「控える競馬」に陣営の期待度が表れる/馬券師・みねたの金言
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みねた
全てのファクターは展開に帰結すると考え、枠、脚質、能力、不利、ハイレベル、様々なファクターから「展開」を予想し、回収率が高くなるであろう馬を選び出す。軸が決まれば馬券の構築にも力を入れ、「展開」により両立しにくい馬券等を省く。サイト『競馬放送局』にて週末の勝負予想を公開中。