プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は「勝負レースに昇華する+αの要素」です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
8月6日札幌11R・エルムS(ダート1700m)
エルムSは札幌ダート1700mで施行。初角となる1コーナーまで約240mと短く、先行争いにおいて内枠が有利です。
フルゲート14頭に対して19頭が登録していますが、おそらく最終的に先行馬の占有率は30~50%になるでしょうから、脚質的には前と後ろがイーブンといった印象です。先行しやすい1枠に先行馬が収まれば期待値は出そうですし、前走6~10番手の準後方馬は8枠で数字が出ています。ローカルコースですが、比較的、差しが決まりやすいのは確かでしょう。
1番人気が想定されるペプチドナイルは函館ダート1700mを連勝。ただ、リステッド競走→オープンからG3への格上げとなります。リステッド勝利時は後方待機の馬の占有率が多く、展開に恵まれた面もありました。3連勝は簡単ではないとみますが、それでも1枠を引き当てて、かつ2枠に被せてくるような馬が配置されなければ、期待値は見合うかもしれません。
差し馬では、前走の平安Sで道中捲る脚をみせたゲンパチルシファーに注目。G3にしては手薄に思える相手関係だけに、一貫して重賞を使われている点にも好感がもてます。
パワーブローキング、ロードブレスもキックバックを被らず、道中で追い上げやすい8枠を引いたら面白そうです。
データ上、1枠は好位組の回収率が今ひとつで、先行組か思い切って後ろから運ぶ馬の回収率が出やすい傾向があり、ハセドンみたいな馬が1枠なら、道中イン追走、直線だけ外での差し込みがあるかもしれません。前走1番人気からの急落は魅力的です。
期待値で考えるなら、前走から斤量1キロ減で前進が見込めるアシャカトブ、前走3.4秒差・2桁着順の大敗だったロードヴァレンチなどが2桁人気想定なら面白そう。
初ダートのオーソリティは、実績的には一枚も二枚も上の存在。ただ、アグネスデジタルのような存在は例外で、基本的に上級条件でのダート替わりは狙いづらいところです。もちろん、能力で圧倒するシーンがあっても不思議ではありませんが…。
明らかに期待値が取れそうな馬は見当たらず、オッズ・枠・並び次第で狙いが大きく変わりそうな一戦です。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
[枠順確定後注目馬]
1ペイシャエス
3ペプチドナイル
6セキフウ
10カフジオクタゴン
11タイセイサムソン
12ルコルセール
14ベレヌス
週中の見解では1枠先行、外枠準後方馬を狙う方針で行くつもりだったが、外枠に先行脚質、内枠に差しと入り、展開読みはかなり難しい並びになった。
14頭中7頭が前走前目で競馬をしており、ここは内で脚を溜めれる馬から狙う。
■みねたの金言91
『勝負レースに昇華する+αの要素』
★ピックアップレース★
2023年6月24日東京10R・日野特別(ダート1600m良)
◎16フランスゴデイナ
○15アースライザー
▲14ケイアイメビウス
△2テイエムマジック
☆12アナンシエーション
注5ロードカテドラル
[参考買い目]
単勝 16 2000円
ワイド 16-15.14.2 各1000円
馬連 16-15.14.2.12.5 各500円
3連複 16-15.14.2-15.14.2.12.5 各300円
──前回に引き続き、6月24日東京10R・日野特別(ダート1600m)について伺います。このレースが自信の勝負レースになった理由の一つが、「内枠に先行馬が並んで入っていたから」というところまでお話しいただきました。その解説からお願いします。
みねた: 外枠が有利な「コースパターンF」(コースパターンの詳細は単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』をご覧ください)で、内から順に先行馬が3頭入ったので、ただでさえ不利な内枠+並んで入ったという2点から、この3頭が厳しい戦いになるのは予測できますよね。特に、1ビーアイオラクルは4戦連続馬券内で単勝オッズ8.0倍という人気馬でした。上位人気馬から1頭消せれば、期待値はかなりとりやすくなります。
「コースパターンF」=外枠有利だとしても、ただ外枠を買うだけでは回収率100%を超えるのは容易ではありません。そのために、何らかのプラスαが必要になりますが、このレースのような「不利な内枠に人気馬を含む先行馬が並んだ」というのは、プラスαの一つですよね。
──ただ、やはり先行馬が16頭中7頭ということで、16フランスゴデイナにとっても厳しいレースになるのかなと考えてしまったのですが。
みねた: 「距離短縮」ですよ。これが3つめの理由です。16フランスゴデイナはダート1800mからの距離短縮ローテでした。距離短縮馬は、先行争いが激しくなってタフになるレースでアドバンテージを発揮します。
いくら先行馬が揃っていようとも、競馬というのは基本的に先行有利で、1頭は馬券内に先行馬が残ることがほとんど。そういう時、先行馬の取捨選択を考える上で、前走使用距離というのは重要なファクターで、もし16フランスゴデイナが1400mからの距離延長ローテだったら、勝負レースにはなっていないでしょうね。
──並びと枠はいいけど、ローテーションはよくない、ということですね。
みねた: そうです。芝スタートの外枠なので、そこで脚を温存できる分、ギリギリもちそうな気もしますが、少なくとも勝負レースとはなり得ません。このレースはコースパターンFにおいて、「内枠に人気馬を含む先行馬が並びで入った」「大外枠に離れた先行馬」「その先行馬が距離短縮ローテ」という3要素が揃ったので勝負レースとなったのです。
16フランスゴデイナの場合、離れた外から先団につける形になっても、距離短縮ローテを活かして粘れる可能性が高く、距離短縮で差しに回る形になっても伸びてくるだろうと考えました。いずれにせよ、このレースは、枠の並びを見た時に「内で並んだ先行馬が消耗するだろう」と想像することが重要です。
──金言89で、狙い馬のオッズの下落について伺いましたが、16フランスゴデイナも最終的に単勝3.7倍の1番人気に支持されました。これでも単勝の期待値は取れていたと思いますか?
みねた: 3.7倍なら期待値は取れていたと思いますよ。結果2着でしたが、それぐらいここは条件が揃っていました。これも連載で何度もお話ししていることですが、さすがに2倍を切ってくると厳しいでしょうね。
──1.9倍だと10,000円買った場合の利益が9000円、3.7倍だと27,000円だから、オッズは半分にもなっていないのに、利益は1/3になってしまうというお話ですね。
あと、9番人気で3着だった14ケイアイメビウスについても一言、推奨理由を教えていただけますか?
みねた: この馬の場合、前走5-8という通過順位から9着だった内容に着目しました。道中で後退して、盛り返すことはできなかったけれど、何とか踏みとどまったというレースぶりです。単純にスピードが足りなかったということなので、こういうパターンは距離延長ローテがプラスに働きやすい。もちろん、外枠で人気薄だったというのが大前提ですが。
──外枠からスムーズに先行して3着し、☆◎▲での3連複万馬券を演出してくれましたね。
みねた: このレースにしてもそうですが、特徴のあるコースを選んで、枠の並びなどを加味して絞り込めば、理詰めで穴馬券も手にすることができます。
東京開催は終わりましたが、夏ローカルの開催場でも「コースパターンA」や「コースパターンF」のコースはあるので、レース選択に悩まれている方は、そういうコースを優先することをオススメします。