プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“同じ性能なのに価格が違う。同じ戦績なのにオッズが違う”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
12月15日京都11R 朝日杯FS 芝1600m
今年の朝日杯FSは京都芝1600mで施行。初角まで十分に距離があるので、先行争いにおいて内外の有利不利はありません。
出走予定の18頭中、前走の通過順に3番手以内があるのは9頭。先行馬占有率が50%と高く、速い流れでの消耗戦となりそう。阪神JFがそうだったように、内枠や距離短縮組に注意を払いたいレースで、自力で動くよりも道中で脚をためられるタイプがベターです。
1番人気想定はミュージアムマイル。2000mの黄菊賞を0.5秒差圧勝からの臨戦となります。今回、有力候補に距離短縮ローテの馬が少ないので、その時点でアドバンテージがあります。自力で動くタイプはレース傾向にはマッチしないものの、C.デムーロ騎手とは合いそう。好走確率はそれなりに高いでしょうが、1番人気・2.9倍のオッズが見合うかは微妙です。
2番人気想定はアルテヴェローチェ。こちらはデビュー2戦ともに脚をためる競馬で勝っており、特に5-6から差し切ったサウジアラビアRCの内容は価値があります。あとは想定4.5倍というオッズとの相談。
3番人気想定はアルレッキーノ。チェルヴィニアの半弟という良血馬で。未勝利戦は1.2秒差の圧勝でした。前走のサウジアラビアRCは1.5倍に支持されるも5着。好位から伸びを欠いた内容は、アルテヴェローチェとの比較で特に優っている部分が感じられず、想定6.6倍のオッズが特に甘いとも思えません。
サウジアラビアRC組ではタイセイカレントが面白そう。新馬戦は逃げ切り、サウジアラビアRCでは一転して最後方の7番手からアルテヴェローチェと0.1秒差の2着まで追い込みました。前走の戦法がここで生きそうで、想定4番人気・11.5倍なら期待値がありそうです。
デビュー2連勝で京王杯2歳Sを制したのがパンジャタワー。距離延長ローテにはなりますが、7番手から差し切った内容は悪くありません。前走G2勝ちながら想定人気は6番人気・13.5倍。このオッズなら期待値優先で◎にする手もあるでしょう。
ホープフルSとメンバーが割れる関係もあり、今回の出馬表を眺める限り、そこまでメンバーレベルは高くなさそう。それだけに、ロスなく流れに乗れた馬が馬券に絡んでくる可能性は高く、枠順と並びが大きく結果に影響しそうです。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言160
同じ性能なのに価格が違う。同じ戦績なのにオッズが違う
★ピックアップレース★
11月16日 福島10R 西郷特別 ダート1150m良
◎8グッジョブ
○5ヒルノピレネー
▲7リーゼントミニー
△9テンクウフラワー
☆15チュウワスプリング
注6フミバレンタイン
注11ニルアドミラリ
―今回は11月16日の福島10R西郷特別を取り上げます。◎→○の決着で馬連64.3倍、馬単133.5倍を的中したレースです。
みねた)予想の解説という意味では、「◎8グッジョブは逃げハサミでした」でほぼ説明が終わってしまいますよ(笑)。
―芝スタートの「コースパターンF」(初角までの距離が長いコース)なので、外枠の馬、例えば15チュウワスプリングを◎にする選択とかもあるのかなと。
みねた)先行占有率の低い一戦で、コースパターンFの先行馬ですから、悪くはないです。そこは相対的な判断になりますが、逃げハサミは強力ですよ。このレースの場合、8グッジョブは逃げハサミで、戦績的に両脇の2頭がちゃんと前に行ってくれる可能性が高かったこと、さらに8グッジョブ自身も近2走で6-5、9-8と道中で押し上げるレースをしていたのも、先行占有率の低いレースでの好走傾向とマッチしていました。
―○5ヒルノピレネーもお見事でした。
みねた)このレースは戦歴を見返す面白いですよ。1~3着馬の直近2走を並べてみますね。
1着 グッジョブ(3番人気/7.3倍)
2走前:1勝クラス1着 前走:2勝クラス6着(0.6秒差)
2着 ヒルノピレネー(8番人気/21.8倍)
2走前:1勝クラス1着 前走:2勝クラス6着(0.6秒差)
3着 ゼットカレン(12番人気/32.3倍)
2走前:1勝クラス1着 前走:2勝クラス7着(0.7秒差)
―びっくりするぐらい、似通った成績ですね。前走が昇級初戦で僅差の6着以下。
みねた)昇級初戦でチョイ負けというのは期待値が取りやすいということでしょうね。さらに注目して欲しいのが1番人気で4着だったサフランヒーローの戦績です。
4着 サフランヒーロー(1番人気/2.6倍)
2走前:1勝クラス1着 前走:2勝クラス5着(1.3秒差)
―あ、こちらもほぼ同じパターンですね。昇級初戦でチョイ負け。なんなら、この馬の方が1.3秒差と着差は開いています。
みねた)面白いですよね。戦績的にはほぼ同じなので、これらのパターンの勝率自体は大差がないはずなのに、オッズがこれほどまでに差がつく。買い物で例えるなら、ほぼ同じ性能の商品なのに価格が違うという状態です。
―買い物ならば安い方、馬券ならばオッズがつく方、が正解ですよね。
みねた)そうなります。似たような戦績で、グッジョブは「逃げハサミ」と並びに恵まれ、2サフランヒーローは「コースパターンF」の2番枠という最悪の枠をひきました。
―ちょっと話が逸れますが、最悪は1番枠じゃないんですか?
みねた)1番枠は自身の内側に馬がいませんよね。つまり内側から寄られるリスクはないので、不利を受ける確率は軽減されます。その点、2番枠は「コースパターンF」というコース形態上の不利、自身の両脇から挟まれるリスクという、不利になる要素が2つ重なっています。
―あぁ、なるほど。そんな不利な枠を引いたのに2サフランヒーローが1番人気に支持されていました。
みねた)それだけ、まだコースパターンの概念や枠の並びの概念は一般化していないということでしょう。それよりも、昇級初戦で掲示板確保の“5”着という数字を重視してしまったファンが多かった。ただ、実際に馬柱の中身とオッズを精査したら、1番人気馬と1~3着馬の戦績はほとんど同じだったという面白いレースでした。この考え方は、金言159「どんな馬が人気になっているのか?が予想の出発点」に通じています。今年のエリザベス女王杯で、リステッド競走1着のステップから2番人気になっていたホールネスを引き合いに出してお話ししましたが、このレースもまさにそう。前走1.3秒差・5着の2サフランヒーローが単勝2.6倍、前走0.6秒差・6着の5ヒルノピレネーが単勝21.8倍だけど、両者の勝率に8倍以上の差がありますか?という発想ですね。
―なるほど。そう考えると、馬単万馬券を本線的中なので十分とはいえ、3着のゼットカレンも拾えそうですが。
みねた)もちろん戦績は把握していましたし、悔しいですね。ただ、より回収率を出すために配信予想で点数を絞るよう課しているので、致し方ない部分でもあります。後から「これも買えました」というのは良しとしませんが、ひとつアドバイスを送るなら、「ご自身が期待値があると踏んだ馬については、躊躇なく3列目には加えてください」ということ。私の◎からであれば、3列目は10頭程度まで手を広げても期待値は保たれると考えています。