『田端到・加藤栄の種牡馬事典』で知られる田端到氏が、馬券術の入門から応用まで競馬予想の考え方・コツを伝授する『王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」』。
今回のテーマは「出し入れ」の考え方です。ぜひお楽しみください!
今回のテーマは「出し入れ」の考え方について。G1シーズンなので「トライアルとG1本番の関係」も含めて扱い、桜花賞とオークスの出し入れについても取り上げます。
「出し入れ」とは、2つのレースにおいて、片方では評価を上げ、もう片方では評価を下げるというような意味です。「上げ下げ」でも構いません。
G1のNHKマイルC(東京芝1600)と、前哨戦のG2ニュージーランドT(中山芝1600)を例題に挙げます。
今年のNHKマイルCは、9番人気のシャンパンカラーが1着。ニュージーランドTで3着に敗れていたため、人気薄でした。一方、ニュージーランドTを完勝したエエヤンは、NHKマイルCで2番人気に支持されるも9着に敗退。2頭の着順が大きくひっくり返りました。
『どっちも同じ芝1600mの重賞なのに、なぜ簡単に着順が逆転してしまうのか!?』。初心者ならそう思うのが普通です。昭和のドロドロなギャンブルオヤジは『だから競馬なんてヤオなんだよ』と、トライアルとG1で着順が変わると本気で怒ってました。
今年のNHKマイルCは道悪になったためもありますが、馬場を問わず「ニュージーランドTの勝ち馬はNHKマイルCを勝てない」は有名なデータです。過去10年で【0-0-0-10】。勝てないどころか、3着にすら入れない。今年の勝ち馬エエヤンも、この傾向を覆せませんでした。
しかし、ニュージーランドTに出ていた馬がみんな、NHKマイルCで不振というわけではない。ニュージーランドTで2着か3着だった馬はNHKマイルCで【2-2-1-13】。今年を含めた過去10年だと、5頭が馬券になっている。前哨戦でちょっと負けた馬のほうがよく走るのです。シャンパンカラーに次ぐ2着に入ったウンブライルも、ニュージーランドTの2着馬でした。
なぜ同じ芝1600mなのに、前哨戦とG1で逆転が起こるのか。