プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回は秋華賞の展望と連載100回記念インタビューの後編『「逃げハサミ」をも捨てる覚悟で』をお届けします。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
10月15日京都11R・秋華賞(芝2000m)
秋華賞は京都芝2000m(内)で施行。初角まで約309mとやや短く、トップクラスの戦いとなるG1レースであることを加味すれば、枠は内側のほうがベターでしょう。
23頭が登録しており出走メンバーが流動的ですが、前走の通過順位に3番手以内があるのは6頭。最大でも占有率は33%なので、レースがしやいのは好位から競馬できるタイプでしょう。
注目は、何といっても牝馬三冠がかかるリバティアイランド。オークスでつけた1秒差というのは決定的な数字で、並の二冠馬ではないのは明らかです。春に負かしたドゥーラがクイーンSで古馬を一蹴したことで、その価値は一層、アップ。この馬が中心のレースとなるのは、改めて説明するまでもないでしょう。とはいえ、それだけの馬でもアルテミスSで負けているのもまた事実。1倍台前半のオッズなら、他の馬を探してみるという選択肢も一考です。
対リバティアイランドで考えるなら、やはり前に位置を取れるか、早めに動いてセーフティリードを奪えるようなタイプに注目。実際にリバティアイランドを負かしているラヴェルは、オークスでも先行して見せ場を作っていますが、さすがに前走14着は負け過ぎの印象。それならば、紫苑Sで4-4-4-3と前進気勢が出てきたヒップホップソウルでしょうか。
道中で動いていけるタイプなら、前走のローズSで◎の期待に応えてくれたマスクトディーヴァのもう一丁に期待するのも面白そう。そのローズSは9→7から外を回っての差し切り勝ちでした。レコード勝ちの反動は気になりますが、内目の枠をひいての内捲りの形が取れれば、さらなる前進も可能なはず。想定通り14倍前後なら期待値はありそうです。
オークス善戦組なら、ぶっつけのハーパーよりも、クイーンSで古馬相手に勝利したドゥーラでしょうか。3歳牝馬なら、古馬相手に2勝クラス勝ちでも十分に評価できるので、重賞勝利は極めて価値があります。想定通りの5番人気なら、過小評価だと考えます。あとは、前走14キロ減だった点がどうか。
抽選対象の2勝クラス勝ち上がり組も、秋華賞では穴馬の資格あり。今年のピピオラ、フェアエールング、フェステスバントは、いずれも先行策で勝っている点はあまり評価できませんが、人気次第ではヒモに加える手も。
一ファンとしてはリバティアイランドの快挙達成を楽しみにしつつ、馬券師としては付け入る隙を模索し、期待値のある馬券を組めるよう最善を尽くしたいと思います。
【枠順確定後注目馬】
2 ハーパー
4 コナコースト
5 ドゥーラ
6 リバティアイランド
7 マスクトディーヴァ
10 グランベルナデット
15 ヒップホップソウル
6リバティアイランドがオークスで付けた着差は決定的ではあるが、前日売り1.2倍のオッズでは単勝の期待値が有るとは言えず穴馬からここは行く。的中率という観点からは低くなるが回収率を取りに行くので有れば、という馬から。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言101
連載100回記念インタビュー(2) 「逃げハサミ」をも捨てる覚悟で
──連載100回記念のインタビュー後編となります。後編では、具体的に印象に残っている的中であったり、気に入っているコラムについて伺っていきたいと思います。まずは、この2年間で印象に残っている的中から教えていただけますか?
みねた: 何度もお話ししていますが、22年京都記念のアフリカンゴールドは印象的ですよね。単勝50倍クラス(51.5倍)を早い段階で当てられたことで、肩の力が抜けたという部分はあったと思うので。
あとは的中レースではないのですが、今年のダービーの◎ベラジオオペラも、競馬の祭典ともいえるレースで単勝54.9倍の穴馬にしっかり本命を打てたという点では満足感があります。0.0秒差の4着、馬券内にギリギリ届いたと思ったのですが(笑)。
──私ももらったと思いました(笑)。
みねた: 1日4レースしかない勝負レースで単勝50倍クラスの穴馬を挙げるのは勇気がいるので、ダービーという舞台でもしっかり回収率重視を貫けたのはよかったかなと。
自信があって“会心”という意味では、23年レパードSのライオットガール(5番人気1着)。「この戦績(前走で3勝クラスを4着)でこのオッズなら美味しい」と断言できました。あとは、22年の年末(12/24)の◎ラッキーモー(8番人気34.5倍・1着)や、先日(9/24)の◎レッドシリウス(9番人気51.0倍・3着)なども、しっかり「逃げハサミ」で盲点になっている穴馬を拾えたという意味ではよかったです。
──「逃げハサミ」といえば、「金言1」というみねた理論の代名詞的存在です。
みねた: ただ、「逃げハサミ」というのは、その馬がスムーズにレースを運びやすいというだけであって、あくまで「期待値のある馬が逃げハサミだとさらに期待値が底上げされる」というイメージ。「逃げハサミだから買えばいい」というものでも、「買い続ければ回収率○○%!」というものでもなく、正しく取捨選択するのが重要です。
──逃げハサミ=奥義! といって煽るのは、あくまで編集サイドの都合ですからね。
みねた: 競馬は複雑なので、一つのファクターだけで勝ち続けることはできません。それは、このコラムでも一貫して強調してきたつもりです。「逃げハサミ」を買えば回収率が20%上がる、ということではないので、例えば「逃げハサミ」+「先行馬占有率が50%」で、逃げハサミの差し馬を狙うといったような工夫が必要です。そしてそれが上手くいったのが先に挙げた◎ラッキーモーであり、◎レッドシリウスなのです。
──過去のコラムで、特に気に入っている回はあったりしますか?
みねた: 毎回全力投球なので、過去の99回分全てに思い入れがありますよ(笑)。強いてあげるなら、金言53~金言55の「パリミュチュエル方式の本質」というのは、絶対に読んで欲しいですね。これを理解することで、全てのギャンブルに強くなれると思うので。
▼参考記事
【第53回】みやこS展望&パリミュチュエル方式の本質/馬券師・みねたの金言
【第54回】エリザベス女王杯展望&パリミュチュエル方式を馬券にどう生かすか/馬券師・みねたの金言
【第55回】マイルCS展望&パリミュチュエル方式と予想法/馬券師・みねたの金言
あとは、金言3「馬券が上手くなりたいなら、少頭数レースこそ勝負せよ」も気に入っています。
──「先行馬の並び」「初角までの距離」といった、みねた理論の主要テーマを差し置いて、3回目のテーマになっているぐらいですもんね。
みねた: 結局、「みんなが買っていないところを極めよう」という「パリミュチュエル方式の本質」に通じる話です。避ける人が多い少頭数のレースで勝つメソッドを確立できたら、そのアドバンテージは計り知れません。
──では最後に、102回目以降についての意気込みをお願いします。
みねた: 競馬は難しいですよね。様々なギャンブルを経験してきたからこそ、心からそう思います。ただ、一生懸命頑張ったらプラスになれる可能性がある、極め甲斐のあるギャンブルです。
昨今は、「競馬で勝つためにはこうあるべきだ」という言説をよく目にするのですが、そうやって凝り固まっていったら勝てないのが競馬というギャンブルの本質です。むしろ、長く勝ち続けるためには、常に情報をアップデートする思考の柔軟性が必要で、私も、状況によっては「逃げハサミ」を捨てる覚悟すら持っています。そういった姿勢や思考法をコラムで伝えていきたいと思っていますので、引き続き、よろしくお願いします。