プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は「出馬表という上質の“謎解き”」です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
8月20日 札幌11R・札幌記念(芝2000m)
札幌記念は札幌芝2000mで施行。初角となる1コーナーまでは400m弱と札幌競馬場にしては距離があり、先行争いにおいて内外の有利不利は少ないコースです。
登録15頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは6頭(アフリカンゴールドは競走中止前のレースでカウント)。占有率40%と、それなりに先行馬が揃いました。
昨年はジャックドール、パンサラッサ、ウインマリリンと前に行った3頭での決着。今年はパンサラッサが不在なので、その点では、ジャックドール、ウインマリリンには有利に運びそうですが、先行馬の割合が高めなので、トータルで先行と差しはイーブンといったところでしょうか。
そうなると、定石通り、中団よりやや前を取れそうな馬がポジション的には恵まれそう。前走9-8-5-4のマテンロウレオ、5-5-5-5のヒシイグアスあたりが面白い存在です。先行馬が揃った今回、捲りが向くレースにはならないと思いますが、マテンロウレオは、2走前に先行、3走前には脚をためる競馬で結果を出しているように自在性があるタイプです。
4番人気12倍というオッズならダノンベルーガも妙味十分。ジャパンCでは4角7番手から押し上げました。右回りが不安視されていますが、唯一の右回り経験である皐月賞が0.3秒差の4着。戦績からは「わからない」というのが正直なところで、過度に不安視されてオッズが甘くなるなら、より狙いやすくなります。
昨年3着ウインマリリンの想定15倍も、本当にこれだけつくなら美味しいと感じるオッズ。昨年の上位2頭はG1クラスでしたし、シンプルに昨年の再現に賭ける手もあるでしょう。
ジャパンCの通過順位が12-14-14-12だったシャフリヤールは、2000mのここでは後方からになる可能性が高そう。能力の高さで格好はつけてくると思いますが、展開的には推せません。ただ、ジャックドールが2倍台、シャフリヤールが7倍前後という想定オッズほど、両頭に差は感じないのも事実です。
プログノーシスも比較的後方から進めるタイプではありますが、金鯱賞では4角9番手に押し上げています。川田騎手なら、しっかり差し届くポジションを確保するのではないでしょうか。G2、G3で賞金を積み重ねていくタイプの馬にも思えるので、ここをしっかり狙ってきている可能性はありそうです。
豪華メンバーが揃った一戦で、強い馬の強い姿を見たいと思う反面、どうしてもレースの位置付け的には、仕上げ切らずに臨む馬も多いはず。しっかり妙味のある馬を見極めて狙いたいと思います。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
【枠順確定後注目馬】
1ソーヴァリアント
2ウインマリリン
5ジャックドール
6ダノンベルーガ
7ヤマニンサルバム
8マテンロウレオ
12ヒシイグアス
好メンバーが揃い、目移りするが配当妙味を考えればGIで好走実績が有りながら過小評価気味の8マテンロウレオ、12ヒシイグアスなど前日のオッズでも人気になっておらず週中の見解通り穴で狙ってみたい。
■みねたの金言93
『出馬表という上質の“謎解き”』
★ピックアップレース★
2023年7月8日 中京11R・マレーシアC(ダート1800m良)
◎12セイクリッドゲイズ
○5サンライズアリオン
▲8プリモスペランツァ
△11タガノエスコート
☆6テイエムマグマ
注3ラフストリーム
注7サンマルレジェンド
[参考買い目]
単勝 12 2000円
ワイド 12-5.8.11 各1000円
馬連 12-5.8.11.6.3.7 各400円
3連複 12-5.8.11-5.8.11.6.3.7 各200円
──前回に引き続き、7月8日のマレーシアカップについて伺います。簡単にまとめると、本来は内の先行馬が有利なコース形態のレースだけど、有利なはずの内枠に同脚質の差し馬が固まって入ってしまったということでしたね。
みねた: 1~6番の6頭はいずれも道中3番手以内がなく、そのうち4頭は道中6番手前後と中団のほぼ同じポジション。外の先行馬に被された上、周りに馬がひしめき合うという苦しい展開が予想できました。そして大事なポイントは、その1~6番に、赤オッズ(単勝オッズ1桁台)の馬が3頭も含まれていたということです。
──金言91「勝負レースに昇華する+αの要素」でおっしゃっていた、不利な枠に人気馬が入ると勝負レースに選びやすい、というお話ですね。ではここからは◎12セイクリッドゲイズについて教えてください。
みねた: 「逃げハサミ」ですね(笑)。
──お決まりの展開ですね(笑)。このレースで、前走の通過順位に3番手以内があったのは、7サンマルレジェンド、8プリモスペランツァ、10ラルフ、11タガノエスコート、13ライオットガールなので、9ジューンアマデウスと12セイクリッドゲイズが「逃げハサミ」になりますが、12セイクリッドゲイズを選択した理由については?
みねた: そこは「内側の先行馬の強さ」と「馬個体の比較」ですね。
まず「内側の先行馬の強さ」についてですが、見解文でも「強い先行馬11タガノエスコートの隣」と書きました。「逃げハサミ」の成否は、内の先行馬が道を切り拓いてくれるかに懸かっています。逃げ馬にしろ捲りにしろ、その馬が強くなければ道はできません。11タガノエスコートは現級を3番手から2着している力量馬だったのに対し、8プリモスペランツァは昇級馬でした。先行しての昇級=恵まれて勝っているので昇級戦では狙いにくいというのは、これまでにも話してきましたよね。
──11タガノエスコートのほうがしっかりと道を切り拓いてくれる確率が高かったわけですね。
みねた: そうです。実際に、このレースでも3番手から、まさしく“エスコート”してくれました(笑)。この考え方を応用すると、強い先行馬が1番人気になっている場合、その外と組み合わせると期待値が取れるのではないか、推測もできますよね。
──「馬個体の比較」についてもお願いします。
みねた: 12セイクリッドゲイズの前走の通過順位に注目してください。
──12-10-12-7から7着。金言27「位置取りを下げながら巻き返した馬」ですね。道中スムーズさを欠きながら、最後まで諦めずに走っているので期待値が取りやすいパターン。
みねた: しかもこの馬の場合、一旦、12番手から10番手に上がって、もう一度12番手まで下がって、そこから巻き返しています。アクセルを踏んでブレーキを踏んでアクセルを踏んで…という、通常よりも負荷の大きなレース内容で、それでいて0.7秒差の7着はかなり頑張っています。
──前走、この馬を狙っていた方は、かなりヤキモキする騎乗だったでしょうね。ちなみにみねたさんは、こういう道中のロスをチェックするためにパトロールビデオを観たりするのですか?
みねた: 基本的に、パトロールビデオは観ていません。全レースを予想して馬券も買っているので、大体、レース内容が頭に入っていますし、何よりも自分は出馬表を読み込むこと、出馬表から結論を導き出す「謎解き」が競馬の面白さだと感じているからです。
──12セイクリッドゲイズの通過順位をみて、「これはスムーズさを欠いているよね」と推理するということですね。
みねた: その推測をもとに、レース映像を観るとよいのではないでしょうか。出馬表であたりをつけて、気になる馬、◎候補のレースVTRをチェックする。これなら、負担もそれほど大きくありません。
──確かに、1日36レース、2日で72レース分のパトロールビデオをチェックするのは重労働ですよね。
みねた: 「不利馬をみつけてやるぞ」という心意気で真剣にチェックするとハードルが上がるので、今話したような、出馬表→気になったらVTRチェックという流れが、読者の皆さんにとっても無理のないスタイルだと思います。