プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“14番手からの差しと10番手からの差しは全く違う”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
9月8日 中山11R 京成杯AH 芝1600m
京成杯AHは中山芝1600mで施行。1コーナー奥のポケットからスタートし、初角となる2コーナーまでは約240m。初角まで短い「コースパターンA」のコースなので、スタート後のポジション争いでは内が有利になりやすいコースです。
内有利のコースレイアウトに加えて、今週は夏を挟んでの開幕週なので、芝のコンディションは良好。さらに後述の通り、先行馬占有率も高くタイムトライアルになる可能性が高いため、内有利は揺るがないでしょう。
登録19頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは8頭。除外対象を加味すると16頭中7頭になりそうです。いずれにせよ先行馬が揃っており、道中で外を回らされると苦しくなりそうです。
1番人気想定はアスコリピチェーノ。実力ほど人気になりにくく、馬券的にもお世話になっている好きな馬ですが、ここはさすがに1.7倍という想定オッズになっていますね。前走、重賞で掲示板に載っているのがディオだけというメンバー構成で、この馬の実績は抜けています。
前走のNHKマイルCでは好位につけており、ポジションも問題なし。内枠だと逆らうのは難しいかもしれません。あとは斤量の55.5キロをファンがどう解釈するか。3歳牝馬には苦しいと判断されて、想定よりもオッズが甘くなるのであれば、より買いやすくなるでしょう。
2番人気想定はディオ。正直、8番人気だった前走が絶好の狙い時で、今回の想定6.1倍は微妙なラインです。好位を取れそうなのはいいですし、相手関係にも恵まれていますが、期待値があるともないともいい切れないというのが率直な印象。
3番人気想定はコラソンビート。このメンバーなら実績上位で、こちらもポジション的にも恵まれそう。ただ、前走16着ということを思えば、もう少し人気を落として欲しいところ。ただ、3番人気というと売れ過ぎの印象もありますが、想定12倍ならば、アスコリピチェーノの1.7倍との比較で買えるオッズにも感じます。
4番人気想定のエエヤンもコラソンビートと似た立ち位置。2走前にダービー卿CT2着の実績があり、前走は二桁着順の大敗という期待値を取りやすいパターンです。4番人気は売れ過ぎの印象がありますが、12倍なら買える水準で、実際にどの人気、どのオッズに落ち着くかがポイント。
ポジションは恵まれなさそうなタイプに期待値のある馬が多く、関屋記念0.4秒差・6着のサンライズロナウドはその筆頭。ディスペランツァもNHKマイルCで0.9秒差・7着の実績があり、想定19倍なら脚質に目を瞑って一撃を狙ってみる手も。直近3走でG1を2走しているカテドラルの13番人気・74倍もさすがにナメられ過ぎで、好走確率はともかく期待値はありそうです。
枠と並び、道中の位置取りと期待値、さまざまな要素が絡み合う馬券力の問われそうな一戦です。なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言146
14番手からの差しと10番手からの差しは全く違う
★ピックアップレース★
8月17日 札幌11R 札幌日刊スポーツ杯 芝2600m
◎2フェミナフォルテ
○13ヒシタイカン
▲11ウェイビー
△8カフェグランデ
☆12ストキャスティーク
注14ナイトスラッガー
[参考買い目]
単勝 2 2000円
ワイド 2-13.11.8 各1000円
馬連 2-13.11.8.12 各600円
3連複 2-13.11.8-13.11.8.12.14 各300円
―今回取り上げるのは◎フェミナフォルテが6番人気・単勝16.3倍で勝利した8月17日の札幌日刊スポーツ杯です。参考買い目で単勝2000円×16.3倍=32600円、ワイド1000円×13.1倍=13100円、馬連600円×49.2=29520円を的中し、75220円の払い戻しとなりました。
みねた)これは、いろいろ嬉しかったですねぇ。みねたのコース理論であったり、期待値の考え方が詰まった的中でしたから。
―今回もまずは見解文を引用しましょう。
スタートから最初のコーナーまでの距離約160m。先手争いでは内枠が有利なコースレイアウト。
穴で狙いたいのは2フェミナフォルテ。前走は14頭立ての14番手追走から早め仕掛ける競馬で上がり最速。
結果距離1800mは短かった印象のレースで距離延長の2600mは良い方に出る。この馬で8人気なら期待値は高い。
みねた)札幌芝2600mは初角までの距離が短いコースパターンAのコースなので、そもそも内枠を引けたのはプラス。金言143「コースパターンの絶対的優位」でも触れましたが、やっぱり的中率を担保する上ではコースパターンは重要ですよ。8R配信で単勝16.3倍を当てた週ですら「勝てない」「負けた」と嘆いている人が居たのですが、おそらくそういう方はいろいろなレースに手を出し過ぎているのだと思います。その結果、肝心な回収率が取れるレースに十分な資金を入れられなかったり、買い逃してしまったりしている。もし資金が十分でないのなら、ある程度の的中率も必要でしょうから、そういう方は「コースパターンAの内枠」であったり、「コースパターンFの外枠」のようなクセの強いコースで馬単体でも期待値が有りそうな馬が恵まれる枠に入った時のみに狙いを絞って買ってみるのも一考です。
さて、少し話が逸れましたが、この馬の場合は、なんといっても距離延長が良かったですね。
―その前走は芝1800mのかもめ島特別を使われていて、14-14-14-9から7着でした。
みねた)14頭立てですから、最後方追走というやつです。その前に目を向けると芝2000mの信濃川特別では4番手が取れています。そのひとつ前の芝2600m戦の通過順位は10-8-11-9でしたが16頭立てのもの。中団よりやや後ろですね。やっぱり最後方追走という時点でノーチャンスということが多いので、これは距離が忙し過ぎるということを意味しています。この800m延長なら自ずとポジションは押し上がるはずで、少なくとも3走前と同じぐらい、10番手ぐらいは取れそうです。同じ後方寄りといっても、14番手から差すのは自分より前の馬を“ゴボウ抜き”するぐらいの勢いが必要で、10番手から差すのとは求められる脚力が全く違います。
―一括りに「差し・追い込み」といっても全く違う。
みねた)そういうことです。さらにフェミナフォルテの場合は馬柱が良くて、14-14-14-9と道中で動けていました。どうしてもゲートを出た直後のダッシュ力は、その馬本来の適性が出がちです。フェミナフォルテも本質的に1800mは忙しいのでしょう。ただ、ある程度、隊列が決まって流れが落ち着いた道中であれば、能力があれば動けます。この馬は4コーナーで9番手まで押し上げて、メンバー最速の上がり脚を使い、勝ち馬から0.7秒差の7着。前向きさと確かな能力を示してくれました。4番人気に支持されていたのも納得です。
―金言144「前走1番人気の大敗馬」にも通じる話ですね。
みねた)そうですね。前走1番人気という事実は価値があって、「前走1番人気10着」みたいな馬は、深く考えずに押さえても期待値が取れるぐらいだと思います。ただ、4番人気ぐらいの馬は、やみくもに狙っても期待値は取れません。前走内容を精査する必要はありますが、この馬の場合は「道中での押し上げ」「上がり最速」「前走僅差の6着以下」「距離延長」と期待値が取れる要素が詰まっていたので自信を持って狙うことができました。
―実際にレースでは8-8-7-9から見事に差し切りました。
みねた)目論見通りでしたね。長い距離を緩ませずに走り続けると大敗してしまうので、大負けするリスクを減らしたいという騎手心理も働いて、長距離レースは道中のペースが速くなりにくい。その結果、長距離への距離延長馬は必然的に位置が良くなるんですよね。
(次回に続く)