プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は「買われやすい馬名、軽視されやすい馬名」です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
4月23日 東京11R・フローラS(芝2000m)
フローラSは東京芝2000mで施行されます。初角となる2コーナーまでは130m弱と非常に短く、先行争いにおいて内枠が有利なコースです。開幕週ということもあり、内枠有利になる可能性が高いでしょう。
登録15頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのはキミノナハマリア、ゴールデンハインド、レシプロシティの3頭。占有率20%と低く、先行有利とみます。
詳細は6月21日発売予定の拙著『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』で触れますが、東京芝2000mで、先行馬の割合が30%未満のレースで先行馬が1枠に入った場合、複勝率40.5%を記録しています。単勝回収率も91.1%と優秀なので、上記の3頭が1枠になったら、素直に狙うという作戦はありでしょう。
その3頭の比較ではゴールデンハインド。既にオープン、重賞での好走実績がありながら、想定通りの7番人気前後ならば、非常に魅力的な存在です。
一方、キミノナハマリア、レシプロシティは先行勝ちからの昇級という、期待値的にはあまり見合わないパターンではあります。
出走メンバーを見渡すと、道中で位置を上げていった、いわゆる捲りタイプが多いことがわかります。捲る脚があるというのは能力の証明なので、本来、注目すべき事象なのですが、ここまで捲りタイプが揃ってしまうと、1頭の捲りに呼応して、道中の展開が乱れる可能性も高そう。しっかり脚をためる馬を狙いたいところですが、ここまで捲ってきた馬が、一転して、動かず脚をためるケースもあるので、展開は流動的なのが難しいところ。
それでも狙いやすいのは、ここまでしっかり脚をためる競馬ができている馬でしょう。想定1番人気のソーダズリングやイングランドアイズはともに該当しています。この2頭の比較なら、未勝利勝ちからの1番人気で期待値が見合わなさそうなソーダズリングよりも、前走重賞で結果を出しているイングランドアイズを上に取ります。
ともに前走未勝利戦ですが、しっかりと道中で脚をためて差し切っているイトカワサクラ、ブライトジュエリーは、非常にいい勝ち方で、展開的に向きそう。あとは人気との相談です。仮にここで敗れても、1勝クラスで巻き返しも含めて注目しておきたい2頭ですね。
癖が強く、枠順の影響が大きなコースなので、枠順と並び次第で結論が大きく変わる一戦。枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
[枠順確定後注目馬]
3マンマリアーレ
4クイーンオブソウル
5アウフヘーベン
6キミノナハマリア
7ゴールデンハインド
13コイニョウボウ
14イングランドアイズ
コースレイアウト的に内枠先行馬有利。並び的には前に行ける馬が真ん中よりやや内くらいで、並びから大きく推せる訳ではないが、マイナス要素も少なく、オッズ的にも前に行く馬が想定より人気ないので、素直に前残り狙いで馬券を組んだ。
■みねたの金言76
『買われやすい馬名、軽視されやすい馬名』
★ピックアップレース★
4月16日阪神10R・立雲峡S(芝1600m稍)
注目馬 9アナゴサン
──先週は『亀谷競馬サロン』にリモートでご出演されたとか。またまた、大変盛り上がったと聞いていますよ。
みねた: 過去には神戸新聞杯とオールカマーのW的中がありましたし、今年のフェブラリーSデーでも大勝利と、ゲスト出演時には結果が出ているので、『亀谷競馬サロン』はパワースポットなんじゃないかと思っているんです(笑)。
──共同購入のWIN5の的中や、阪神9Rの◎シェイリーン(8番人気1着)など、見せ場満載だったそうですが、とある方から「アナゴサンの回顧をお願いします(笑)」と言付かっているので、まずは阪神10Rで2番人気1着だった◎9アナゴサンについて解説していただけますか?
みねた: わかりました。このレースも特別な手法を使ったわけではなく、連載でお伝えしてきたセオリー通りの的中なのですが、WIN5の1戦目ですし「WIN5はほぼ、この1頭でいいのでは?」とお話ししたのでインパクトがあったのかもしれませんね。
──セオリー通りということは、まずは「前走3番手以内があった馬」のカウントですよね。このレースは、1メモリーエフェクト(6番人気)、8レベレンシア(1番人気)、9アナゴサン(2番人気)の3頭。10頭中3頭ですね。
みねた: 先行馬の割合が30%なら、シンプルにスロー濃厚です。そして、先行馬3頭のうちの1頭、8レベレンシアは「前走先行からの昇級戦」という期待値の低いパターン。ただでさえ、昇級戦の流れを苦しく感じる可能性が高いのに、斤量も56キロ→58キロと上がります。明らかにオッズが見合っていない危険な人気馬で、このレースは『競馬放送局』の勝負レースにすべきでした。下手くそです。
──急に反省しないでください(笑)。ただ、確かに出馬表を見ながら、「みねた理論的には、この1番人気は怪しいなぁ」と思っていました。「なんでこんなに売れてるんだろう」とも。
みねた: 前走の勝利で阪神芝1600mは3戦3勝。コース別成績3-0-0-0という表記が、過剰な人気を生んだ可能性はあるでしょうね。あとは名前がカッコいい。
──名前がカッコいい…。
みねた: いや、本当ですよ。やっぱりカッコいい名前、強そうな名前のほうが売れる傾向にあります。金言40『期待値を持つ馬をストックしておく』で、走っても人気になりにくいタイプについて触れましたが、このタイプはあまり強く感じない馬名ということが多いです。
▼参考記事
【第40回】エルムS展望&期待値を持つ馬をストックしておく/馬券師・みねたの金言
──当時、例に挙がったのはマケルナマサムネでしたね。そして今回はアナゴサン。もしかして根拠は馬名ですか?(笑)
みねた: いやいや、違います(笑)。先ほど申し上げた通り、先行馬狙いですよね。しかも前走が0.4秒差の7着という金言9『前走僅差の6着以下』に該当、2走前も8-6-6-5と道中動いての4着と、2戦続けて回収率の出やすい“いい”負け方でした。
▼参考記事
【第9回】有馬記念展望&前走僅差の6着以下/馬券師・みねたの金言
──それは納得なのですが、もう1頭の先行馬1メモリーエフェクトも、ただ1頭離れている先行馬で並びもいいのでそそられます。
みねた: この馬は斤量面が気になりました。前走がハンデ戦で55キロだったのが、今回は58キロを背負うことになります。対してアナゴサンは58キロ→58キロで、57キロを背負って現級好走の実績もありました。相対的な比較で、ここはアナゴサンが先行すれば押し切れるだろうと考えたわけです。
──それにしても、「ほぼ1頭でいい」とまで言い切れたのは凄い。ここを1頭で乗り切れたら、WIN5も随分、買いやすくなりますから。
みねた: それは、他の上位人気馬の脚質面が大きかったですね。3番人気の3ボルザコフスキーの前走通過順位は12-12、4番人気の5ボーデンは16-14-14と、ともに極端な追い込み脚質でした。ペースが上がらない展開で、大勢が決したところから追い込んでの2、3着止まりを想像するのは難しくないかと思います。
──目論見通りの、見事な逃げ切り勝ちでした。その他のレースについては、引き続き、次回のコラムで取り上げますね。