『田端到・加藤栄の種牡馬事典』で知られる田端到氏が、馬券術の入門から応用まで競馬予想の考え方・コツを伝授する『王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」』。
今回のテーマは「善戦マン向きの重賞」です。ぜひお楽しみください!
ナイスネイチャが35歳で永眠というニュースが流れてきました。善戦マン、ブロンズ・コレクターとして愛された彼への追悼の言葉の数々を目にするうち、当連載もナイスネイチャをピックアップしたくなりました。
重賞にはそれぞれの性質があり、善戦マンには善戦マンが勝利する重賞がある、というテーマです。
ナイスネイチャは、1991年から93年まで3年連続の有馬記念3着が有名ですが、そのほかにも菊花賞4着、天皇賞・秋4着、マイルCS3着、天皇賞・春4着、宝塚記念4着という、美しい惜敗の歴史があります。
こうしてG1の3着と4着を計8回も重ねた末に、2年7か月ぶりの勝利を手にしたのが、1994年の高松宮杯(当時は中京芝2000mのG2)でした。ナイスネイチャが先頭でゴールインすると、中京競馬場では拍手が起こったというエピソードがあります。
これとよく似た戦歴の馬がいます。マチカネタンホイザです。マチカネタンホイザも、朝日杯3歳S4着、ダービー4着、菊花賞3着、天皇賞・春4着、有馬記念4着、天皇賞・秋4着と、G1の3着と4着を計6回も積み重ねた善戦マンでした。
ナイスネイチャとの違いは、この間に目黒記念やアメリカJCCなどの重賞を勝ったことですが、G1惜敗の歴史の末、最後の勝利をあげたのは1995年の高松宮杯でした。ナイスネイチャが勝った翌年のことです。
G1で惜敗を繰り返した馬が、最後の最後に祝福を受ける楽園、それが中京芝2000mの高松宮杯だったのです! と書くのは行き過ぎとしても、レトリックなので気にしないでください。
その後、芝1200mのG1高松宮記念の創設により、高松宮杯というレースは消滅しました。現在の重賞でこれに近いのは、中京芝2000mのG2金鯱賞です。
ここでデータを取ってみます。2013年以降の約10年半に「芝のG1で2着から4着が計3回以上あるのに、G1勝ちのない馬」を調べてみました。ディープボンド、エアスピネル、カレンブーケドール、クロコスミア、サウンズオブアースなど、当てはまる馬は27頭(対象はJRAのG1)。
では、これらG1の惜敗ホースが、どのG2やG3なら勝てたのか。勝利数2以上の重賞をまとめたのが下の表。